「良い鉄が鍛えられるためには必ず一度はくぐらねばならない火熱であり、この苦難に耐えられない素材は、到底、その先に待つさらに過酷な人生の試練に耐えられるものとは考えられないからなのである。」これは、イギリス文学者、池田 潔氏によるイギリスのパブリックスクール(寮制学校)に関する著書『自由と規律 イギリスの学校生活』(岩波新書 1949年)に記された、イギリス人の青年期に絶対必要とされる教育の本質につい て例えられた一文です。
イギリスのパブリックスクールは、この本質に則り大学進学に向け必要な学力やスキルを養成するための学校で、授業の質、設備、生徒のケアなど、英国政府が定める厳しい基準を満たしており、優れた教育を提供する環境が十分に整っています。パブリックスクールの大学進学コース(6th Form)では16歳~17歳の学生が多数を占めており、イギリス人と世界中から渡英した3万人近い留学生たちが共同生活を送り、厳格な規律の中で自由の精神を学びながら大学入学を目指すための勉学に励んでいます。
英語の学習においては、吸収力が早いことから若い頃から始めた方が良いのは紛れもない事実です。しかし、留学となると義務教育中の中学生では若すぎること、高校卒業後の19歳ではパブリックスクールの入学は不可となり、大学を目指すための理想の教育を受けるには遅い年齢です。
日本で義務教育課程を修了し、日本の文化と日本の良さを理解した年齢まで成長したうえで、高い語学力と多様な文化を許容できるバイカルチャーの素養を持つ、真のグローバルリーダーとして成長するための世界最高レベルの教育。それを受けることができるのが、イギリスのパブリックスクールとオックスフォード大学またはケンブリッジ大学です。
高校に入学し青年期に差し掛かった頃、その決断をし、新たなスタートを切ることができる年齢が16歳なのです。
パブリックスクールは、アメリカでは訳の通り「公立の学校」ですが、イギリスでは「全寮制の私立の中等教育学校」としての名称で、長い歴史を持ち伝統のある優秀校のことを表します。主に大学進学を目標とする生徒たちが入学し、近年では留学生の割合が増えています。
イギリスと日本は歴史的背景から、深い関係性を持っています。イギリスが大きく日本に関わったきっかけは明治維新後で、日本の二院制による議会政治や、経済・社会制度等は全てイギリスを模範にしたものです。日本で最初に走った鉄道(機関車)はイギリスから輸入され、地下鉄、郵便制度、左側通行等、日本で私たちの生活に馴染みのある社会制度の多くは、イギリスに倣っています。 他にも、国の面積が日本は約378,000km2、イギリスが約244,000km2 と比較的近く、四方を海で囲まれているため四季があります。大きな大陸の横に存在する島国であることや、皇室制度(イギリスの場合は王室制度)など、日本と多くの共通点を持っているため、日本人にとって親しみやすく、住みやすい環境であると言えます。
イギリスは、連合王国を形成する4つの国家に属するイングランド人、スコットランド人、ウェールズ人、北アイルランド人の他、旧植民地出身のインド系、アフリカ系、アラブ系や華僑なども多く住む多民族国家です。
イギリスのパブリックスクールで教育を受けることは、イギリス人の他、世界中から集う様々な国籍の学友たちと生活を共にすることで異文化を学べるメリットがあります。
夏休みなどの長期休暇中は、ボランティアやアルバイトなどの活動を通じて現地の方々と交流することで、バイカルチャーとしての素養を身に着けることができます。
パブリックスクールの入学試験では、英語や数学などの筆記試験の他、オンラインでの面接を行います。
面接では論理的思考力を持つ人物であるか、また、十分なやる気があるかが重視されます。また、心身ともに健康であることも大切です。
パブリックスクールでは、英語を母国語としない学生は教員や学友たちの協力を得ながら英語を学ぶ環境が整っています。そのため、高い英語力よりも健全な学生生活を送るための協調性やコミュニケーション力が重視されます。
パブリックスクールで2年間の教育課程を修了する頃には、世界トップレベルの大学である、ケンブリッジまたはオックスフォードに進学できるほどの学力が養われます。
大多数の大学では教師一人が多数の生徒に教える方法が一般的ですが、ケンブリッジ大学とオックスフォード大学は、教員と生徒が1対1で学習する「チュートリアルシステム」という教育方針を採用しているため、確実に学力が伸びることで定評があります(※)。
※ 授業によっては教員一人に対し複数の生徒で行う場合もあります。
パブリックスクールで教育を受ける2年間は、将来進むべき方向性やキャリアを定めるための重要な期間です。日本の高校生は自宅から学校に通学し学習する方法が一般的ですが、パブリックスクールは「全寮制」であることが大きな違いです。ここでは、伝統のあるパブリックスクールで学習することの特徴やメリットについてご紹介します。
イギリスのパブリックスクールは、学校や寮に生徒を受け入れるために、授業の質、滞在施設、福祉、設備などの面で、英国政府や教育団体が定める厳しい基準を満たしています。
過去にイギリスの私立学校協会が行った調査によると、イギリスの私立学校を卒業した92%の生徒が大学に進学し、その中の大多数がイギリスのエリート校に合格しています。
イギリスのパブリックスクールは、質の高い授業、設備、サポートを提供し、生徒がスキルや知識を習得するのを助け、自由な発想を促し、可能性を最大限に伸ばすための教育を行っています。
ほとんどのパブリックスクールは、何百年もの歴史がある美しい校舎を構え、近代的な教室と伝統的な建築が魅力です。素晴らしい設備に恵まれながら、充実した留学生活を送ることができます。
イギリスのパブリックスクールで教育を受けることで、将来のキャリアに向けた専門的な学力を身につけることができます。
世界で通用する資格の習得だけでなく、世界中から集まる生徒と生活し交流することで、語学力の向上や異文化の理解にもつながります。これが、将来、国際社会で活躍するための準備期間となります。
イギリスのパブリックスクールは、英語を母国語としない生徒に対し、大学で勉強できるレベルまで上達させるための教育も行っています。
ほとんどのパブリックスクールでは希望者を対象に英語の補習授業を行っており、少人数のクラスで専門の教師から指導を受けることにより短期間で英語が上達するだけでなく、「クイーンズイングリッシュ」という伝統的で上品な発音を身に着けることができます。
イギリスのパブリックスクールは、あらゆる国籍や文化的背景をもつ留学生を受け入れています。このように国際的な環境で学ぶことにより、様々な国の生徒と友達になり異文化を理解することで、バイカルチャーの素養を身につけることができます。
イギリスではスポーツは信仰であるといわれるほど、スポーツマンシップの精神が重視されており、パブリックスクールでは規律を身に着けるための手段として運動競技を教育の一環として取り入れています。
また、スポーツのみならず、演劇、音楽などの芸術関連のクラスも充実しています。これらの活動に参加することで自信やチームワークの精神を養うことができます。
ガーディアンは留学生の世話役または後見人のことで、英国のパブリックスクールではガーディアンを手配することを入学の条件としています。
Tazaki財団では留学をする学生に対し独自にガーディアンを手配し、渡英時の空港への迎えから入学前の学校の見学、必要となる手続きや制服の手配などをサポートします。在学中も病気や事故などトラブルが起こった際、日本の保護者の方々への連絡や、生活に困ったときの相談役などを担うため、安心して学業に専念することができます。
イギリスの教育制度は日本の小学6年・中学3年・高校3年・大学4年の一律的な制度と全く異なり、16歳から専門性を養うための教育が始まります。また、イギリスの公立高校は基本留学生の受け入れを行っていないため、外国人がイギリスに留学する場合は私立の学校に入学することになります。
ここでは、イギリスの大学に進学するために必要となる資格、GCE-Aレベル(General Certificate of Education-Advanced Level)とイギリスの学期について説明します。
イギリスでは、日本の高校にあたる教育は通常2 年間で実施されます。この2年間6th Formという進学コースで学習し、この期間で大学進学のために必要となるGCE-Aレベルという資格の取得を目指します。(以下UK 教育システム表参照)
一般の大学が入学の条件として要求するのは3科目の試験結果です。オックスフォードやケンブリッジを目指す生徒は4科目を受講するケースもあり、パブリックスクール在学中の科目の選択は大学の進学と将来の職業の方向性を決めることになる重要なことです。(なお、各パブリックスクールで受講可能な科目数は異なります。)
イギリスの大学入学方法は、日本の受験生が志望大学の入学試験を受けるシステムとは異なり、大学進学を目指す生徒はGCE-Aレベルの結果のほか、学校からの推薦状や論文などを志望する大学に送り選考される仕組みです。
大学側が入学を希望する生徒の選考をする際はGCE-Aレベルの結果が一番重要ですが、パブリックスクール在学中にどの程度学校の行事に参加したか、取り組んだスポーツなどについても評価されます。
イギリスの学期は9月から始まります。9月~12月が秋学期、1月~3月が春学期、4月~ 7月が夏学期の3学期制で、学期の間は1週間程度のハーフタームという休みを挟み、7月の学期終了時は約2か月の長期休暇となります。
当財団を通じて留学する学生の皆さんには、長期休暇中にボランティアやアルバイトなどイギリス現地で学友以外の一般の人々と接することを薦めています。これにより、深く文化を学ぶ機会となり、よりバイカルチャーとしての素養を育む機会となるでしょう。
(UK 教育システム表) |
※ Tazaki財団を通じて留学をする方が教育を受ける期間は、上表の私立の6th Formの2年間と大学の学部(3~4年間)になります。 |