厳しい寒さを乗り越えると、エジンバラには桜が咲き誇り、気づけば緑が生い茂る季節になっていました。大学生活一年目は、目まぐるしくも留学生活のハイライトになるような思い出に恵まれ、充実した一年であったと思います。
二学期は三つの授業を履修しました。前学期に比べ、政治色の強い授業が中心で、毎回講義に向かうのが楽しみで仕方ありませんでした。特に力を入れて取り組んだのはイギリス政治の授業です。A levelでイギリス政治についてのエッセイを書く際は、点数を取るためにいかに明確な論点を示すかを優先していました。しかし、大学のチュートリアルでは、自分が感じたことを率直に述べられる環境であったため、自分の意見を深く掘り下げることができ、単なる「点数を取るための意見」ではなく、自分が本当に思っていることを伝える貴重な経験となりました。初回のチュートリアルで、自己紹介をした際、先生から「交換留学生ではないのか、なぜはるばる日本からイギリスにやってきたのか」と尋ねられました。その時は、咄嗟に「イギリス政治が好きだから」と答えましたが、ディベートの準備を重ねる中で、私はこうした環境で政治を学びたいのだと改めて実感しました。イギリスでの生活が日常となりかけていた時期にこのような問いを投げかけていただけたことは、非常に幸運だったと思います。
試験は4月末に始まり、私の場合はオンライン試験が二つ、対面での試験が一つありました。他学部の友人たちが5月初めには試験勉強から解放されていく中、5月末まで対策に励むのは大変でしたが、逆に無理をしすぎず、自分のペースで取り組めたのはよかったと思います。オンライン試験では授業ノートや今までのエッセイを使ってもよく、いかに効率よく資料を使いこなせるかが鍵となりました。一方で、対面の試験はA levelの時と同じような大きなスポーツホールで行われ、懐かしさもあり、ある意味リラックスして臨むことができました。2年生に私が履修予定の授業は試験はなく、すべてエッセイやレポートでの評価で成績がつけられます。より一層時間管理のスキルが問われると思うので、気を引き締めて取り組みたいと思います。
大学から始めたチアリーディングでは、極寒の中アメフト部の応援に行ったり、3月にダンスパフォーマンス、4月に部全体のショーケースに出たり、とにかく忙しい日々でした。日本でやっていたチアダンスと違ってチアリーディングでは「スタンツ」といった組体操のような要素があります。人を投げたりキャッチしたりするこのパートではお互いの信頼関係なしには成功できません。また、技の精度を高めるためにお互い率直に改善点を指摘し合うことが求められます。最初は遠慮がありましたが、次第に臆することなく意見を交わせるようになり、大きな達成感を得ました。さらに、以前は何かをお願いするときにとても回りくどい表現をしてしまう癖のあった私ですが、簡潔かつ落ち着いて伝えられるようになり、成長を実感しました。ノーミスで終えることのできた、4月のショーケースは私の留学でのハイライトの一つになりました。
また、楽しそうと軽い気持ちで入ったニンテンドーソサイエティでは9月から幹部の一員となり、秘書のような役割を担うことになりました。活動自体はマリオカートやスマブラを楽しむ和やかな集まりなのですが、みんなでパブに行ったり、ご飯を食べに行ったり、メンバーの出身国の料理を振る舞ってもらったりと、非常に親密な交流ができています。今後は運営側として関わりますが、私が一年目に感じたアットホームな雰囲気を新しく入るメンバーにも伝えていきたいです。
友人たちと図書館で夜遅くまで勉強したり、何時間も語り合ったり、ヨーロッパ旅行に行ったり、急に思い立って夜中に山に登ったり、大学生だからこそできる経験をたくさん積むことができました。人との出会いに恵まれているからこそ、充実した生活が送れていることを実感しています。さらにたくさんの思い出ができるよう2年目も過ごしていきたいです。ご支援いただいている財団の皆様への感謝を忘れず、邁進してまいります。