お知らせ

Sさん(University of Edinburgh , International relations / Kingswood School出身)

イギリスでの生活も3年目となり、大学一年生の一学期も無事終えることができました。パブリックスクールで努力した2年間が身を結び、充実した大学生活を送っています。毎日楽しく、そのような環境に身を置けていることのありがたさと同時にその責任をひしひしと実感しています。

私の在籍する国際関係論コースは今学期は必修の授業が全三授業のうち一つのみでした。必修のpolitics and international relations 1A では同じコースの学生のみならず、政治やPPEを専攻する生徒と週に2回講義を受けました。また、週に一回、10人ほどのクラスで講義内容を発展させディスカッションを行うチュートリアルもあります。チュートリアルの内容はチューターによって様々で、私のクラスでは基本的にスライドなどは使用せず、50分間生徒たちでひたすらディスカッションをするものでしたが、友人のクラスではチューターの専門分野である中東地域を交えた講義形式であったそうです。成績はエッセイ一本と学期末に行われたオンライン試験、そしてチュートリアルへの参加度(participation)によって決まります。中間課題のエッセイでは「国民国家は存続しているのか」をテーマに取り上げ、領域、経済、政治的なグローバリズムの影響とコスモポリタン的な価値観の浸透度を分析しました。エッセイの書式や構成、リファレンスのやり方に、全くの無知であった私に根気強く付き合ってくれた友人には心から感謝しています。学期末の成績は、まだ発表されておらず、結果を待つ間は緊張して待っていますが、タームの中盤に書き上げたエッセイでは予想以上の成績を取れたのでほっとしています。この授業は国際関係論の基礎を学ぶというよりかは政治学(political science)の入門に近い内容でした。二学期からはAレベルの時から興味のあったpolitical thinkerやBritish politicsの授業が始まるのでとても楽しみにしています。
必修の授業以外には、Social Work とmathematics for social science を履修しました。
Social Workの授業では、イギリスのソーシャルワーカー視点でイギリスのソーシャルワークの歴史や仕組み、行政とのジレンマなどを総合的に学びました。祖父母が介護福祉関連の会社を経営していた影響で、社会福祉には以前から関心がありましたが、これまでは「政府が制度を作り、これくらいの資金を投入した」といった表面的な知識しか持っていませんでした。この授業では、実際イギリスでソーシャルワーカーとしてご活躍されたチューターから直接ご指導いただく機会に恵まれました。「子供と家族分野のソーシャルワークにおける価値観と倫理的原理が実践の場でどのように用いられているか」をテーマにエッセイに取り組み、複数機関での協力や法的枠組みを取り上げつつ、時にガイドラインの価値観と倫理的原理同士が対立してしまうこと、またそれをどのように解決していくべきかを実際のケースを使いながら述べました。イギリスさらにはスコットランドのリアルを深く学べ、とても貴重な経験であったとともに、表面的な知識ではなく、現場の声を知る大切さを実感することができました。
Mathematics for social science では、stataやSPSSを使いながら線形回帰分析などを学びました。実際に2024年のアメリカの大統領選挙でのelection polls を使って練習し、Aレベルでのstatistics とは全く違い、社会的な視点でデータを分析することの面白さを体感しました。
どの授業も内容が濃く、毎回あっという間で、予習や復習も苦にならず、集中して取り組むことができました。ただ、数学の授業以外は毎回、週にリーディングがあり、今学期は必須のもの(essential reading)で手一杯だったため、来学期からは推奨図書(recommended reading)や追加読書(further reading)も目を通せるよう、しっかり時間管理を行いたいです。
エディンバラの街はバースとはまた違った美しさがあり、憂鬱な日でも綺麗な街並みを眺めているといつの間にか心が晴れていきます。寮での生活も快適で、シャワー、トイレが個室についているため、とても過ごしやすい環境です。最初のうちは寮の点呼がないことに違和感を感じていましたが、授業や予定に合わせて好きな時間に寝起きできる喜びを噛み締めています。
大学では新たにチアリーディングを始めました。チアダンスの経験はあったものの、側転ですら怪しい私にとっては毎回練習終わりはへとへとになりますが、それでもチームメイトと楽しく取り組んでいます。1月から4月まで毎月何かしらのパフォーマンスが予定されており、来学期からはさらに忙しくなりますが、イギリスでチアをするという貴重な経験をさせていただいていることに感謝して楽しみたいです。
学部やチアリーディングのチーム、ソサイエティを通じて、多くの素晴らしい出会いがありました。学期終わりには友人たちとベルリン旅行にも行きました。キングスウッドではイングランド人や香港人が多かったのですが、スコットランド人、アメリカ人、韓国人、アイルランド人など、様々なバックグラウンドを持つ人たちと出会えたことはイギリスの大学に進学したからこその経験だと感じています。キングスウッドで培われた自信によって、大学という新たなスタートに物怖じせず飛び込むことができたと思います。出会って三ヶ月しか経っていないのに、何年も知り合っているような、心から打ち解けることができた友人たちに恵まれ、留学生活がさらに彩りました。
毎日が新たな発見と喜びでいっぱいの生活をおくることができているのは、ひとえに財団の皆様方のご支援のおかげです。感謝の気持ちを胸に、人との出会いを大切にしながら、限られた留学生活をさらに有意義なものにできるよう、これからも精一杯勉学に励んで行きたいと思います。