大学生活にもすっかり慣れ、気づけば2年目があっという間に過ぎていました。来年はいよいよ学部生として最後の年を迎えることもあり、今年は将来について考える時間が増えた一年だったように思います。
昨年度は幅広い科学分野を学びましたが、今年度は物理学の基礎分野に焦点を絞って授業が進みました。その中で、自分の好みや得意とする領域の傾向を把握できた一方、研究分野を絞り込むにはまだ知識や経験が足りないとも感じています。周囲を見渡すと、同級生の中でアカデミアに進もうと考える人は意外と少なく、すでに金融やコンサルティング業界への就職活動を始めている友人もいます。そうした中で、物理学者としての将来像がまだはっきりしない自分に、不安を覚えることもありました。
そんな中、長期休暇にはいくつかの研究インターンに参加する機会に恵まれました。冬休みには成人式で帰国した際、東京大学の宇宙系研究室で研究補助を経験しました。エンジニア寄りの業務を担当しましたが、大学1年で学んだ材料科学の知識を活かし、観測装置の試験に用いる機材を製作することができました。さらに夏休みには、岐阜県神岡町の素粒子研究施設で1か月間研究のお手伝いをしました。スーパーカミオカンデをはじめとする著名な観測装置を見学できたことは、非常に貴重な経験でした。こうして日本の研究現場に触れられたことは、ケンブリッジ大学で学ぶ意義や利点を改めて実感し、卒業後にそれをどのように活かすかを考える機会となりました。
勉強以外では、シェアハウスでの生活を通じて友人との交流がいっそう深まりました。料理を分け合ったり、ジムに挑戦したりと、互いの日常や趣味に触れて新しい経験を共有する機会が増えたことは、2年目の大きな収穫です。また、昨年は参加できなかった学園祭「May Ball」に足を運べたことも、心に残る出来事のひとつです。ケンブリッジ大学らしいフォーマルな装いで豪華なディナーやワインを味わい、空中ブランコや音楽ライブといった多彩なレクリエーションを楽しむ、贅沢な一日でした。夜中から始まり、日付をまたいで続くという点は、普段からクラブに通い詰めるイギリスの学生文化を感じさせました。3年目は、イギリスの大学ならではの体験やサポートを存分に活用し、学部最後の年にふさわしい日々を送りたいと考えています。
最後に、日頃から温かいご支援とご配慮をくださる財団の皆様、そして家族や友人に心より感謝申し上げます。財団生の名に恥じぬよう、これからも努力してまいります。