お知らせ

Kさん(University of Cambridge, Natural Science / Kingswood School出身)

大学3年目ではNatural Sciencesの中でも化学を専攻することにしました。大学入学当時は医学に興味があり、3年目は生物系の専攻にしようと考えていました。ただ、化学の成績が生物より良かったこと(出題方式の違いが理由かもしれませんが)、創薬の分野では歴史的に見ても化学が必須であること、何より化学の実験が想像以上に楽しくさらに専門的に勉強したいと思い、化学を選択しました。これまで私は、学問のその先にある応用、人々の健康を増進するためにどのように活用できるか、ということばかりを見ていました。しかし化学に出会ってからは、学問そのものに魅せられもっと知りたいと興味を掻き立てられるようになり、学ぶこと自体が目的となるこれまでとは全く異なる学習体験を得ることができました。この経験を通して、目の前の知識をただ覚えるのではなくなぜそうなるのかを根本から考え続ける姿勢が身についたと感じています。この姿勢は、来年から医学を学ぶ上でも大切にしていきたいと思います。

私は今年大学を卒業し、来年4月からは日本の医学部へ進学します。これでTazaki財団奨学生としてレポートを書くことも最後になるのかと思うと、どこか寂しいような、それでいて肩の荷が下りたような、不思議な感覚に包まれます。

正直私の留学生活は順風満帆ではなく、人生で一番苦しい時期であったと思います。特に大学では自信を大きく失い、卒業するまで常に自分はケンブリッジにふさわしくないのではないかと思い続けていました。また、結果的に日本の医学部へ進学するのであれば、留学は必要なかったのではないかと考える人もいるかもしれません。それでも私はこの5年間に全く後悔はありません。安い表現ですが、もし次の人生があったとしても、私はもう一度同じ道を選びたいと思います。それは、この5年間で得たものは成績や進路だけではないからです。思うような結果が出ず自信を失うことがあっても、自分で選んだ道を最後まで歩み続け学ぶことを諦めなかった経験は、私にとって最も大きな学びとなりました。ケンブリッジで学んだ、学ぶことそのものを楽しむ姿勢と、困難の中でも努力を続ける姿勢は、これから医学を学び、医師として歩んでいく上でも私の土台であり続けると信じています。

このような挑戦を最後まで続けることができたのは、Tazaki財団の温かいサポートがあったからこそです。経済的な支援はもちろん、切磋琢磨し合える仲間に出会えたこと、毎年レポートを書く機会を通して自分自身を振り返り、成長を言葉にする時間を持てたことも、私にとって大変貴重な経験でした。これからも財団生として誇りを持ち、人々の心と体の健康を守れる医師を目指しどんな状況でも諦めず努力を続けていきたいと思います。5年間本当にありがとうございました。