今年は良いことも大変なこともたくさんの一年で、本当に全ての出来事が今年に起こったのか信じられないほどです。このレポートでは、一年間を振り返って思い入れのある点やイベントについて書きたいと思います。
Matriculation
オックスフォードやケンブリッジ大学で行われる伝統的な入学式です。ここで初めてガウンを着てフォーマル風にドレスアップをし、CollegeのPresidentのお話を聞いたり学年の集合写真を撮ったりした後生徒が自身の名前とサインを書き、正式にCollegeの一員となります。初めてガウンに袖を通した時、ようやくケンブリッジ大学に合格した実感が湧き今までの自分の努力が報われたようでとても嬉しかったです。
学部の変更
(前回のレポートでも書きましたが)私はケンブリッジ大学に医学部で入学しましたが、10月末に学部を変更し現在は自然科学部で数学、化学、生物を勉強しています。主な理由は、イギリスのNHSで本当に医者として働きたいのかが分からなくなってしまった事と、医学部で勉強していることよりも自然科学部で勉強している内容の方が自分の興味に近いと感じたことです。学部を変えることは私にとってとても大きな決断で、たくさん悩み、たくさんの人に相談しました。学部を変えるときまではただひたすらに医学部を志望してきて他の選択肢については何も考えてこなかったのですが、この機会で自分は将来どこで何をしたいのか、深く自分と向き合うことができました。また、今まで医学部にこだわりすぎてしまっていた私が他の学部に移ったことで、ここに来るまでの道のりは他の人のようにストレートではなかったかもしれないけれど、将来はとても自由で、数多の選択肢の中から自分な好きなように将来をデザインすることができることに気付き、このような環境にいられることに対しありがたさを感じました。
Queens' College
オックスフォード、ケンブリッジ、ダラム大学はカレッジ制を採用していて、普段の衣食住とスーパービジョンはカレッジがベースとなります。大学の生活環境や学習環境はカレッジによって大きく左右されるのでカレッジ選びは大変重要です。事前にロケーションや施設の充実度、バイブスなどをもとに行きたいカレッジを選び、出願時はカレッジに対して出願しカレッジが合否を出すという形になります。私はQueens’ College に所属していますが、自然科学で生物や化学系を選択する方にはとてもおすすめのカレッジです。まず、ロケーションが街の割と中心部に位置しながらも交通量はそこまで多くないので騒音に悩まされるということはありません。また、Downing SiteやNew Masurium Site、Chemistry Departmentといった化学生物系自然科学部御用達のエリアにも徒歩で行くことができます。前二つのエリアに関しては徒歩でも5分はかかりません。また、ポーターという門番の人たちがとてもフレンドリーで優しく、カレッジに帰ったときに温かく話しかけてきてくれたりすると長時間のラボの後でもホッとすることができます。さらに入り口近くのガーデンと川岸では春先には桜やチューリップが、夏にかけてはたくさんの種類の花が咲き乱れその側で勉強することでリフレッシュできます。そして、なんといっても学食がとても安いことが一番の魅力だと思います。他のカレッジでは普通一食5〜6ポンドほどかかりますが、私のカレッジは2.4ポンド〜3ポンドで食べることができます。物価が高騰している中食費を安く済ますことができるのはとてもありがたいです。難点としては図書館が狭い事と、2年目はオフサイトに住居が離れてしまう可能性がある事です。ただ、ケンブリッジの街には図書館が100以上あるらしく、様々な学部の図書館にお邪魔して開拓していくのがとても楽しかったです。個人的なおすすめはMarshall Libraryという経済学部の所有する図書館です。土日も空いていますし、夜も平日は11:00までやっているので図書館が閉まっているということは基本ありません。
私は本当にQueens’ Collegeを選んだ判断は正解で、ここがベストカレッジだと信じています。ただ、こんなに自分のカレッジについて熱く語ってきましたが、他の学生に聞くと自分のカレッジが一番良いと口を揃えていうので、きっとどのカレッジもとても良い環境が整っているのだと思います。
テスト、インポスターシンドローム
テストは大変ストレスフルでした。まず、テスト範囲が授業と実験を通して一年目に習ったこと全てなので、定期テストと同じ感覚で臨むとその範囲の多さに絶望をします。また、言い訳になってしまうかもしれませんが、途中で学部を変更した関係で全体の20%に相当する量の授業や実験は出席できておらず、最初の方の授業を飛ばしてしまっているので基礎があやふやなまま授業が進んでしまい、特に最初のタームはついていくだけでも大変という状況でした。そして、生物系のテストがエッセイ形式で明確な答えがないため自己採点ができず、自分の習熟度を知らないままテストを受験することになったのでとても不安でした。私の場合は、不安が強すぎて勉強に集中できない時間が増えてしまい、さらに不安になってしまうという悪循環に陥り、インポスターシンドロームに苦しみました。それでも、テストの前には同じ科目を取っている友人達とrevision sessionを開いたり、一緒に図書館に行き勉強したりとトータルの時間は決して長くはなかったかもしれませんができるだけ様々な方法で勉強をして乗り切りました。後から考えてみれば、自然科学部は3年目の成績のみが最終的な成績に反映されるのでそこまで思い詰める必要はなかったかもしれません。
休みの期間の過ごし方
休みの期間がとても長いのでどのように過ごすかがとても大事になってきます。冬休みと春休みは主に復習に使い、3ヶ月間ある夏休みには私は日本の研究室にお邪魔して実験をさせていただいています。実験は毎回うまくいくわけではありませんが、どうしてうまくいかなかったのか考え振り返り、次に向けてどうすれば良いのか考えている時間はとても楽しいです。また、今まではno contextで実験をしていたので実際研究ではどのようにこの実験が使われるか研究室で身をもって学ぶことができてとてもよかったです。一年目の夏にインターンシップをすることはあまり自然科学部ではメジャーではないかもしれませんが、このような機会があることに感謝して、最大限活用し今後に繋げていきたいと思います。