お知らせ

Iさん(Imperial College London, Theoretical Physics / Fettes college出身)

気がつけば、また寒くて暗いイギリスの冬を越え、学士最終学年を終えていました。修士もインペリアルに残る私は、就職が決まって卒業する友人、他大学で修士、博士課程に進む友人、そしてとりあえず卒業することに必死で次のプランのない友人(決して少なくはない)を送り出す立場でした。

勉強面では必修の授業が減り、選択の幅が大きく広がりました。物理学の中でも理論方面を専攻している私は、実験の時間がなくなり、ペンと紙で計算している時間やコードをかいている時間が多かったです。高校生の自分が物理学を勉強しようと決めた時に思い描いていた学問にようやく少し近づけたと思っています。実験がなくなった分、毎週出されるproblem sheetに費やす時間が増え、それらについて同級生や教授とディスカッションすることが増えました。理論寄りのものは1人で黙々と考え、個人プレー感が増してしまうものだと思っていましたが、今年になって、より一層、優秀な仲間や教授に囲まれた環境にいることの恩恵を受けられたと思っています。また、学士最終学年であった今年はComprehensivesという、入学時から教わった必須科目全てが試験範囲とする試験がありました。これは一年生の頃から先輩方に「化けものみたいな試験がある」と言われていたものだったので、覚悟をしていたせいか、この試験の準備は比較的楽しんで取り組むことができました。3年間で教わった、どの内容が出てきてもおかしくないとはいえど、求められる力は「とても長い公式を詳細に覚えられたか」ではなく、「基礎的な最低限の知識を使って、他の公式を導き出せるか、異なる教授による異なる授業でやったことの間にある関連性に気がつけているか」です。学士を卒業して、これからそれぞれ答えのない問題に直面する上で、「考えること」の本質を教えてくれる卒業前の伝統ある関門です。どんなに良問をつくるのが難しいと言われていても、たとえ生徒に敬遠されても、絶対に廃止にはしない点に、大学のサイエンティストを生み出す意地とプライドを感じました。

サッカーやフットサルにも打ち込めた1年でした。新しいコーチを迎え入れてシーズンが始まったサッカー、そして今年から正式に発足した大学の女子フットサルチーム。新しい仲間や指導者のもとで個人としても、チームとしても大きく成長したと思っています。サッカーでは、South Easternカップ(全国区で戦う強豪を除いた、South Eastern地区の全大学チームが参加するトーナメント戦)において、チームとしては優勝、個人としては得点王という成績を収めることができました。フットサルにおいても、リーグ準優勝、カップはベスト4敗退という、初年度にしては好成績を収められたと思います。

総じてこの1年は学業でもスポーツでも、優秀な仲間や相性のいい指導者に恵まれた年であったと感じると同時に、自身の置く環境選びの大切さを痛感しました。次の修士課程は、とても尊敬している教授のもとで、研究をする予定です。また一段と難易度が上がる勉強に加えて、進路という大きな決断をしなければなりません。何をするにしても、自分がたくさんのことを吸収して、成長できる環境を選び続けていきたいと思います。留学のご支援をいただけていることへの感謝を忘れず、最後の1年、学業にもスポーツにも全力投球で駆け抜けたいと思っております。引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。