お知らせ

Iさん(Imperial College London, Theoretical Physics / Fettes college出身)

16歳で留学して以来、タームもしくは半年おきに書いてきたレポートですが、大学2年生を終え、初めての1年ぶりの執筆になるので、自分の中の心情や価値観の変化について書いていこうと思います。1年次に比べ、勉強の難易度が段違いに上がったことは最初の数週間で気がつきました。それに伴い、勉強時間と質の向上が求められた1年でした。

私は修士も含めた4年間のコース(MSci)に所属していますが、3年で卒業する予定の友人たちは、夏休み明け早々からインターン探しに取り組んでいました。中には4年間同じ大学に在籍する予定の人でも、希望進路がはっきりしている人は既に次のステップに取り掛かっていました。夏休みが明け、まだfresher気分が抜けていない状態でロンドンに戻った私でしたが、大学卒業後を見据えて動き始めている周りに影響され、自分も将来について考えるようになりました。

また、大学の女子サッカーチームの人数が増えてきたことをきっかけに、大学としては初の女子フットサルチームの立ち上げが決まり、サッカーに加えて、フットサルにも参加し始めました。勉強、進路選択のためのリサーチ、サッカー、フットサル、これらに加えて、人と会う時間、趣味の時間、寝る時間…。「やらなければいけないこと」と「やりたいこと」は増えていく一方ですが、時間はこれらに比例してくれません。与えられた時間の中で、自分の優先順位は何なのかを考えることが多くなりました。生まれた時から繰り返してきた小さな選択と大きな選択を経て、今の自分がいるわけですが、次の進路選択はこれまでよりも選択肢が何倍も増えたように感じます。自分の人生における価値観を確立しようと焦る自分と、何かに固執してしまってはいけないと柔軟性を重んじる自分、そして「今まで通りでいいじゃん」と時折現れる楽観的な自分が葛藤することが多かったように思います。

また、英語力が向上したこともあり、日本語で考えている自分と英語で考えている自分との間に小さな違和感を感じ始めるようになりました。どちらも間違いなく私なのですが、全く同じ状況で同じことを2つの言語で聞かれたときに、もしかしたら自分は少し違う回答をするかもしれない。そんなことを考えていると、どこか自分の中に2人の自分が共存しているようにも思えます。3カ国語以上を操る人は、3人以上の「自分」がいるように感じるのでしょうか。これがいわゆる「アイデンティティの確立」に当たるものなのでしょうが、このようなことを考えられるのも、16歳という絶妙なタイミングで英国留学をさせていただいたおかげだと思っています。高校1年時の財団の説明会で「なぜ16歳からの留学なのか」というお話をされていたのを思い出し、どこかその意味がわかったような気がしています。

進路について考えることを通して、自分について考えることが多かった1年でしたが、来年は行動に移し始めなければいけません。この夏休みは、私が興味のある分野の研究室で研究インターンをさせていただく予定です。たくさんの経験をし、「進路を決めなくては」と焦りを感じるのではなく、「自分についてもっと知る機会」だと捉えるようにしようと思っています。

今までとは少し違うレポートの形になりましたが、留学のご支援いただいている財団の皆様はじめ、たくさんの方々に感謝申し上げます。残り2年、精進してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。