2019年7月から開始いたしました6年間の英国留学を、Tazaki財団の皆様からのご支援と奨学生間の交流を通して無事終了することができました。本レポートでは、本年1年間の大学生活に焦点を当て、英国での生活を振り返ります。
まず学習面では、本年はこれまでのBiochemistry(バイオケミストリー)とは異なり、Imperial College Business SchoolにてBusiness Management(ビジネスマネジメント)を学びました。Biochemistryと比較して様々な違いがあり、1年間を通して大きな成長を実感することができました。学習内容はファイナンス、経済、マーケティングなど広範囲にわたり、これまで私が全く触れてこなかった分野ばかりでした。そのため、知らない単語や概念を毎回の講義で覚えなければならず、想定していたよりも復習に時間がかかることが多々ありました。しかしながら、今まで全く知らなかったことを常に吸収できる環境にいたため、大変な反面、楽しさも日々感じていました。加えて、このコースでは日常生活にも役立つ知識を身につけることができたため、大きなやりがいを感じることが多かったように感じます。ファイナンスの講義では投資すべき企業や債券を理論的に分析する能力を身につけることができ、人事管理に関する講義(Organisational Behaviour and Human Resource Management)ではチームや組織を円滑に統率する方法や組織の運営において必要な改善点について学ぶことができました。
バイオケミストリーと比較した際に、私が最も変化を感じたのは学習内容だけではありませんでした。バイオケミストリーを学んでいた頃は、基本的には個人プレーが多かった印象です。課題はほとんど個人で提出するものであり、複数人で実験を行った際にもレポート作成は個人提出のことが多かったため、学習において人との協力を強いられることはありませんでした。しかし、ビジネスマネジメントのコースでは、実際にビジネスの世界で働くことを強く意識しているため、8割以上の課題がチーム課題でした。さらに、ほとんどの課題が、「ある会社が海外進出する際にどの国を選ぶべきか」「架空の商品を作り出し、その商品のマーケティング戦略とCMを作る」といった、一つの答えが存在しないものであったため、チームミーティングでの長時間の議論が必要なことが多々ありました。最初は、自分の意見が他のメンバーと違う時にそれを主張することができず、物事が進んでしまうこともありました。しかし、勇気を出して積極的に議論に参加するようになってからは、以前よりも課題の質が高くなったと実感することができ、その上、私自身の成長も感じられました。数多くのチーム課題を経て、チームで一つの課題に取り組む際には、人間関係に加え、適切な仕事分担が非常に大切だと感じました。「自分はこれが得意だからこのタスクしかやらない」と狭い視野を持つのではなく、客観的に誰が何をすべきか、そしてそれぞれのタスクに何人必要なのかなどを話し合い、仕事の分担で不満が生まれないようにする努力を多くしました。特に5人一組で取り組んだ卒業論文では、テーマ決め、文献レビュー、インタビューの実施、結果の分析など、様々な内容を常にグループで協力して進捗状況を確認する必要があったため、円滑なチームワークなしには卒業論文を完成させることが出来なかったと思います。複数人で一つのプロジェクトを担当するのはビジネスの世界では常にあることだと思いますので、卒業論文の作成を通してビジネスの世界に出る上で非常に大切な力を身に付けることができました。
学習面以外では、昨年同様、ダンスチームの活動に注力しました。今年もチームの振付師として活動していましたが、昨年とは異なり、チーム内で一番ベテランでした。そのため、チームリーダーではなかったのですが、責任感が必要とされる場面が多々ございました。12月に参加した最初の大会では、準備不足により3位という満足のいく結果には至りませんでしたが、その後、チームの結束を深めるためのイベントを数多く開催しました。その結果、3月に行われた大規模な大会では優勝することができました。この大会は強豪校が集まる大会であり、昨年は準優勝に終わった悔しい経験がありました。そのため、今回の大会で有終の美を飾ることができ、感無量です。その後は、昨年同様、世界最大級のダンスイベントである「Move It」のメインステージでパフォーマンスする貴重な機会を頂戴し、悔いを残さずに大学でのダンス生活を終えることができました。
以上のように、英国での留学生活を通じて、学習面、課外活動の両面で多くの貴重な経験を積むことができました。特にビジネスマネジメントの学びでは、理論だけでなく実践的なスキルも養うことができ、将来のキャリア形成に大きな自信を得ることができました。また、ダンス活動を通じたチームワークやリーダーシップの経験は、人生においてかけがえのない財産となりました。このような充実した留学生活を送ることができたのは、ひとえにTazaki財団の皆様からの温かいご支援のおかげです。心より感謝申し上げます。今後もこの経験を活かし、さらに成長していけるよう努めてまいります。