お知らせ

Nさん(University of Cambridge, Natural Science / Fettes college出身)

早いもので、大学2年目も終わりを迎えました。今回の留学報告書では、大きく分けて、勉強面、課外活動、夏のインターン、そして来年の意気込みについて書かせていただきます。

1 勉強面
私が現在通っているケンブリッジ大学の自然科学科では、1年生の時に4科目(うち数学が必修)、2年生で3科目、3年生で1科目に専攻が決まるという仕組みになっています。 今年は、1年生の時よりもより細かい内容を学び、来年の専攻科目を決めるという点で非常に重要な1年となりました。 私は、Chemistry B (有機と無機化学)、Materials Science, そしてPlant and Microbial Scienceの3科目を選択しました。 非常に珍しいコンビネーションで、私以外にこの3科目を同時に取っている人は今年はいなかったようですが、自分の中では納得して決めたつもりです。
以前から申し上げている通り、私は食糧生産、または食品ロス削減に繋がるような研究に興味を持っており、農業における肥料や農薬の分野に関わるChemistry, より効果的な食品のパッケージングなど身近な面でたくさん応用されているMaterials Science, 作物自体の収穫率を上げる研究などに直接関わってくるPlant and Microbial Scienceという流れで決めました。 このように、様々な分野をかじることができるのは、この学部の魅力だと思います。1週間の構図としては、各科目につき週に3回の講義、1回の実験、1回のスーパビジョンがありました。講義の数こそ少ないものの、 スーパービジョンの課題や実験のレポートに追われて、昨年よりも忙しかったと感じました。それぞれの科目について、軽く説明いたします。

1(I) Chemistry B
主に1年生の時に触れた有機と無機化学の延長のようなもので、特別難化した感じはありませんでした。ちなみに、物理化学はまた別でChemistry A という科目があり、3年時に化学専攻になることを既に決めている人はこの両方を取ることが多いです。Chemistry Bしかとっていなくても、 化学専攻になることはできますが、物理化学系の講座でいくつか選択できないものが出てきます。週に1回の実験に重きが置かれており、 長い時は午後1:45から6:00まで続くこともありました。レポートの提出が毎回課されて、初めは大変でしたが、段々と慣れていきました。

2 (II)Materials Science
昨年もMaterials Scienceを取っていましたが、2年生になって格段に難しくなったと感じました。他の科目と比べて、1年生の時の知識を覚えていないと厳しい場面が多かったです。また、週1回の実験に加え、プロジェクトの提出も課されて、かなりの時間を要しました。

3 (III)Plant and Microbial Science
この3科目の中では唯一生物系の科目で、毛色が全く違いました。他の2科目は、講義内容の冊子が配られて、プロジェクターで映される教授の書き込みを写していくという講義スタイルでしたが、生物系の科目では、講義内で使用されるパワーポイントとハンドアウトは支給されるものの、アノテーションはされないため、自主的にノートを取る力が重要となってくると感じました。テンポの速い講義だと、それが難しいと感じました。スーパービジョンも、他の2科目は問題を解いて提出するのに対して、生物系の科目では、エッセイを提出するという点で少し違いがあります。私は、昨年細胞生物学をとったものの、A levelで生物をとっていなかったので、初めはエッセイを書くことに苦戦していましたが、徐々に上達していくのを感じ取れて嬉しかったです。講義内でも、作物の改良など食糧生産に関わる内容がたくさん上がっていて、とてもワクワクしながら学べました。

2 課外活動
昨年度に引き続きChapel Choirの活動に参加しつつ、新しく剣道とアーチェリーを始めました。どちらももともと興味があったので、挑戦できて嬉しかったです。しかし、学期が進むにつれて忙しさが増し、勉強と課外活動の両立が難しくなっていったこともあり、アーチェリーを辞めて剣道に絞ることにしました。日本の武道が海外でどのように捉えられているかを見るのが興味深く、たくさんの優しい先輩方や友達に恵まれて、楽しく活動しています。中でも印象に残っているのが、オックスフォード大学との大会です。今年はケンブリッジ側がオックスフォードに出向きました。初心者ながらも大会に参加でき、新しい人ともたくさん出会えて素敵な思い出になりました。

3 インターン
夏休みに入り、6月末から8月半ばにかけて、University of Cambridge Department of Plant Sciences の、Environmental Physiology Groupでインターンをしました。期間中は、主に2つのプロジェクトに携わりました。1つ目は、とうもろこしの寒さに対する耐性に関わる遺伝子を見つけることを目的としたもので、2つ目は、レッドライトによる植物の気孔の開き具合の変化に過酸化水素水が携わっている可能性を探るというものでした。どちらも、地道な作業の繰り返しが多く、研究職のありのままの姿を見ることができた気がしました。例えば、とうもろこしのプロジェクトでは、320種類のとうもろこしの葉をサンプルして、低い温度にさらした上で様々な計測を行うというものでしたが、ただでさえ種類の数が多い上に、データの信ぴょう性を上げるために何回も計測を繰り返したので、膨大な数の計測を行いました。気孔の方のプロジェクトは、博士課程に在籍している学生さんの補佐をしましたが、1つのことを調べるためにどのように実験がデザインされているかなどを間近で見ることができ、とても貴重な経験となりました。また、Plant Biology Student Networking Eventというものに参加し、植物科学の分野でインターンをしている学生同士でポスターを作って研究内容を発表し合いました。似たような分野に興味を持っている学生さんのお話を聞けて良い刺激になったと同時に、私自身のプレゼンに対する苦手意識の克服への第一歩にも繋がったと思います。

4 来年の意気込み
来年は、植物科学を専攻する予定です。3年目の専攻に関しては、定員に対して希望者が多かった場合、2年目の成績順に決められていきます。(今年度はマーキングボイコットのためしばらくは成績が出ませんが、、、)薬理学など人気のあるものを除いて、基本的には希望通りの専攻に配属される印象です。ここで、来年度気をつけたいことを簡単にまとめます。

4(I)論文を積極的に読む
植物科学に限らず、生物系の科目では、講義外で読んだ文献をエッセイに盛り込むことが求められます。今年度は、スーパービジョンなどで論文を読む練習をして、まだ慣れていないながらも興味深い文献に触れる機会が多くありました。来年はより一層積極的に論文を読んで、知識の幅を広げていきたいです。

4(II)息抜き
Natural Scienceは、3年時の成績のみで卒業時の成績が決まるので、来年は非常にストレスフルな1年となることが予想されます。だからこそ、勉強漬けになって燃え尽きてしまうことがないように、課外活動や友達と過ごす時間を大切にしていきたいです。

4(III)将来の計画
早いもので、大学生活も残り1年となりました。これから大学院に行きたいのか、どのような研究をしていきたいのか、など、将来の計画を立てて、自分を見つめ直す時間も大切にしていきたいです。

最後に、これまでお世話になった財団の皆様に今一度感謝を申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。