早いもので、ケンブリッジでの生活1年目が終わりを迎えました。前回の報告書では、冬休みまでのことをお書きしましたので、今回は、春休み、試験期間、夏休みの3つに分けてご報告させていただきます。
今年の春休みは、3月の中下旬に始まりました。試験の日程は学部によって様々ですが、私が在籍している自然科学科では、6月の頭から中旬に向けて行われるので、春休みに試験勉強を開始しようと意気込んでおりました。しかし、4月にコロナウイルスにかかってしまい、そのまま病院に入院することになりました。この経験からわかったことといたしましては、イギリスは病状が悪化すると手厚く診てもらえるということです。始めの学期で耳の病気にかかった時は、緊急外来に行くなどしてもまともに取り合ってもらえませんでしたが、今回は病院に行った時に高熱かつ意識が朦朧としていたためか、すぐに病院に搬送され、空いている病室に入り、様々な検査を受けることができました。数日後に退院はしたものの、後遺症で咳と倦怠感、集中力の低下に1ヶ月ほど悩まされました。ちょうど試験準備期間に差し掛かっていたので、勉強のことが気になって休むに休めていなかったため、チューターに相談しました。すると、病気などで試験でのパフォーマンスに影響が出ると判断された場合の特別措置があることを説明してくれたり、スーパーバイザーとの個別キャッチアップセッションをアレンジしてくれたりしました。大学側からのサポートが手厚く、非常に助かりました。何か困ったことがあれば、大学の人に相談することをお勧めします。(思っていた以上に丁寧に対応していただけて、気が楽になりました!)
健康状態も少しずつ回復してきたため、5月あたりから本格的に試験勉強を始めました。これも学部によって違いますが、自然科学科は、3学期目まで講義があり、そこで習ったことも試験に出題されます。他の学部では、3学期目は講義がなく、試験勉強に集中する期間となる場合もあります。 私は今年、細胞生物学、化学、材料工学、数学の4つを履修しました。細胞生物学と数学は、それぞれ試験が2つ、化学と材料工学はそれぞれ1つで、3時間の試験を合計6つ受けました。試験勉強で心の支えになったのは、友達です。私はあまり社交的ではないので、たくさんの人と仲良くするということはありませんでしたが、幸いにも非常に素晴らしい数人の友達に恵まれました。彼らはそれぞれの得意分野において抜群に才能を持っていて、一緒に勉強することで新たなる考え方に触れたり、わからない問題を質問して話し合ったりしました。また、試験期間はプレッシャーを感じてストレスが溜まってしまいがちですが、食堂で一緒にご飯を食べて他愛のない話をして、時には励まし合って、メンタルを保っていました。本当に感謝しかありません。
試験を無事終えたら、メイウィークという、楽しい期間が待っています。私は憧れのMay Ballに参加することができました。今までにないくらい張り切って着飾り、美味しいものをとにかく食べまくったり、パフォーマンスステージの音楽に合わせてぴょんぴょん跳ねてみたり、観覧車に乗るなど、非常に楽しいひとときを過ごせました。試験後にこのようなイベントが待っていることは、モチベーションにつながりますし、メリハリもつくので良いと思います。
夏休み序盤には、所属しているDowning College Chapel Choir のスカンディナヴィアツアーでスウェーデンのヨーテボリとノルウェーのオスロ、ベルゲンに行きました。リハーサルとコンサートの合間に観光時間が与えられ、とても充実した旅となりました。特に印象に残っているのは、ヨーテボリの小さな島にフェリーに乗って行き、島の教会でコンサートを開いたことです。小さくて可愛らしい教会で、晴れた天気の中たくさんの方々が聴きに来てくださりました。終わった後には「歌いにきてくれて本当にありがとう」と声をかけて帰っていかれた方がたくさんいて、今まで長い間人前で歌ってきてこのように感謝の気持ちを伝えていただいたことはなかったので、感動しました。一生忘れられないような1日となりました。
その後は、私が興味を持っている分野の一つである植物科学のサマースクールに参加しました。元BBCの科学系記事の記者をされていた方から、科学を一般の方々にどうわかりやすく伝えるかということ学び、それに基づいて植物科学に関するビデオ制作に取り掛かりました。12月にライブストリームが行われるので楽しみです。
このようにして、あっという間に1年が終わりました。支えてくださった家族、友達、財団の皆様に今一度感謝申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。