お知らせ

Nさん(University of Cambridge, Natural Science / Fettes college出身)

10月に念願のケンブリッジ大学に入学し、不安を抱えながらもいち早く新しい生活に慣れるように頑張って過ごしてきました。入学式の日の夜には、新入生と教授の方々とのフォーマルディナーがあり、なかなか聞けないような興味深いお話をたくさん聞かせていただいて、非常に濃い経験となりました。そのパーティーでは、こんなに素敵な環境でこれから勉強できるなんてなんて幸せなんだと感極まる瞬間もありました。

今回は、イギリスの医療制度に焦点をあててお書きしたいと思います。ありがいたいことに、パブリックスクールにいた二年間の間、一度も病院にかかることがありませんでした。それ故に私が医療の仕組みをきちんと把握していなかったことで痛い目を見ました。他の皆様には私と同じ思いをしてほしくないので、少しでも参考にしていただければと思い全てを書きます。

大学に入学して2週間ほど経った頃、朝起きたら急に耳が聞こえづらくなっていました。その時は、すぐに治るだろうと思って大して気にしていませんでした。しかし、数日後急に耳が痛くなり始めたので、病院に行こうと思いました。日本にいたならば、近くの耳鼻科に保険証を持って駆け込めば耳鼻科の先生に診ていただけるはずです。しかし、イギリスではまず最初にGP(オールラウンダーのお医者さん)に行く必要があります。GPは、住所によって登録できる場所が違ってきます。学区のようなものです。私はまず最初にGPを登録しなければいけないと言われ、電話をかけて必要書類を出し、登録しました。これが受理されるには通常数日かかるらしいのですが、私があまりにも痛いからと騒いで交渉したので優先で登録していただけ、数日後に予約を取ることができました。(予約しないと、その日のうちに診てもらえないのも日本との大きな違いの一つだと思いました。)そこで初めて診ていただいた時は、外耳炎だと言われ点耳薬を処方され、1週間使って良くならなかったらまた来てと言われました。しかし4日ほど経って痛みがひどくなってきたので、また電話して予約をねじ込んでもらったところ、1週間経ってないのに来たと怒られ、別の点耳薬を処方されました。
結果的にずっとよくならなかったのですが、日常生活はかろうじて送れていたので放っておいたところ、10月末に急に耳が異常に痛くなって、難聴、めまい、耳鳴りがあまりにもひどくなりました。しかし、土日は普通の病院は閉まっていて、痛くなったのが金曜日の夜だったので、仕方なく唯一開いている緊急外来まで、夜中にタクシーを拾って行ったところ、たかが耳だと言われ、ひどく出血したり失神したりしていないということで追い返されてしまいました。その時に、緊急外来とは別の建物で応急手当てのような形で抗生物質を処方されました。次の日もさらに痛みがひどくなったのでまた緊急外来に行ったのですがやはり追い返されて、応急手当ての建物で4時間待たされた末ものすごく強い痛み止めだけ出されて帰されてしまいました。数日間痛みで寝てなかったのですが、その痛み止めを飲んで失神したかのように眠りにつきました。しかし次の日の朝、異常な腹痛で目が覚めて、トイレへと駆け込んだところ血便が止まらなく、めまいもひどくてトイレまで歩くのにも壁に頭をぶつけまくったので、また緊急外来へ行ったところ追い返されて応急手当てとして別の抗生物質に変えられました。寮のスタッフにも相談したのですが結局何もしていただけず、自分一人でなんとかしなければならない状況にものすごく不安を感じました。
色々なプロセスを経て耳鼻科の先生にも診てもらえたのですが、それは痛くなってから一ヶ月後のことでした。しかも薬を耳の中に塗ってもらって3週間後にまた来てと言われ、ゆるゆるな感じでした。

このままでは治らないと思い冬休みに日本に帰ることを決めました。学期末に聖歌隊のツアーでロンドンに行ったので、そのままヒースロー空港へと向かい無事に日本に帰れて、治りました。聖歌隊のツアーでも、耳が異常に痛かったのですが、例の強すぎて怪しい痛み止めを飲んで、フラフラしつつもなんとか耐え切れたのでよかったです。飛行機の中で鼓膜がまた破れたので、痛みが引いたのが唯一の救いでした。

結果としては、耳が痛いのは中耳炎で鼓膜が破れたからで、難聴やめまいは内耳炎、血便は抗生物質が合わなかったことによる薬剤性出血大腸炎とのことでした。

長々と体験談を話してしまいましたが、締めに、これを通して今回私が学んだことをまとめて書こうと思います。
1 免疫力を日頃から上げておく
イギリスでは、GPが診て、専門家のヘルプが必要だと思わない限り、耳鼻科や眼科などの専門医の方には診てもらえません。そしてGPの予約も非常に取りにくく、専門医に紹介されてからも診てもらえるまでに時間がかなりかかります。そのため、そもそも病気にならないという事がいかに大切かあらためて実感しました。
2 薬に気をつける
今回私は大量の抗生物質を処方されたため大腸炎になってしまいました。イギリス人と日本人だと、体のサイズや薬との相性もだいぶ変わってくるので、処方されたものが適切か自分で考える必要性があると感じました。
3 日本から薬を持っていく
痛み止め、胃薬など、やはり使い慣れているものや日本人の体質に合ったものを少しだけでも持っていくようにすると安心だと思います。

今学期は、課題などは全て出し、何も溜めずに過ごせたものの、身体的にも精神的にも限界を感じることが多く思うように勉強を楽しめなかったので、来学期は、勉強に集中してもっと楽しく大学生活を送れるようにしたいです。たくさんの方にご心配、ご迷惑おかけしてしまい申し訳ありませんでした。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。