Kさん(University College London, Economics / Kingswood School出身)
大学へ向かう道、吐いた息が白く消えていくのを見るのが好きだ。
UCLでの大学生活が始まり3ヶ月がすぎた。新しい土地、慣れない一人暮らし、コースやSocietyを通しての新たな出会い、息をつく暇がないほど目まぐるしかった日々が落ち着き、ようやくロンドンという街を自分の居場所だと感じられるようになってきた。大学生活は高校までと大きく異なり、自由と可能性に満ちている。何をするのも、しないのも、全て自分で決めることができる中、自分を見つめ直し、考えて決断、行動することの大切さを感じた。今回のレポートでは3ヶ月の間で痛感した「選択」することの大切さに焦点を当てて報告したい。
留学してからの最初の2年間は、常に大学受験が頭の中にあった。行きたい大学で興味のあるコースを学ぶという目標があり、そのための勉強や様々な課外活動に取り組む日々を送っていた。その目標を達成し、UCLに入学してからしばらく、次の目標が見つからないまま自分の持つ選択肢の多さにめまいがした。例えば、UCLには100を超えるSociety (サークルのようなもの)がある。Business societyやconsulting societyといったキャリア系のものからbaking societyまで、その種類は多岐にわたり、どこに所属するか、どれほどコミットするかは個人の自由だ。また、経済学部ならではかもしれないが、入学後1週目から同級生の間ではSpring week (金融系の企業が募集する1年生向けインターンシップ)への応募についての話題が持ちきりだった。どの企業に応募するか、しないか、は個人の自由だ。Societyの活動、spring weekの応募、学業と並行し、Business society やinvestment societyでは毎週のようにケースコンペティションが開催され、誰でも自由に参加することができた。授業以外の自由な時間を何にどのくらい費やすのか、正解はない。最初の1ヶ月は何もかも経験だ!と様々なsociety, competitionに参加する日々を過ごしていたが、忙しくすればするほど、一つ一つにかけられる時間が減り、そこからの学びや成果が得にくくなることに気づいた。全てに闇雲に参加することは、可能性を広げているようで、実は特定のことに集中し学びを得る機会を減らすリスクも秘めている。様々な機会があるからこそ、自由だからこそ、自分が将来何をしたいのか、そのために今何をするべきなのか考え、それに基づいて自分で行動を選択する必要があると感じた。
将来自分が何をしたいのか、今はまだわからない。留学を決めた3年前は、イギリスに行けば、新たな環境に身をおけば「何か」が見つかるのではないかとただ漠然と考えていた。大学生活は「何か」を見つける3年間にしたい。そのために、様々な人と出会い、話を聞く機会を大切にしたい。UCLには留学生が多く、私のいる経済学部の半数以上が留学生だ。生まれ育った国を離れ、海外で勉強することを選択した背景は人それぞれだ。なぜ?という問いを軸に、友達から話を聞くことで、思わぬ共通点が見つかったり、新たな学びを得ることも多い。留学生活3年目を迎え、新たな価値観に出会い、新鮮な驚きを感じることは減った。だからこそ、出会う人一人一人と話す機会を大切にし、新たな学びを得ていきたいと思った。
自分のことを改めて振り返り、リーダーシップを取ること、チームで新しいものを作り上げることが好きだと感じた。将来に向けて、自分の好きなことでの実績を積むことが大切だと思い、UCLの大学院生が立ち上げようとしているスタートアップにメンバーとして加わった他、Japan Societyのfirst year committee となった。出会い、リーダーシップ、zero to one の3つをキーワードに、学生時代に成し遂げたいことを具体的な目標として決め、自分が今何をすべきなのかがより明確に見えるようになった。可能性に溢れた大学生活だからこそ、周りに流され、自分を見失いそうになることも多い。その度に、自分を見つめ直し、目標に立ち返り、選択することを心がけていきたい。
9月から始まったUCLでの大学生活は5年間のイギリス留学の第二章だ。留学生活に慣れてきたからこそ、日々の学びを大切に、一日一日を生きていきたいと思う。
最後になりましたが、いつも変わらずにサポートしてくださるTazaki財団の皆さんに改めて感謝いたします。いつもありがとうございます!3年間の大学生活も与えられた学びの機会を大切に頑張ります。