お知らせ

Fさん(University of St Andrews, Computer Science and Economics / Christ's Hospital出身)

一年を振り返ると、大学生活の集大成として充実した日々を楽しむことができました。大学の授業も昨年度に比べ、さらに専門的な内容を学ぶことができ、秋から社会人として働く際に学習内容を活かす準備ができたと感じています。

Computer Science

Critical Systems Engineering
社会的に必要不可欠なシステムを開発・運用するための知識を学びました。
Critical Systemとは何か、システムが安定してサービスを提供するために必要な開発手法、そしてどのように信頼性を測るかについて、毎回ケーススタディを用いたディスカッションを通じて理解を深めました。ケーススタディでは実際に失敗したシステムの事例を分析し、その原因や対応について議論しました。
最終週には、一つの事例を個人で分析し、Critical Systems Engineeringの観点から特定された原因と対策を10分間のプレゼンテーションで発表しました。

Software Quality
「良いシステム」とは何かをテーマに、品質の高いシステムを作るための知識を学びました。
隔週のゲストレクチャーでは、世界的なIT企業やコンサルティング会社で働く卒業生、ソフトウェアテストを専門に研究している教授が、それぞれの「良いシステム」の定義や実際の工夫、職場でのQuality Controlについて講義してくださいました。今年度初めて実施された授業であったため、受講生として学ぶだけでなく、授業を一緒に形作っていく経験ができたことも大変貴重でした。

Artificial Intelligence Principles
Software Projectに向けてAIの基礎を学ぶために受講しました。開発に必要な知識や基礎技術に加え、AIの歴史や倫理的な側面についても幅広く学びました。
課題エッセイでは「過去5年間で起きたAIの大きな発展またはニュース」というテーマのもと、生成AI画像の著作権問題を取り上げ、学習データの権利や生成された画像の所有権に焦点を当てました。
クリエイター、開発者、プラットフォーム事業者など様々な立場を比較することで、生成AIと社会との関わりを深く考えることができ、テクノロジー全体における倫理の重要性を再認識する良い機会になりました。

Software Project
通年で一人でソフトウェアを開発しました。
テーマは Solving Puzzle Games using Good Old Fashioned AI で、Nonogram(お絵かきロジック)を基本的な探索手法のみを用いて、機械学習を使わずに解くAIを開発しました。好きなパズルをプロジェクトとして扱えたことが非常に嬉しく、同時に、アイデア段階から完成まで一人で作り上げる難しさも実感しました。
教授の丁寧な指導と温かい励ましのおかげで、最終的に自信を持てるプロダクトを作ることができました。

Economics

Computational Economics
大学出願前から受講を楽しみにしていた授業で、経済学の問題を解くためのプログラミングを学びました。Mathematicaを用いてマクロ・ミクロの幅広い経済問題に取り組み、とても実践的で刺激的な内容でした。

Innovation Ecnomics
イノベーションに伴う、企業のインセンティブや競争状況による影響について学びました。

Econometrics of Impact Evaluation
昨年度に学んだEconometricsおよびAdvanced Econometricsの知識を応用し、経済政策の因果効果を評価する手法を学びました。課題では「学術雑誌の編集者として、論文を掲載するか否かを判断する」というテーマのもと、計量経済学の手法や前提条件を批判的に検討し、論文全体を評価しました。

今年は学業が非常に忙しく、授業やプロジェクトに全力を注ぐ日々が続きました。そのため自由にできる時間は限られていましたが、サッカー観戦に出かける時間は格別に楽しく、日常の中での大切な喜びとなりました。
観戦を通じて築かれたコミュニティは、異国での生活の中で心の支えとなり、困難や忙しさを乗り越える力にもなりました。
また、昨年度も感じたように、私の行動や挑戦には常に多くのインスピレーションとなる物事や人が存在しており、年齢も背景も異なるさまざまな方々が私に大きな影響を与えてくれました。

出発前のメッセージで「悔いのないよう全力で楽しみ、それ以上に努力していきます」と書きました。振り返れば、至らない点もあったかもしれませんが、自分なりに楽しみ、努力し、悔いのない充実した6年間を過ごすことができたと思います。

そして、留学を通して私が強く感じたのは、常に自らの好奇心を大切にし、得た感動や刺激を糧に前に進み続けることの大切さです。この姿勢をこれからも忘れず、社会に出てからも挑戦を楽しみたいと思います。

家族には、6年間の留学生活を支えてくれたことに心から感謝しています。
留学という大きな挑戦を決断する際に、迷いや不安を抱える私を信じ、背中を押して支えてくれたおかげで、困難な時期も前向きに取り組むことができました。

このような貴重な学びと経験を得られたのは、長年にわたり惜しみなくご支援くださった田崎さんをはじめ、財団の皆さまのおかげです。安心して学業に専念できる環境を与えていただき、挑戦の機会を与えてくださったことは、私の成長と人生の方向性に大きな影響を与えてくださいました。
心より深く感謝申し上げます。ありがとうございました。