お知らせ

Mさん(Lancaster University, Biochemistry / Christ's Hospital出身)

普通の日常が当たり前ではなくなってから早くも一年半が経とうとしています。私のLancaster Universityでの一年目も想像とは全く異なる環境下での生活となりました。
去年の9月末にwelcome weekの二週目に合わせて父と渡英し、私の大学一年はスタートを切りました。急遽コロナウイルスの影響でeaster holiday前に離れたChrist’s Hospitalにまず立ち寄って、寝具類を含めた荷物を父とレンタカーに運び込み、そのままの足で二年間お世話になったホストファミリーの自宅へ挨拶に向かいました。ちょうど平日のお昼だったのでホストファミリーの娘さんたちに会うことはできませんでしたが、半年ぶりほどの再会で思い出話に花が咲き、改めてホストファミリーは私の中でとても大きな支えで、心のよりどころになっているんだなと思いました。
名残惜しさもありながら、ホストファミリーの自宅を出発してLancasterまで父の運転で向かうこと5時間。Christ’s HospitalのあるHorshamよりももっと緑に多く囲まれ、羊や馬たちが見えるいわゆるcountrysideの雰囲気が漂ってきました。この自然豊かな環境は私がLancaster Universityを選んだ要因の一つでもあり、実際にロックダウン時期に散歩に出て気持ちよくリフレッシュすることができました。
Lancaster Universityはイングランド北西部に位置するLancashire地方に位置していてカレッジ制を取り入れている数少ない大学です。合計9つのカレッジがあり、私はそのうちのFylde Collegeと呼ばれる大学の中心部に位置するカレッジに住んでいます。
カレッジごとにそれぞれ様々な種類のaccommodationがあり、幅広いタイプの部屋の種類から選ぶことができます。私が選んだ部屋はトイレとシャワーが部屋に併設されているensuiteというタイプのもので、特にこのコロナ禍で自分専用の水回りが部屋に含まれていたのは本当に有難かったです。私の部屋はFylde collegeの棟のうちのひとつ、Thorntonの6階に位置していました。一つの階に二つのフラットが存在しており、大体7,8人が一緒のフラットに住んでいて、そのフラットメイトたちとキッチンを共有して過ごします。
男女混合のフラットなのでまたChrist’s Hospitalのころと雰囲気が違いますが、Grecians(year12)で男女混合のaccommodationに住んでいた経験があるので、そこまで抵抗はありませんでした。私がLancaster Universityに到着したときには同じフラットには同性が一人もおらず、とても心細かったですが、フラットの男の子たちがとても騒がしかったので勉強以外の時は微笑ましかったです。一ヶ月くらい経ってから、香港から二人の女の子たちが同じフラットに住み始めたので、対面授業が無い分になかなか出来なかった友達がやっと出来た気がしてとても嬉しかったです。
Michaelmas termの始めはロックダウンこそ無かったものの実験が数回ほど行えただけでそれ以外の授業は全てオンラインでの配信となっていました。Termが始まって一か月半後にはイギリスでの二度目のロックダウンが施行され、Lent termも三回目のロックダウンで完全に部屋にこもりっきりのかなり孤独な大学生活となってしまいました。このような状況下でも各courseの先生方はteams等をフル活用して対面授業と同じくらいの濃さの授業内容を目指してくださりました。
勉強だけでなく私の所属しているDance societyでも先輩方がオンラインレッスンやオンラインイベントを定期的に開催してくれたことで画面上ではありますが、同学年の同じサークルの友達と出会う機会もできました。そのおかげでsummer termのテスト後にやっと行うことができるようになった大学の野外イベントでのダンスパフォーマンスで同期の友達とやっと本当の“友達”になれた気がしました。Biochemistry courseのBiology, Chemistryのどちらの実験でも全てソーシャルディスタンスが理由で一人黙々と実験を進める方式がとられていたため、まだ同じコースの友達は作れていません。
そんな中、大学二年目を迎えようとしていますが、先日大学からの連絡で今年からLancaster Universityは対面を基本に授業を進めていく方針だとして、やっと“普通”の大学生活が始められそうだとワクワクしています。去年のコロナウイルスパンデミックが教育業界でも転機となった模様で、Lectureの録画配信化が部分的に続けられると共に、実験も一人で取り組むことでより高い実験スキルが身につけられたというフィードバックが多かったことから、単独での実験をメインに、ただし実験室でのグループワークも後々重要になってくるため、いくつかの実験は複数人で行う形式になっていく予定だそうです。

このコロナウイルスパンデミックをきっかけに個人でも企業でも教育機関でも、様々な分野での方針転換がはっきりと見え始めている頃なのではないかと思います。イギリス政府が世界のどこよりも早くも打ち出した“コロナウイルスとの共存”はその方針転換の大きな道標ではないでしょうか。この短期間でその選択が正しかったのか定かではありませんが、社会においても個人の人生においても大きな決断は力のいるもので決して容易なことではないうえ、結果も追って直ぐに出るものではない事が大概のパターンだと思います。
幾度となく訪れる転機では数学的または科学的データに基づいてゆっくり決める事も大事だと思いますが、意外と自分の直感を信じるのも(知識と教養を十分身につけた後でですが)大切な気がします。