フルッフルの大学生活とはこれかと、くらった2年目でした。
イギリスではコロナの規制がほぼ無くなり、授業やsociety活動などあらゆるイベントが対面で行われました。ケンブリッジの大学街が毎日観光客で溢れかえる様子も、コロナ禍から社会機能が回復しているというひとつの目安のようで嬉しく感じました。通学時に街を自転車で通りにくくなったということは否めませんが。
期間は4週間。チームの結成からロボットコンテストでの実演まで、怒涛の4週間でした。
障害物を越え、スポンジなどの小さな物体を決まったエリアに持っていくという課題を効率よく達成できるようなデザインを目指しました。一つのチームが、mechanical、electrical、softwareの3つのサブチーム、2人ずつで構成され、私はmechanicalの担当としてCADソフトによる部品のデザインやロボットボディ内の位置の最適化、調整に取り組みました。
実際に手を動かしながらブレインストーミングができること、また急ごしらえの考えをチームメンバーとのインテグレーションを通じて、スピード感をもって進めることは、対面でプロジェクトを行う醍醐味でした。コンテストまでの日々、夢中で取り組み、これで上手くいくと思える形にまで仕上げることができました。しかしその矢先、コンテスト直前にロボットに問題が起きました。その状態でできる最善のパフォーマンスを実現するにはどうすればいいのか、チームで必死に対処しました。メンバーの動揺、結果への不安の中、即断即決のスピード感を味わいました。
今思えば、最後のトラブルすらも苦い良薬、味わい難い妙味であったと思えます。
短い期間で課題解決のために、チームが生産的に機能するよう、メンバーで協力関係を築き、互いにそれを維持することは、プロジェクトの中で一番の難所でした。一方で、技術的な問題と対峙し、絶対的な正解項のない中で黙々と作業を進めるのは、なかなか疲れるものでありながら、陳腐な言葉ですが、とてもやりがいがありました。
こうしたプロジェクトでの体験も通して、ケンブリッジ工学部では、最初の2年間は工学の基礎を幅広く学び、3年目以降に専門分野を選択できるようになっています。選択肢を広く持ったまま、前半2年間さまざまなスキルを身につけることが可能です。私は高校生の頃は宇宙工学に興味がありましたが、2年間みっちり学んで考えた結果、来年度からは違う分野を専攻することにしました。専攻分野が決まった上で取り組む研究やプロジェクトは、絶対的な正解項のない形になります。私が今年取り組んだものよりも本格的にテクニカルになるでしょうから、今から武者震いがします。
学年末のある日のsupervisionの終わりしな、 今後の専攻分野をどうするか学生同士で色々話していると、supervisorからこのようなことを言われました。 「常に社会をリードしているのは、テクノロジーだ。テクノロジーを自分の基盤に持っていればなんでもできる。」思う存分に学べる環境と機会を与えてくださった財団の方々には、年々感謝の気持ちが増すばかりです。これからも自分の信条のもとに精進していこうと思います。