私が住んでいたロンドンでは、3月中旬から感染拡大が始まりました。それに伴い、オンラインでの授業が開始したものの、当初は、以前と変わらず外食やパブに、感染予防をせずに多くの人が行っていました。
3月下旬、ロックダウンが始まったことで、身の回りでも具体的な変化を感じるようになりました。
まず、感染が拡大したことで、大学の年度末の対面試験を実施することができず、進級の是非がレポートの結果で判断されることになりました。この変更により、今までの試験の結果が取り消されたことを残念に思いつつも、例年の試験とは異なる形式と評価基準に適応し、最終的には、納得のいくレポートを提出することができました。
また、生活面でも様々な変化が起きました。学生寮からは多くの生徒が実家やホテルに移動し、スーパーマーケットでは買い占めが起きました。特に、学生寮では、政府のガイダンスに則り、食堂やエレベーター内でもソーシャルディスタンスや会話の制限のルールが課されました。そのような状況で、私の寮では、残った学生たち(1000人前後いた寮生が100人以下に減りました)が、お互いをサポートしあうことが重要であると強調していました。
イギリスでのロックダウンの期間は、陰謀論などを訴えるデモが起きたり、ロックダウンのルールを破った人には厳しい処罰が科せられたり、と社会的に不安と緊張で満ちていた時期だったと感じています。ただ、非常時でもそれぞれの役割を果たす人たちへの感謝を大切にするなど、その前向きに行動する姿勢が、印象に残っています。このような社会が比較的不安定な時期にイギリスに滞在し、各エージェントがどのように行動し、対応していたのか、身をもって体験することができたのは、良い経験だったと考えています。
私は、大学がオンライン授業を開始した3月には、日本に帰国してもよかったものの、夏にイギリスでアルバイトなどの社会経験を積むつもりだったので、ロンドンに残っていました。しかし、コロナの影響が長引き、実際にそのような経験を積むのは難しいとわかり、最終的には日本に帰りました。帰国後、夏休みの間、アルバイトやインターンシップなどに参加しました。学生生活とは異なる体験をすることで、社会経験を積むことができたのみならず、自分自身に不足しているスキルや知識を見つけることができました。
進級した9月以降もすべての教育がオンラインで行われています。授業の予習は、事前に録画されたビデオや図書館の電子リソースを利用し、講義と少人数制の授業は、ライブで配信されています。グループワークに対しては、オンライン通話をしながら、議論したり、課題を進めたりしています。
リモートの授業により、キャンパスに通うことがなくなり、(他学部の生徒含めた)人と直接関わる機会などがなくなった一方で、同学部の他生徒と新しい形で関わることができるようになったことが、利点の一つだと考えています。例えば、何か講義の内容に対して疑問を感じた際には、以前までは各自オフィス・アワーを活用していましたが、現在は時差の影響もあり、多くの生徒が学部のインターネット上のフォーラムを主に活用しています。それにより、ある主題について、教授の考え方を知りやすくなっただけではなく、他生徒とも意見や情報を交換しやすくなったと感じています。
このように、以前とは異なる環境で学んでいますが、その長所を生かしながら、引き続き勉励していきたいと思っています。また、これからは、勉学に励むだけではなく、将来について多くの決断をする必要がある時期だと認識しています。自分が今まで培ってきたことを、どのようにして今後発揮したいのか、残りの留学期間を有意義に使い、結論を出していこうと考えています。
今後もコロナウィルスの影響などで、以前のような留学生活を送るのが難しい状況に直面することもあると思いますが、昨年に経験したように、前向きに適応しつつ、今後も精進していこうと思います。