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Nさん(University College London , Linguistics(International Programme) / Kingswood School出身)

私は今年9月からイタリアのCa’ Foscari大学に交換留学を開始し、2022年6月までヴェネチアにて言語学をより深く学びたいと考えています。今回のレポートでは、Ca’ Foscari大学での授業の様子、ヴェネチアでの生活、そしてイタリアの他の地を訪れて感じたことについて報告させていただきます。

UCLで学んでいた理論的な言語学に加えて、Ca’ Foscari大学では今学期英文学やアングロ・アメリカン文学、ヴェネチアのアート史の授業にも参加しています。コロナウイルスの影響は学生生活においてほとんどなく、室内においてマスクの着用義務があるのみで全ての授業で対面授業が行われています。もちろんZOOMにて参加することも可能ですが、できる限り教室に来て授業を受けることが推奨されています。UCLではこれまで全ての授業がZOOMにて行われてきたので久しぶりに毎日大学に通う感覚を味わうことができ、非常に嬉しいです。
UCLの言語学部では現在少人数のクラスのみ対面に切り替わっているのですが、(配信メールのみの情報なので、実際は多少違うかもしれません)ここにイギリスとイタリアの大学での学び方の違いが表れていると感じました。UCLでは授業の約半分が講義形式、残りの半分はTutorialにて学生同士がディスカッションし合う形式になっています。対照的に、Ca’ Foscariでは私の受けている全ての授業が講義形式で、質問がある場合以外生徒が発言をすることがほとんどありません。
そのため、比較的多くの生徒が教室に集まっても飛沫感染の心配がイギリスよりも低いためにこのような措置が取られているのではないかと考えます。また、課題の内容UCLではエッセイの作成やグループワークがメインだったのに対し、こちらでは一人で複数の設問に答えるのみの課題が非常に多いです。授業外で学びを深める機会が少ないからこそ、授業時間中に対面でしっかりと理解することが重要視されているのかもしれないと思いました。

ヴェネチアでの日々の生活はロンドンとも東京都も全く違い、新しい文化に日々触れている刺激で時間があっという間に過ぎています。教室内と同様に、スーパーマーケットやヴァポレット(島内の海を移動する水上バス)内ではマスクを着用する必要がありますが、それ以外はレストランやバーも通常営業をしておりコロナを気にかけている様子はほとんどありません。毎週水曜日や土曜日には多くの学生が’Campo Santa Margherita’という広場に多数存在するバーに集まるため、コロナ前の東京のような賑わいを見せています。ヴェネチアのあるVerona地方はイタリアの中でもお酒が有名で、ヴェネチアでは皆がSpritzというオレンジ色のお酒を飲んでいます。夕食前にSpritzを飲む’Aperitivo’という文化も盛んで、夕方ごろにはバーの前のテラス席でオレンジ色のお酒を飲む人々が多く見られます。イギリスのパブの文化とは異なり、イタリアでは皆外の席に座ることを好みますが、これからの冬の寒い季節はこの光景も変わっていくのかが気になります。
また、ヴェネチアに来て一番驚いたのは街中にたくさんの犬がおり、そのほとんどがリードをつけずに歩いていることです。イタリア人の友達に聞いたところ、本当はリードをつけなければならないが、ヴェネチアでは車が走っていないため多くが自由に歩かせているとの事でした。確かに、ヴェネチアでは車はもちろん自転車やスクーターに乗る人もほとんどおらず、信号すらないためペットにとっては非常に良い環境であると言えると思います。その分人間の移動は大変ですが、基本的には徒歩で移動し、稀に遠い場所に行く時のみヴァポレットを使うので東京などの交通インフラが完璧な都市に住むよりも健康的な生活を送ることができると思います。

9月に留学を開始してから、ヴェネチア以外にもヴェローナ、ローマそしてミラノを訪れました。イタリアではグリーンパスさえあれば基本的に移動は自由なため、多くの学生が週末を利用して他の都市に旅行をしています。ヴェローナはロミオとジュリエットのバルコニーのモチーフがあり、ジュリエット像に触ると恋愛もしくは金運が上がるという伝説のあるイタリア北部で非常に人気の観光地です。その他にも有名な教会が多数あり、ヴェネチアよりも都会ながら自然も多く残る素敵な場所でした。ローマは見所が非常に多く、日本でも有名な「ローマの休日」に登場するスポットも見ることができたのが非常に印象的でした。観光客も非常に多く、おそらくヨーロッパ圏では皆あまりコロナを気にせず普通に海外旅行もしているのだろうなと実感しました。ミラノは他の街とはまた異なる近代的な街の雰囲気がありました。もちろんドゥオーモなど歴史的建造物もありますが、煌びやかな建物やファッショナブルな人が多く、イタリアの中でも異質な街であると感じました。
私たちがミラノを訪れた際にちょうど大規模なグリーンパスに反対するデモがあり、バスの運行がストップしてしまったりとハプニングもありました。ヴェネチアを含め、イタリア国内ではグリーンパスの使用に関して「私たちの行動を監視している」「ワクチンを受けないと行動が制限されるのはおかしい」と抗議するデモが各地で行われています。現状のイタリアやヨーロッパのグリーンパスの使用状況を踏まえて、日本ではより良い形でワクチン接種証明書の利用を進めていって欲しいとも感じました。

長くなりましたが、これまでの約2ヶ月間のイタリア生活は、イギリスで慣れ親しんだ文化や言語との違いに驚きつつも、日々受け取る刺激が多く非常に実りのあるものになっていると思います。残りの約8ヶ月間も最大限活用して、得られる全てのものを吸収して最後のイギリスでの1年間に備えたいと思います。