東京都立日比谷高等学校を卒業後、UCLのファウンデーションコースであるUPCHに進学し、2024年9月から同大学のPolitics and International Relations BScに進学予定の者です。
高校時代にTazaki財団に応募した際、私は英国で開発経済学を修めることを目標にしていました。しかしながら、葛西先生と話す中で、「もう少し高い視点を持った方が良い」との言葉を受け、専攻を開発経済学から政治学・国際関係へと一段階視座を上げました。開発経済という、過去の植民地政策や帝国主義といった政治、国家間関係が深く関わる学問を学ぶのであれば、その土台となる政治学・国際関係論を理解しておく必要性があるのではないかと考えたからです。この選択が正しいものだったのか否かは現時点ではわかりませんが、この選択が正しかったと思えるような学部課程3年間を過ごしたいと考えています。
ファウンデーションコースの1年間で私はエッセイの書き方をはじめ、様々なことを学びました。選択科目では近代ヨーロッパ史・政治と地理学を学びました。おそらく日本の一般教養で学んでも同じ感想を抱いたと思いますが、私が疑問に思っていること、説明したいと考えていたことが学問分野の一理論として存在し、それが異なる視点から解説され、説明され、議論されていたことに喜びを感じました。気持ちとしては、部屋に散乱する取るに足らないものが、回収され、修理され、あるべき場所に一つ一つ収納されていった感覚です。ファウンデーションコースは英国の大学に直接進学する資格を有しない学生に、大学進学資格を付与することを目的として設立されたものです。したがって、授業の進度は速く知識の定着を主とした感じで、それぞれの事象を細かく分析するといったことはあまり行われていない印象でした。また、ファウンデーションコースは学部と異なり、英語を母語としない学生がほとんどです。よって、9月からの学部課程では、ファウンデーションコースで学んだ事柄の深堀を楽しむと同時に、大きく変わる環境に適応できるよう、用意していきたいと考えています。
1年間のファウンデーションコースでの学習の間、私はUCLの寮に住んでいました。英国は多文化社会と称せられており、日本の移民の割合が2.3%であるのに対してロンドンは50%です。UCLの内部の話をすれば、約半数がInternational に区分される学生です。日本でマジョリティである日本人として生まれ、マジョリティとして生きてきた私はロンドンでマイノリティとなり多様性を構成する人間となりました。寮で提供される食事内容が日本とは違う、シャワーをする頻度が違うといった、文化の差として理解できる違いは勿論ありました。一方で、深夜に騒ぐ、禁止されているはずなのに寮の中で薬物を使用する、共有の冷蔵庫で食べ物を腐らせるといった、文化の差として許容できないものも数多くありました。異文化多様性を尊重するロンドンで1年間暮らした中で、どこまでを異文化として受け止め、どこから個人の性格として捉えるべきか判断に苦しむ場面が多々存在したというのは事実です。したがって、残りの3年間の留学生活において、個人は異文化の中でどのように行動すべきかを突き詰めたいと考えています。