お知らせ

Kさん(University of Bristol, Aerospace Engineering/都立青山高等学校出身)

私は2020年3月に東京都立青山高等学校を卒業後、2020年9月から翌年6月にかけて University of Bristol の大学進学準備コースの一つであるInternational Foundation Programme (Science, Technology, Engineering and Mathematics)を学び、現在は同大学で Aerospace Engineering、航空宇宙工学 を専攻しています。
まずは、私が大学に進学するにあたりご支援してくださった財団に心から感謝いたします。今となって振り返ると、私が高校在学中にTazaki 財団の存在を知ったことが海外で学ぶことについて具体的に考える最初のきっかけだったと思います。
はじめは教室の後ろに貼られたA4の紙をなんとなく読んだだけでしたが、財団の活動について調べていくうちに海外、特に英国で学ぶことに興味を持つようになりました。最終的に留学奨学生としては選考されませんでしたが、第二期語 学研修生として様々なご支援をいただきました。
ブリティッシュカウンシルで英語学習のコースを1年ほど受講させていただいたほか、2018 年の夏には Tokyo Oxford Programme of Summer (TOPS)に参加して、実際に英国を訪れて西洋古 典学や法学について学ぶことができました。この語学研修で少人数での議論を主 体とした授業や Tutorial を体験したことで英国の教育制度に惹かれ、私は英国の大学に進学することを決意しました。 私は母親がタイ人のハーフであり、日本とタイの二つの背景をもって高校卒業まで日本で育ちました。それまでは周囲に日本以外の国の背景をもった人があまりいなかったのに対して、英国では大学や地元のコミュニティなどで様々な国籍や宗教などの背景を持った人が多く活躍していることを実感しました。また、大学の友人にも複数国の背景を持った人が何人もいることから、財団の選考の際に葛西先生がおっしゃった「あなたがハーフであるということは日本では珍しいことかもしれないが、英国ではそれは珍しいことではなくなる」という言葉が本当だったこともわかりました。英国に渡って学ぶことで、多様性のある環境とはどのようなものなのかをより理解できたように思います。
私のいるブリストル大学の航空宇宙工学科では、1年目に Industrial mentoring という実際に工学の産業で働く人と複数回のミーティングをする機会があります(教授によると工学部生全員がこのMentoringを受けられるのは英国内でブリストルだけだそうです)。私のグループでは6人の学生に1人のメンターが割り当てられ、メンターの担当している仕事の概要や必要な能力などについて聞くこと ができたほか、一人ずつ10分間のプレゼンテーションをして学生とメンターからそれぞれ良い点や改善点等を評価してもらうこともできました。こうした機会を通して工学産業で働くことについての理解を深められたほか、必要とされる能力をどのような活動や経験から取得するかについても考えるようになりました。
学習面以外では、Community Rail Partnershipという地元の駅を管理するボラ ンティア団体に参加し、障がいなどを持った人などがより鉄道を利用しやすくするための改善点について駅の管理者と話し合いました。また、昨年の夏には東京 2020 オリンピック大会のボランティアにも参加し、大会に訪れた方を英語で案内するなどして大会の円滑な運営をサポートしました。自分ができることは小さいことではありますが、少しでも人に貢献できるような活動をこれからも続けていきたいです。
一方で、昨年の夏に財団の方とお話をした際に「長い目で見て自分が何をしたいのか」という趣旨の質問をされて答えるのに困った記憶があります。私はこれまで航空機といった乗り物への興味からここまでの学部選択などをしてきましたが、漠然と航空機に携われるようなことがしたいと思った以上に自分が将来やりたいことや進路などについて考えたことがなかったからです。
他方でここ最近、工学の視点から環境問題に取り組む方法について興味を持つようになりました。航空分野では最近持続可能な航空燃料についての話題を度々聞く一方で、大学で の講義を受けていると航空機の設計面でも環境問題の改善に貢献できる点が多いと感じたからです。具体的な内容はおそらく今後学ぶことになると思いますが、環境問題の改善というかたちで将来少しでも社会に貢献できるように、今後も大学での学びにより一層励んでいきたいと思います。