お知らせ

Yさん(女生徒) 国立お茶の水女子大学附属高等学校出身

Tazaki財団の支援を知った中学2年時から、英国留学を目標に毎日を過ごしてきました。その目標が現実になろうとしている今、興奮と期待、寂しさ、不安が交錯しています。

留学したいと思うようになったきっかけは、小中学生時の3年半過ごした米ニューヨーク州での経験です。現地校に転校した当初はアルファベットすら発音できず、学校の先生や友人の話していることを理解するのに苦労しました。

それでも、未知の世界に飛び込むことの楽しさや刺激を知り、帰国後も「海外に飛び出したい」という気持ちを強く持っていました。この気持ちは、留学への挑戦を後押ししてくれました。

ディズニーの実写版映画『美女と野獣』の挿入歌 “Days in the Sun” の中で、ベルが”I was innocent and certain. Now I’m wiser but unsure.”と歌う場面があります。野獣の悲しい過去を知ったことで、それまで抱いていた嫌悪や恐れに疑問を抱くシーンです。

Tazaki財団の選考期間中、この歌詞に強く共感しました。学びや経験を重ねるほど、世の中の複雑さを実感し、幼少期の確信が揺らぎ、無力さや不透明な未来に不安を感じたからです。面接では「本当に学びたい学問があるのなら、職業に左右されずに追求すべきです」とのアドバイスをいただき、大きな励ましとなりました。

英国では心理学を学びたいと考えています。私の好きなギリシャ神話は、複雑で豊かな感情や予測不可能な行動の背景に心理が深く関わっています。心理学の専門用語には、ギリシャ神話に由来する言葉が多く含まれています。

特に、先入観や偏見、差別といったテーマに関心を持っています。人間の思考は偏っており、そのことを「認知バイアス」と呼ぶことがあります。効率的な判断や心の安定など、良い方向に作用する一方で、誤った判断をもたらす恐れがあります。バイアスがどんな場面や状況で生じるかを「知る」ことは、自分の心に潜むバイアスに気づくきっかけになるかもしれません。

急速にグローバル化が進み、多様な文化的背景を持つ人々と関わる機会が増える中で、民族の衝突や差別の深刻化が問題になっています。私は、人間の本質的な思考や行動の傾向を学び、最終的には心理学と国際関係を結び付けて考察していきたいです。

心理学の追求や新しい経験を通じて、他者だけでなく自分自身のことも知りたいと考えています。また、自分の無意識の偏見や固定観念を克服し、異なる価値観を受け入れることが大切だと思います。自分の価値観に疑問を持ち、新しい視点と交わったときにこそ、自分の輪郭が定まり、本当にやりたいことが見えてくると信じています。

そして、自分の意見を臆さず発信しつつ、柔軟さも兼ね備えたいと思っています。日本ではできない体験にも積極的に挑戦していきたいです。知ることは同時に「わからないこと」に出会うことでもあります。その不確実さを単純化せず、向き合う姿勢を大切にしたいです。

最後に、”life-changing”な経験を支援してくださる田崎様をはじめ、Tazaki財団の皆様、学問の楽しさを教えてくださった先生方、そしてどんな時も支えてくれた両親に、心から感謝を申し上げます。Tazaki財団の奨学生であることに誇りを持って、精一杯精進していきますので、これからもよろしくお願いします。