今回は渡英してからやりたいことを書こうと思っています。しかし、僕は普段一度話し出すと止まらない、まるで「自然数バズーカ」のようなのです。(弾を無限に発射できるバズーカです。「はじめまして数学」を読んだことのある方はご存じかもしれません。)つまり何も意識をしていないと言葉がポンポンと出るわ出るわ。ついには終わりが見えなくなる始末になってしまいます。そこで今回は話を有限に収める、つまり発散ではなく有限確定値に収束させることを念頭に書いていきたいと思います。
僕がTazaki財団に応募したのは、ヨーロッパの教育をぜひとも受けたかったからです。人生の半分以上にあたる10年間をドイツで過ごし、ヨーロッパの教育の魅力を体感しました。とはいえ腕時計や名前まで記載してあったパーカーを紛失したり、(パーカーは身近な人に何度も聞いてまわっていたというのに、クラスメイトが着ていたことが後に発覚しました)電車が止まって試験に遅刻したりといったアクシデントも多々ありました。しかし、それでもヨーロッパの教育には(国そのものや文化は勿論のこと)まだ見ぬ魅力がいくらでもあると思っています。新たな魅力に出会うことに、いまから期待でいっぱいです。
さらに、幼いころからの夢だった寮生活も今から待ちきれません。小学生の頃、寮生活を描いた小説に感銘を受けて以来、寮生活はあこがれの的でした。幼稚園児の頃から幼稚園や学校から帰りたくないといって駄々をこねていた記憶があります。また、学校生活の中で最も印象に残っていること(事件?)は合宿中に起こりました。もちろん勉強はしなければなりませんが、寮生活は毎日が合宿だと思うと楽しみでなりません。
このように期待に胸を膨らませているのはいいのですが、まだまだ未解決の難問も山積しています。まずはA-Levelの教科選択です。まだまだ迷いがあるのが現状で、あれもこれも目移りしてしまって5個も6個も選択したくなっています。教科のリストを眺める度に別々の場所に目が吸い寄せられてしまうことにはほとほと困っています。ほかにも様々なクラブ活動やSocietiesがあり、可能ならばほぼ全てに参加してしまいたいというのが本音なので、どうやら一定の範囲内に収めなければならないのは話だけではないようです。
スポーツもこれまたどれも面白そうに見えますが、今はCricketを選ぼうと思っています。今までにはサッカー、卓球、バドミントン、バレーボールなどを転々としてきましたが、今度もまた新しいスポーツにチャレンジします。(改めて考えてみると全て球技でした。)とは言っても、中学生の頃通っていたドイツのインターナショナルスクールで簡略化されたクリケットは経験したことがあります。それでもやはり正式なものとは異なるので、念願かなって本家本元に挑戦です。先輩曰く、Fettes Collegeのクリケットチームは皆が皆白いポロシャツの上に制服のジャケットを羽織ってキャンパス内を闊歩しているそうです。これもまたかなり魅力的です。
音楽はピアノを選択しましたが、バグパイプにも強く惹かれています。壮行会で先輩の演奏を聴いてかなり気持ちが傾きました。先輩のように、バグパイプの楽団に入って演奏している自分を想像するのも悪くない気持ちです。これを書いているうちにも、もっとバグパイプをやってみたくなってきました。これはいよいよ決断が揺らぎ始めたかもしれません。折角イギリスの中でもスコットランドにいくのですから、音楽に限らずともスコットランドでしかできないことに挑戦してみようと思います。
この他にも、これまでは忙しくて実践できなかったこともやっていきたいと思います。例えばストレッチやトレーニング、ヨガなどです。体の健康はすべてのパフォーマンスの向上に直結します。何といっても体が硬くてはすぐに疲れてしまいますし、すぐに節々がパキパキと音を出して周囲の友人に心配されてしまいます。(後者は僕だけの可能性が高いですが)新しい生活が始まるからこそ、健康に重点を置いて日々のコンディションを整えたいと思います。加えて、今まで会ったことのない集団の人々、僕の知らない文化的背景を持つ人々とも積極的にかかわっていきます。ドイツに10年間住んでいたといってもまだまだ僕の知らない世界が、とてつもなく大きなカラビ・ヤウ空間のように、あちこちに広がっていると思います。誰とでも仲良くなれる自信があるので、意見交換などを通じて人生のすべてのことに対して、知見を広めていきたいと思います。
全体として、これまでに挙げた、そしてもちろん挙げていない分野でも、この世の森羅万象に対して自らの世界を押し広げていく所存です。(そして話を簡潔にまとめる術も体得します。)
最後になりましたが、このような素晴らしい機会を与えてくださったTazaki財団の皆様には心より感謝申し上げます。Tazaki財団は僕にとって唯一と言っても過言ではない頼みの綱でした。人生に一度しかないこのチャンスを悔いのないものにするために、自分の心に正直に、しかし食わず嫌いはせず、やりたいと思ったことにどんどん挑戦していき、無限の可能性をつかみ取ります。これからもどうぞよろしくお願い致します。