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Mさん(男生徒) 都立西高等学校出身

新しい土地での生活への不安、自信のない英語力、そして漠然とした興味と共にヒースロー空港に降り立ったあの日からもう丸一年が経ったとはにわかに信じがたい。12月に1ターム目が終わった際に親に「3ヶ月が4秒に感じた」と電話をかけたのを覚えている。その時は、英国での生活に慣れれば体感時間も少しはゆっくりになるだろうと信じていたが、実際クリスマスが明けてから夏が終わるまでの8ヶ月は2秒であった。

6月に実施された学年末の試験はCSの点数が予想していたよりも低く、さらに全体的には比較的簡単で平均点が高かったこともあり、残念な結果になってしまった。自分としてはA-levelの教科の中で圧倒的にテスト対策に時間を割き定義も覚えていたつもりだっただけに大きなショックは受けた。結果を見返すと、模範解答が使っている特定の語彙を自分の答案で使えていないため減点されたり、エッセイで特に解説も得られないまま点数が半分引かれていたりと、やはりマークスキームを丸暗記の勢いで勉強しないと点数が上がらないのだと痛感させられた。CSを教えていて自分のチューターでもある先生に、「君ならもう少し点を取って欲しかった」と言われた時は絶望で震え上がったが、1月のテストで良い点を取っていたこととCS departmentの温情でなんとか大学受験に使うpredictionは良い結果をいただき、ようやく安堵のため息をつくことができた。

試験後に行ったWork Experienceでは、友達の父が勤めるAIを使ったプロダクトを開発している会社で、製品開発がどう行われているかの流れを実際に会社で働くさまざまな部署の方からオンラインのミーティングを通して学ばせていただいた。技術的な側面を深く学べたわけではないが、セールスやマーケティングなど今まで興味を持ったことがなかった実際の企業での具体的な仕事内容を見学できたのは職業体験ならではの貴重な経験だった。

夏休みには、King’s College Londonでの1週間のサマースクールや、TOPSに10日間ほど参加した。
印象深かったのは、TOPSで出会った同期たちだ。6月にEdinburghで会って以来2ヶ月弱ぶりの再会ではあったものの、1日ほどしか一緒にいなかった前回と比べ、数日間共に過ごした今回はそれぞれのイギリスでの様子や現在行っていることをよく知ることができた。もちろん自分がこの一年を通して成長したのは理解しているが、やはり同期たちを目の前にして話を聞いていると彼らの方が何倍も成長しているように感じてしまう。大学生でも苦労するような教科書を読み込んで理解していたり、英語でのコミュニケーションが格段に自然になっていたり。渡英前は自分の無知からその凄ささえ理解できていなかったように思えるほど、改めて同期の優秀さに度肝を抜かれた。

良くも悪くも、自分の癖として何かと比較して物事を測ろうとしてしまいがちな気がする。その「物事」に自分自身を当てはめるとき、比較対象として出てきやすい、つまり比べやすい人々は自分と一緒に英国で学び始めた財団の同期たちなのかもしれない。時々、疲れていたりすると自分と彼らの差の大きさに絶望感を感じ、自分では追いつけないもののように見えてしまうことさえある。
しかし、絶望を感じることは悪いことばかりではなく、きっとその自覚ができたことに対して感謝すべきであるのだと最近は思う。渡英前の自分ではその気づきすらおそらくきちんとした尺度で認識できなかっただろうし、焦燥感もそこまで大きく感じられなかっただろう。焦燥感を抱いているということは、自分を向上させるためのスタート地点に立たせてもらえたということであり、飛び出す度に延々と広がっていくコンフォートゾーンを常に越え続けようと思わせてくれる活力になり得ると考える。

自分の何歩も、いや余裕で何十歩も前を直走る同期たちにいつかは追いつき肩を並べ、そして自分の得意な道では颯爽と追い抜いていく。来年の夏、日本で再会した同期たちと自信を持って話せるように、一年遅れとはなったが、再スタートを切ったつもりで高校生活残り一年、さらに加速していきたい。

最後に、この素晴らしい同期たちに巡り合わせていただき、気づくチャンスをいただけたのも、全て財団からのご支援のおかげである。今一度、財団への感謝を忘れずに邁進していきたい。

このまま加速していくと、来年はトータル何秒に感じるのだろうか。目標は3秒切りである。