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Fさん(女生徒) 国立筑波大学附属高等学校出身

 数日前に部活の最後の大会が終わり、日本での学校生活に一区切りがつきました。渡航まで3週間となった中で、イギリスへ行くことに対する実感がようやく芽生えつつあります。
 今回のレポートでは、私がTazaki財団に出会ってから留学奨学生に選ばれるまでの過程をお伝えしようと思います。これからTazaki財団への応募を検討している皆さん、応募はしたけれども今後の流れに不安がある皆さんの参考になれば幸いです。他にも選考の流れを書いている方がいるので、比較しながら読むとよりイメージが掴みやすいかもしれません。長いレポートとなりますが、ぜひ最後までお付き合いください。

 私がTazaki財団に出会ったきっかけは、高校1年生の5月下旬ごろに教室に掲示されたポスターでした。特に何の連絡もなく、ただポスターが教室の後方に貼られていただけだったので、自分でもよくあの時ポスターに気づいたなと思っています。それまでは海外留学に興味があるわけではなかったのですが、何となくポスターの写真を撮って両親に送ってみようという気持ちになりました。今振り返ってみると、大学入学よりも少し近い未来の話で、自分の中でのイメージが湧きやすかったから、という理由で写真を送ったのではないかと思います。
 11月下旬に説明会の日を迎えました。大きなホールいっぱいの人、質疑応答での他の参加者の方のやる気に、少し自信をなくした記憶があります。その一方で、どこか遠い世界だと思っていた海外での生活が目の前にあるように感じて、こんな世界に自分も行ってみたい、と新たな環境に対する強い期待感を持ちました。説明会が終わった頃には、自分はこの財団に応募するという意志を固めていました。説明会の帰り道に「この財団に応募するってことでいいんだよね?」という父の確認に対して、「やるだけやってみればいいんじゃない?」と、深くは考えずに、どこか他人事のように返事をし、応募に向けた準備が始まりました。

 半ば勢いで応募を決めて最初に困ったことは、志望理由をどうするか、でした。この財団に応募する前は、日本で医学部に進学することを目標にしていました。小児科医になることが幼稚園の頃からの夢だったのですが、大学受験が近づいてきて、本当に自分は医師になりたいのだろうかと迷い始めていた時期に、ちょうど応募書類の準備が始まりました。元から自分の学問的な関心と、就きたい仕事に少し差があったこともあり、悩んだ末にその2つの間に目標を据えることに決めました。思わぬところから出てきた結論ではありましたが、決めた後はこれまでのたくさんの点が繋がったような感覚になりました。締切直前の1月上旬にようやく応募書類を書き上げました。
 2週間もしないうちに書類選考通過の連絡がメールで届きました。喜ぶのも束の間、その週末にある一次面接に向けた準備を始めました。父が探してきてくれた先輩方のレポートを読んでイメージを掴んだり、志望理由を話す練習をしたりしました。なんとなく私服で行こうと思っていたのですが、前日に面接を受けていた友人から「制服の方が良さそう」と言われ、制服(のようなもの)を着て行きました。また、コロナ禍の影響もあって面接を受けたことがなかったので、前日に動画を見て面接のマナーを勉強しました。

 私の場合、一次面接は最初に志望理由を話して質問に答えていくという形でした。選考委員の方々からの質問は、自分が応募書類に書いた今頑張っていることに関する内容がほとんどで、緊張しすぎる必要はないと思います。今後の自分の進路についての指針も示してくださり、面接というよりも学校の面談のようなものに近いと感じました。全体で10分ほどだったと思いますが、本当に時間が過ぎるのが早く、「あ、もう終わりか」と思いながら面接室を出ました。
 翌日に一次面接の結果が届きました。その週の木曜日にブリティッシュ・カウンシルでの講習のためのクラス分けテスト、日曜日に語学研修生のオリエンテーションがありました。

 2月下旬ごろからブリティッシュ・カウンシルでの語学研修が始まりました。英語を話すことに慣れていなかった私は、海外経験がある子たちに囲まれて、初日に周りとのレベルの差に絶望した記憶があります。最初の頃は上手く英語で話すことができず、相手の話を聞くだけで終わってしまうことも多くありました。ただ、4ヶ月間の研修の中で少しずつそのような環境にも慣れていき、他の子たちに追いついた、とまでは言いませんが、自分から英語を話していけるようになったと思います。

 3月下旬にはIELTSを受けました。午前にリスニング、リーディング、ライティングを受け、一度解散して母と昼食を食べにいきました。リスニングで失敗して、この段階でかなり落ち込んでいたのですが、午後のスピーキングでとてつもない失敗をして、文字通り泣きながら家に帰りました。この時は、「自分の留学はもうここで終わったんだ」という気持ちでした。
 翌日に中間面接を受けました。面接の前にIELTSの結果が出たという通知は届いていたのですが、悪い結果だと確信していたので、結果は見ずに面接へ行きました。ここでは、自分が質問に答えるというよりも、選考委員の方々のお話を聞く、というような形だったと思います。
 中間面接の帰り道に、IELTSの結果を確認しました。リーディングが良かったおかげでそこまで悪くはなく、通っていた塾に感謝しました。

 中間面接の約2週間後に、最終面接がありました。同じ時間に控室にいた子と仲が良かったので、その子に了承をとって控え室でひたすら志望理由を言う練習を一人でしていました。それが功を奏したのか、面接で志望理由を言い終わった後には、「流れるように言うね」と選考委員の方に言われました。その後の流れはこれまでの面接と変わらず、選考委員の方の質問に答えていきました。
 翌日、部活中に結果が届きました。私自身は部活の帰り道に一人で見ようと思っていたのですが、15時過ぎに「ほら、結果15時ぐらいに来るって言ってたよね?」と周りに急かされ、その場で結果を見ました。「奨学候補生に選ばれた」と書いてあったのですが、それが留学奨学生に選ばれたことを意味するのかよく分からないまま、添付の書類を見ていきました。その結果、合格していそうだということが分かったので、両親にメールを転送しました。
 ここまでが、私が留学奨学生に選ばれるまでの流れです。

 最初は「受かるか分からないけど、とりあえずやってみよう」という気持ちで応募をして、ここまで来ることができ、本当に嬉しく思っております。5年間のイギリス生活という唯一無二の素晴らしい機会をくださった田崎さん、財団の皆さま、そして関わってくださったすべての皆さま、ありがとうございます。自らの目標を達成し、世界で活躍する人間になるために、この5年間を大切に過ごしてまいります。