お知らせ

Sさん(女生徒)都立白鴎高等学校出身

3月に入り、春の足音が聞こえてきました。一面緑だと思っていた学校の芝生にも多種多様な花が入れ替わり立ち替わり、咲きはじめています。一番乗りで春の訪れを教えてくれたのはスノードロップというお花だそうです。木の根元に群れをなす可憐なお花なのですが、あ!っというまに姿を消してしまいました。ここ最近の日差しで溶けたのでしょうか。日本の春といえば桜ですが、イギリスの春を象徴するお花は、水仙だそうです。イギリスの有名なロマン派の詩人、ウィリアム・ワーズワースの代表作に「水仙」というものがあります。彼はこの詩の中で、水仙のことを「舞い踊る」と表現しています。水仙が与える春への期待が窺えます。

春には花咲く植物がいっぱいの学校では、今学期もたくさんのことを経験しました。一月には、学校のニューイヤーイベントで、三味線を披露しました。このイベントでは、中国の伝統舞踊や笛、獅子舞など、たくさんのプロの人の発表を見ることができ、本当に貴重な機会だと感じました。2月には、寮の中の数名とともに、寮にきた留学生の観光のために、ロンドンに行きました。観光目的でロンドンに赴いたのは初めてで、本で見たような、イギリスの有名な観光地を回ることができました。3月には、前学期より参加していたThe Daivison Inventors Challengeという、化学の発明のコンクールを終えました。自分たちで発明のアイデアを出して、それを検証するための実験の手順を作り、試行錯誤を重ねて、発明を仕上げました。全く知らなかった分野のことをたくさん知ることができて楽しかったです。

イギリスに来て初めて食べた食べ物が複数あります。その中で特に感動したのがパースニップです。パースニップはセリ目セリ科の植物で、強い甘みとナッツのような風味を持ち、学校では主に、ローストされるか、スープとして提供されます。アメリカでは「ホワイトキャロット」と呼ばれていて、白い人参のような見た目ですが、ニンジン属ではなく、アメリカボウフウ属に属しているようです。また、大航海時代のジャガイモ伝播以前は澱粉の供給源として広く食べられてきたそうです。生で食べるとはっきりとしたえぐみを感じるとのことでしたが、実際に試してみたところ、甚だしい食感のざらつきを覚えたものの、味は加熱後よりもむしろニンジンと差はなく、もはやニンジンと呼んでも差し支えないのではないかと感じました。いつの日か日本の食卓に上がることを期待しています。

今学期はイギリスでの生活に慣れ、心に余裕ができ、日本にいては全くわからなかったような、イギリスの季節やイギリスの文学などを肌で感じ取り、洞察を深めることができました。このような貴重な機会をくださった田崎様、またTazaki財団の皆様、ありがとうございます。次はどんなもの、どんなことが夏の訪れを知らせてくれるのかを楽しみに、来学期も精進してまいります。