お知らせ

Sさん(女生徒)都立日比谷高等学校出身

初めてのA-levelの模試から始まったこのタームは、一言でまとめれば「タスク満載」でした。

学業面では通常の授業に加え、経済の先生に勧められたIEA (Institute of Economic Affairs) とJohn Locke Summer School Oxfordの書類選考とインタビューがありました。これらに応募するにあたり、改めて自分がなぜここにいるのかを振り返る機会となりました。

私は、最も差し迫ったグローバルな課題に取り組む政治と経済に大きな関心があります。将来、国際機関で働き、政治や経済の知識を実践し、私たちの住む世界、とりわけ今日直面しているグローバルな問題の解決に貢献したいと考えています。人々を貧困から救い、最も困窮している人々の生活を改善するシステムを開発し、流血を止めるだけでなく、さらなる苦しみを防ぐ仕組みを作る。そのために、グローバルリーダーとして働きたい。そんな思いからTazaki財団に応募したのだと、イギリス・バースでの生活に慣れてきた今、改めて自分を奮い立たせました。結果、幸いにも両方のプログラムに合格することができました。経済学・政治学を大学で学ぶとはどういうことか、また、仲間や教授との交流を通じて理解を深めることが楽しみです。特に、学んだ理論が現実の具体的な問題にどのように応用できるのかを観察することで、大学での学びへの興味をさらに深める貴重な機会になると期待しています。

さて、話は大きく変わりますが、グローバルリーダーとは何でしょうか? Tazakiさんは「たくさんの経験を積み、日本人としてのアイデンティティーを持って世界で活躍し、日本や世界をリードする人になること」とおっしゃいました。その言葉の通り、私はグローバルリーダーになるための第一歩として、さまざまな経験を積むことが最も重要だと考えています。

リーダーになるためには、その分野の知識を豊富に持つことが必要です。しかし、それだけではなく、緊急時に臨機応変に対応する力、異なる立場の人と理解し合いながらコミュニケーションを取る力、個々のスキルを活かし最も効率的かつ効果的なチームを率いる力、そして「あなたなら任せられる」と信頼される力も求められます。これらのソフトスキルを磨くためには、経験が不可欠です。とにかく多くのことにチャレンジし、自分を成長させる——それが今の私の姿です。

スポーツではクロスカントリー、水泳、サッカーに挑戦しました。クロスカントリーでは持久力やレジリエンスを鍛え、Ten Torsと呼ばれる軍主催の一大行事の選考を兼ねたトレーニングにも参加しました。1日練習の日は35km、2日練習の日は60kmを歩き、定められた10のTor(山の頂にそびえる岩)を巡るというものでした。

都会で育った私にとって、このトレーニングは大きな挑戦でした。原野を歩き続けることへの不安と、何の経験もない自分がチームの足手まといになるのではないかという申し訳なさで初めは緊張していました。しかし、担当の先生の地図と方位磁針の使い方レクチャーや、チームメイトの助けのおかげで、3月のイースター前に行われた1泊2日の練習では地図担当として歩く方向を決める役割を任されるまでになりました。霧が立ち込める中、足元の丈の長い草に隠された胸まで浸かる危険のある沼を避けながら進む2日間は、とても大変で、終わった後の疲労感は凄まじいものでした。しかし、それ以上に感じたのは、やり遂げた達成感と、自分の成長でした。

スポーツのほかにも、毎週火曜日の空いている授業のコマでは町の小学校の生徒と過ごし、Westwood DutyではYear 7・8の生徒と夕方を共にし、仲を深めました。3月前半にはバース・ハーフマラソンで給水ボランティアを務め、学校で開催されたMUN(模擬国連)では議会進行の役割を担いました。以前は国の代表として議論に臨んでいましたが、今回は進行側の立場から会議を俯瞰し、新たな視点を得ることができました。

このように、このタームはまさに「タスク満載」でした。

「今日のレースの目的は何?」

クロスカントリーのレース前、私は毎週木曜日に顧問の先生からこの質問を投げかけられます。以前の私なら、「全力を尽くして表彰台を目指す」と答えていたでしょう。しかし、今の私の回答は「全力で楽しむ」です。もちろん、トップを目指すことは大切ですし、競争は常に私の念頭にあります。しかし、結果ばかりに目を向けていると、自分が培ったソフトスキル、過程で出会った人々や築いた絆、そして多くの思い出が脇に追いやられてしまいます。結果は大事ですが、そこに至る過程こそが私を成長させ、人生を豊かにしてくれるのです。だからこそ、私は今過ごすひと時ひと時を大切に過ごしていきたいと思います。

最後に、Tazaki財団の皆様、改めてこの留学の機会を与えてくださりありがとうございます。

これからの生活も全力で楽しみます!