お知らせ

Nさん(男生徒) 私立聖光学院高等学校

イギリスに到着してから、早くも一年が経ちました。家族からは連日の猛暑について話を聞きますが、こちらでは持ってきてもほとんど着られなかった半袖や半ズボンを、ここぞとばかりに着ています。新学期の始まりや日本から新しくやってくる9期生との出会いを楽しみに夏休みを過ごしています。
夏学期は他2学期に比べても短く、あっという間に過ぎてしまったように感じています。その中で特に印象に残ったのは、Predicted Gradeを決める試験です。Fettesは他の学校に比べても判定が出るのが早く、夏休み前には結果が出てしまいます。そのため、クリスマス休暇からイースター休暇の多くを試験勉強に費やしました。私は自室ではなかなか集中することができないので、勉強にはよくエジンバラ大学の図書館を使用しました。朝食を済ませて図書館に向かい、勉強を済ませ、夕方に帰ってホストファミリーと食卓を囲む。そんな生活を繰り返していました。
夏休みにはイギリス各地を訪れました。7月の初めにオックスフォードのサマースクールに参加し、その後はブリストルやギルフォード、ロンドンを回りました。同じイギリスの中でも地域ごとに文化や風習が異なり、それぞれの土地で感じる空気や人々との触れ合いが心に残りました。同級生の多くが帰国している中、私は日本に帰国しないと決めていたため、「独りで過ごす時間が多くなってしまうのではないか」と不安を抱いていました。ところが実際は、サマースクールで出会った友人やホストファミリーなど、人と過ごす機会が予想以上に多かったです。そして、私はこの経験を通して、共同生活やホストファミリーとはどういったものなのかについて考えてみました。
留学生にとってホストファミリーは重要な滞在先の一つです。学期休暇の宿泊先を確保するため、留学直後の一人暮らしへの不安を和らげるため、現地の文化や風習を学びたいという思いから、多くの生徒がホストファミリーを選びます。特にイギリスでは未成年の留学生に対してガーディアンを通した滞在先の確保が求められるため、学期休暇にホストファミリーのもとで過ごすことが一般的です。私のガーディアンはとても柔軟で、私の「色々な家庭に泊まってみたい」という願いを聞き入れてくれ、エジンバラで複数のホストファミリーに滞在することができました。多くのホストファミリーに泊まったことで、エジンバラの中でも普段は行かない街の一角を知ることができ、市内を散歩してみることが増えました。
ホストファミリーとの関係は独特です。家族(ファミリー)のように親しく感じられる一方で、お金を払って滞在させてもらっているという金銭的な契約関係に基づいている面も拒めません。形式的な契約を基盤に成り立っている以上、生徒自身の自由は保障されていて、ホストファミリー側は生徒側に何かを強制することはできません。だからこそ、最終的に関係をどう築くかは滞在者に委ねられています。ホストファミリーから何かに誘われた時、そこにどう応じるかは滞在者の自由です。その選択の積み重ねが関係を構成してゆくのです。
実際、私が出会ったホストファミリーは皆私を温かく迎え入れてくれました。旅行やハイキングに連れて行ってもらうこともあれば、生活上の困りごとを相談すると親身に対応してくれることもありました。私自身も困ったときにはホストマザーに連絡を取り、近くを通った際には立ち寄るなどをしていました。その結果、予想以上に深い関係を築くことができ、驚きながらも嬉しく思っています。
最後に、留学生としてFettesで学び、ホストファミリーのもとで生活できたことは、非常に貴重な経験だと感じています。こうして一年間を過ごすことできたのは、Tazaki財団皆様のご支援のおかげです。改めて感謝申し上げます。そして、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。