今回のレポートでは、主に夏休みに参加させていただいた物理関連のサマースクールやプログラムについて振り返りたいと思います。
Xmas scientist experience:
https://warwick.ac.uk/fac/cross_fac/xmas/impact/xmas_scientist_experienceb/se2024/
6月末には、学校の物理の先生に紹介していただいた、物理のエッセイコンペティションの選考に通り、フランス、GrenobleにあるESRFという放射光施設を見学する5日間の費用負担なしのプログラムに参加する機会をいただきました。(ちなみに名前のXmasというのは今回見学したビームラインの名前のことです)
普段目にすることのない大規模な研究施設(電子加速器やビームライン)を見学したり、国際的な環境で働く研究者やエンジニアの方々のお話を聞いたりする機会に恵まれ、最先端のテクノロジーや研究が身近にある場に身を置くわくわくした感情が絶えない非常に印象的な経験になりました。
また、今回のプログラムはイギリス全国の生徒が対象なこともあり、イギリスの他の様々な地域で育ってきた同い年の生徒と交流する初めての機会でした。今まではボーディングスクールというイギリス出身の生徒と留学生が共存している環境だったのに対し、今回のプログラムに選ばれたメンバーはイギリスで生まれ育った生徒がほとんどで、その中でアクセントを比較したり、出身地について話したりと、イギリス国内の文化の違いや価値観に密に触れられたことも印象的でした。また、期せずもボーディングスクールでの生活で自分は無意識に留学生としての立場から「イギリスの文化」、「日本の文化」といったように対象が国単位の大まかな文化の比較をしがちになっていたことに気づけたことも一つの学びになり、様々な環境に身を置くことで自分を客観視する重要性を実感しました。
female/female-identifying Year 12 UK Physics studentsが対象ということもあり、このプログラムのもう一つのフォーカスはwomen in STEMに当てられていました。Alevel物理をとっている女子生徒は20%強はいるため、比べると少ないとはいえ普段は不便に感じることなど全くないのですが、物理を勉強している同年代の女子生徒や女性研究者、エンジニアの方とお話しする中で、研究のように何か共通の興味のもとに集まる環境ではジェンダーは関係ないことが確認できて、なんとなくモヤモヤしていた気分が晴れた気がします。
7月にはIsaac physics senior physics challengeに参加しました。
過去に参加された先輩方がいらっしゃるので詳細は割愛しますが、Isaac physicsというサイトで一定数問題をとくと参加できる、ケンブリッジ大学での量子力学のサマースクールに参加しました。(変更点として、今年からは解いた問題数で上位100人程度に入った上で、オンラインテストでの選考がありました)
物理の勉強が好きな生徒が集まったレベルの高い環境で、4日間ケンブリッジ大学の教授に量子力学を教われるという本当にやりがいのある体験で、このように学ぶことが好きな人が集まる場所で勉強したいという気持ちが一層強まりました。
主に‘Cambridge quantum physics primer’という教科書を用いて、uncertainty principleやシュレディンガー方程式、quantum wellなどの量子力学の基礎について学んだのですが、次々に初めて学ぶ数式や概念が出てくる一方で、数式の解釈を学ぶとこれまで概念で理解していた法則が数式を用いて表せることがとても新鮮で面白かったです。
また8月にはインペリアルカレッジロンドンでの2週間の物理のシミュレーションとinnovation and enterpriseのサマースクールに参加しました。1週目は単振動の実験と、pythonを用いたforced damped oscillatorやresonanceなどのシミュレーションを行いプレゼンテーションで実験の成果を発表し、2週目のinnovation and enterpriseのパートでは分野を横断したグループ内でヘルスケアや環境問題などの社会問題を解決するためのプロダクトを提案し、こちらもプレゼンテーションで発表しました。単振動のシミュレーションを通して、複雑な計算を処理してグラフ化できるコンピューターの利便性を実感したため、これから積極的に学んでいきたいと思います。
いよいよボーディングスクールでの生活も折り返しと考えると、焦燥と感慨深い気持ちが入り混じった複雑な気持ちです。色々な人と関わって、興味のアンテナを広くはり、学びの多いより良い1年間を過ごせるよう日々努力していきたいと思います。