お知らせ

Hさん(女生徒) 私立桜蔭高等学校

渡英してから早くも8ヶ月が経ちました。イギリスらしからぬ気持ちの良い晴れの日が続き、春の訪れを感じています。


今学期は学校生活に慣れてきて余裕が出た分、自分が学びたいことは何なのか見つめ直す時間を取ることができました。

入学試験の点数が合否を左右する日本の大学受験と対照的に、イギリスの大学受験ではpersonal statement上で、自分は何をどうして学びたいと思い、そのために何をしてきたのか 、supercurricular(学びたい学問分野に関連した読書や講義の受講など)などを通して示すことが重視されます。

日本にいた頃は受験勉強に集中すれば良い分、問題を解く能力は上がった一方で、将来どんなことを学びたいのかについて考える時間があまり取れなかったため、将来のことを考えても先が見えず不安に思うことが多々ありました。今も迷ってばかりの手探りの毎日ですが、最近は自由に使える時間が増えた分、化学や物理、材料科学の本を読んだり、pythonのプログラミング講座を履修したりして、興味を持ったことに積極的に取り組むようにしています。


【雑感】

イギリスに来て少し意外に思ったことの一つが(これは日本とある意味共通して言えることなのですが)、理系、特に物理や工学を学ぶ女性の割合がイギリスでも未だ少ないことです。

母校(女子校)では半分以上が理系に進むという環境だったため今まで幸運なことにあまり意識してきませんでしたが、日本は自然科学(27%)と工学(16%)の2分野で、女子生徒の割合が経済協力開発機構(OECD) に加盟している36カ国中最低であるのがしばしば問題として取り上げられているのは知っていたため、自然科学分野では57%と諸外国の中でも高い数値を出している英国でも理系での男女比の偏りが意外と存在していたことに最初は驚きました。体感として、生物や化学ではそこまで偏りがないのですが物理や工学(25%)では女子生徒の比率が低いようです。

そのような背景があるため、イギリスではSTEM分野で学ぶ、または働く女性から話を聞けるウェビナーやワークエクスペリエンスに参加する機会が多く与えられています。日本では近年大学が「女子枠」を作るという直接的な試みでジェンダーギャップを解消しようとしていることが男性への逆差別ではないかと物議を醸しているようですが、(ポジティブアクションとしての妥当性はあると思います)、直接的な方法だけでなく、イギリスのように理系に興味を持つ女子生徒の母数を増やしたり、敷居を低くするための取り組みがあると、長期的に根本的な問題の解決に近づくのではないかと個人的に感じています。

また、機会均等のための取り組みとして、イギリスでは金銭的に不利、またはヤングケアラーであるなどの家庭環境的に不利な状況に置かれている生徒が無料で参加できるプログラムが数多く存在します。日本でも、勉強時間を削られるヤングケアラーや、塾に行く金銭的余裕がない生徒が進学において不利な立場に置かれている状況は同じですが、日本と比べると支援が進んでいると感じます。

最後になりましたが、いつも支援してくださっているTazaki財団の皆様に感謝申し上げます。サマータームでも充実した日々が送れるよう、努力していきます。