徐々に日が長くなり、冬とは打って変わった美しいスコットランドの姿が垣間見られると同時に、テストの重圧が押し寄せてきた。夏タームは、GCSE、A level、IBの試験だけでなく、学内の試験がどの学年もあるので、学校全体がテスト一色に染まっていた。L6thは大学に送るPredicted Gradeが決まる重要なテストが控えていたため、授業もテスト対策や過去問演習に重点が置かれ、自習時間を有効に使うことが求められた期間だった。経済では、基本用語の定義やダイアグラムの確認だけでなく、テスト形式になれ、どのように書けば点をもらえるのかを把握するようにした。物理でも同様に、Mark schemeに従った正確な回答を書くことが重要であったため、過去問演習がとても大切だった。数学は、A level の範囲全てと発展数学のほぼ二年分のトピックがテスト範囲となっていたため、結局数学だけで6個のテストを受けることになった。日々、過去問を解いては自分の弱点を見つけ、克服する作業の繰り返しだった。テスト勉強で疲労が蓄積する中、周りでは着々とTerm Endの準備が行われており、一年のフィナーレに近づいているという実感が背中を押して、勉強に励むことができたと思う。最終的にはどの教科でも納得のいくGradeをとれたので満足している。
テストが終わると大学出願に向けた準備が本格的に始まった。UCAS Dayという日があり、来年のTutor とUCASに実際に情報を入力し、夏休み前にはほぼ完成してい
る状態にした。Personal StatementのFirst Draftも提出して、夏休み中に取り組むべきことを担当の先生と話し合った。読まなくてはいけない本やレポート、そして最も重要なTMUAの試験勉強。やるべきことが明確になり、U6thになった時に焦らなくて済むよう、夏休みの間にできる限りのことはやっておくように心掛けた。テストが終わってからの約3週間は、そのような大学進学に向けた準備とTermの終わりのイベントが続いた。6月の末にホストファミリーの家に着いた時には、何をする気力も残っていないほど疲れていたが、一年間できることはやったという感覚が自分の中ではあり、この疲労感は心地よいものだった。
思い描いていたように物事が進まなかったこともあったが、矢のごとく過ぎ去る日々のなかに楽しさも芽生えてきた一年だったと思う。怒涛のように押し寄せてきた課題をこなすことに必死で、なかなか振り返ることができていなかった道のりだったが、大きな問題なくPublic School の半分を終わらせることができたことを嬉しく思い、これまで様々な形で支えてくださっている方々に改めて感謝申し上げたい。入寮した最初の夜には、もうここでやっていける気がしないと思いHousemistressの前で泣いたことがあった。当時の私は、曲がり角を曲がった先を一目見ただけで不安を抱き、そしてもう後戻りできない事実がとても恐ろしくも感じられた。ただそれは今までと異なる、全く見慣れない光景だったからに過ぎなかっただろう。今では同じ人、同じ場所、同じ行事でも全く違う解釈を持っていることに驚きさえする。私が挨拶を
した時に眉をひそめた女の子は、実は急に立った時に貧血気味になって眉をひそめる癖があり、本当はものすごくいい子であること、厳かな雰囲気で立ち入りにくかった図書館は、今では隙間時間には毎日通うお気に入りの勉強場所になっているということ、なかなか周りの輪に入れなかったSocial event も仲のいい友達となら違う楽しみ方もできるようになったということ。決して楽な道のりではなかったが、何もあんなに怖がる必要はなかったのにと、今では初日に泣いたことも笑って友達に話せるということ。
さて、一年前に渡英後の自身の姿が全く想像つかなかったのと同様、来年大学受験をはじめとする最終学年がどのように進んでいくのか現時点では未知数だ。去年のように全く新しい環境に飛び出すわけではないが、一年間過ごした寮からは離れ、最終学年の寮に移り、また違う人間関係と生活があるのだろう。特に大学受験に対しては、心配なことも多いが、今自分にできることを精一杯努力し、どの道のりを歩むことになったとしても、その決断に満足できるように残りの学校生活を過ごしていきたい。