お知らせ

Sさん(女生徒)国立筑波大学附属高等学校出身

 秋タームに比べてかなり短い約二か月間の春ターム。スコットランドの最も厳しい冬も乗り越え、環境にもやっと慣れてきた。この学期でも新しい出来事は多々あったが、これまでほど物怖じしな くなったように感じる。周りの友達の性格や話し方にも慣れてきたので、ストレスが減り緊張感が和らいだ時期だった。課題だった経済で安定して納得のいく点数を取れるようになったことも安心材 料となった。秋タームは新しい友達作りや、環境に適応することでかなりの労力を使い精神面で追い詰められることもあったが、春タームは淡々と自分で定めた課題を片付けていったような感覚 だった。

 また、このタームでは大学受験、そしてその後の進路について考える機会が多くあった。ハーフ タームの前にはCareers Expoというイベントが学校内であった。24近くの大学がそれぞれブースを 作り、興味のある大学のところに行き、大学の様子、アクティビティーや学部選択などについて質 問することができた。それまではいくつかの有名な大学しか知らない状態だったので、このイベント で大学への知識が深まり、同時にランキングで上位だからという理由のみで選択するのはやはり 浅はかであると実感した。住む環境、学生へのサポート、コースの内容、また学部によっても最適 な大学は異なってくる。様々な観点を踏まえて、自分の能力を出し切ることのでき、可能性を広げ られる大学選びをしなくてはならないと身に染みて感じた。時間を見つけて「Unifrog」という Websiteで大学やOpen day の日を調べている。また、EconomicsのCareer Insight にも参加し、 Fettesの卒業生で、経済界で活躍している方々に話を伺うことができた。この学校の先生方は、人 脈を築くことの大切さを強く主張していた。自分の興味のある分野の人に積極的に話しかけ、コネ クションをつくるという機会はなかなか日本の高校ではなかった。私はいつも聞く側にまわり、傍観 者になってしまいがちだったが、話にしっかり耳を傾けつつも、疑問に思ったことは臆せずに質問 するよう心掛けたい。これは将来必要不可欠になるスキルでもあると思うので、これからもそのよう な機会に参加し、経験を積んでいこうと思う。

 Oxbridge の準備も始まり、理系と文系で分かれ、自分が勉強したい教科についてプレゼンテー ションを行った。私は経済学の本を読み、それについての自分の意見をまとめた。消費者行動に ついて数学、経済、心理学を交えて解説していて、Game theory などともつながっており、かなり 楽しんで読み進められた。トップバッターでプレゼンテーションをしなくてはならず、かなり緊張す る場だったが、実際のインタビューではもっと緊迫した状態なのだから良い練習だと思い、先生や 生徒の質問にも何とか答えることができた。Oxbridge の入試では、自分がどれだけ大学で専攻し たい教科に向き合ってきたかが問われる。A level のシラバスを超えた学習も始めようと考えて、 Math society でGame theory を扱ったプレゼンテーションを行った。いくつかの本や論文を参考 にして調べていくうちに、とても惹かれてしまった。英語で30分近くのプレゼンテーションを一人で 行ったのは初めてだったが、一回やってみると、自分でもできると自信を持つことができた。私は いつも挑戦する前に躊躇してしまう傾向にある。小さなステップではあったが、初めから完璧にで きなくてもめげずに挑戦し続けて、少しずつでも上達していけるようにしたい。

 忙しい日々の中でも、リフレッシュする時間を作ろうと心掛けていた。Fettes では、学校でチケッ トを取ってくれて、希望者は舞台を観に行くことができる。友達を誘って、オペラやバレエ、 Hamilton、Macbethなどを観に行った。平日の夜に友達と一緒に芸術を楽しみ、寮の規則正しい 生活から束の間の解放を得ることができた。

 フルートの先生に勧められ、春タームからフルートグループに入り、Spring ConcertとEdinburgh musical festival で演奏することができた。またGames では秋タームから引き続きDanceを選択し た。振付を担当したので、自分が教える側にもなった。創作したダンスを英語で正確に教えるのは 少し戸惑うこともあったが、先生が使っていた単語や言い回しを真似して、最終的には一つの作 品を創り上げることができた。

 今まで歩んできた道から曲がり角を曲がって8カ月半。最初の数カ月は足元ばかりに気を取られ て、歩みを進めるだけで精一杯だった。この春タームでは辺りを見渡す余裕が出てきて、視野を 広げ、先の世界まで考えることもできた。リスニング力が上がり、先生の話していることが自然と耳 に入ってくるようになると、これまで聞き逃していたようなことや気にも留めていなかったことも理解 でき、様々な事柄が見えてきた。ただ、目先の課題にもしっかり向き合っていく必要がある。夏ター ムには、大学のApplicationでとても重要な成績を決めるテストがある。時間をうまく使い、Extension の課題や自分の興味のある本も読みつつ、緊張感をもってA level の試験勉強をしっかり行いた い。自分が満足できる結果を出し、大学の選択肢がより広がるようにしたい。

 最後になりましたが、このような貴重な体験をすることができているのは、田崎理事長をはじめと する財団からのご支援があったからです。本当に感謝しております。