人生の新しいチャプターへの期待と興奮とともに渡英したあの日から、すでに一年が経過しました。この一年は初めての経験で溢れていて、毎日とても充実した日々を送ることができました。一年は本当にあっという間で明日からはパブリックスクールで最後の年が始まります。
夏休みまでのSummer Termは日程的にも2ヶ月間と短く、一瞬にして過ぎ去っていきました。タームの初めにはPredicted Gradeの半分を決めるテストがあり、特に力を入れた経済でAスターを手に入れることができ、結果に満足しています。A-levelの2年目に入ると内容も難しくなっていくので気を抜かずに最善を尽くします。 学業面以外では6月は大学のオープンデイに参加し、Durham, York, Edinburgh, Oxfordといろいろな大学を周ることができました。
その後は人生最長の2ヶ月超の夏休みに入りました。財団の支援のおかげで、Cambridgeでのサマースクールと、Topsに参加することができました。Cambridgeでは運命的な先生と出会うことができ、自分の知的好奇心を最大限満たすことができました。この場でもう一度財団様に感謝を申し上げます。Topsでは財団の先輩方とも交流することができ、2年後にこうありたいという理想が見えてきました。2ヶ月ということで時間が無限にあるように感じていましたが、今夏休みが終わる頃に課題が山積みで、もう少し計画的に進めるべきだったといつものように反省しています。
8月の終わり頃にはホストファミリーと国会の中の見学に行きました。イギリスの議会はHouse of CommonsとHouse of Lordsという二院制なのですが、BBC でみるHouse of Commonsの議事堂の小ささと、House of Lords の煌びやかさに驚かされました。議会は国王から権力を奪ったことの象徴ということもあり、ルールを破り処刑されたKing Charles Iの話、国王が立ち入ってはダメな場所の話など、どこかイギリスっぽさが溢れる見学でした。この夏休み、イギリス社会では大きな出来事が起こりました。労働党が選挙に勝ち、また10年以上見られなかった極右による暴動が各地で勃発しました。暴動の発端はSNS上の誤情報から始まったのですが、簡潔に言えば極右が増える移民、特にイスラム教徒に対して暴動を起こしました。そこで問われていたのが‘イギリスとは?本当のイギリス人とは?’ということです。日本人を定義するのは比較的簡単だと思います。なぜなら日本は大和民族が96%を占める単一民族国家だからです。17年間そのような日本に住んでいた僕はこの人種、民族などのトピックには全く関心を持っていませんでした。もちろん人は人でみんな一緒だと今でも信じていますが(差別主義者ではありません)イギリスに来てから気がついたのはみんな全然違うということです。Christ‘s Hospitalの一つの特徴は生徒の多様性です。生まれの国もそうですし、それぞれ育ってきた家庭環境など本当に多様な生徒の中で生活します。僕の友達グループはそれぞれ、フランスに別荘を持つ裕福な白人、家族で大学に行った人がいない白人、移民2世の黒人、東京から来たアジア人とそれぞれ全く違うバックグラウンドを持っています。やはりその中で政治などの話になると、いつも終わりなき白熱した議論になります。なぜなら全員が本当に違った意見、信念を持っているからです。高校生四人が合意できないのなら、6600万人のイギリス国民が一致団結できていない現状にも納得が行きます。イギリス人を定義することなど、たった1年しか住んでいない僕にはまだ早すぎますし、日本を定義するのも早すぎると思います。しかしこれからの人生の中で、もっとたくさんの人に出会い、知り合っていくことで自分なりの回答を模索していきたいと思います。
パブリックスクール最後の年は大学入試の上で重要な一年です。自分の行きたいOxfordに入学できるよう、気を引き締め、悔いのないように頑張ります。最後に、みなさん1年間サポートありがとうございました。財団、家族、応援してくれているみんなのおかげで夢に見ていたイギリス生活を楽しむことができています。これからもたくさんお世話になると多いますが、どうぞよろしくお願いします。