Year12と共にサマータームが終了しました。他の学期に比べると行事も多く、忙しく楽しいあっという間の十一週間でした。
今学期一番の山場は学期開始後の初週にあったEnd of year examで、前回のレポートでも触れたようにイースターを通して準備をした上で臨みました。振り返ってみれば試験の難易度は全教科共通して低めに設定されており、その後進捗の理解度を確認するために各教科で行われたトピックテストも当時恐れていたほど複雑な内容ではなかったため、望んでいたグレードを手に入れるのは簡単でした。今回の試験はInitial predictionに大きく関わってくると聞き少し気合を入れて準備していたことから、少し拍子抜けするような気持ちもありますが、まずは最初の一年間の努力の証、一つの節目としてこの結果を受け止めたうえで、これから勉強を進める上での土台としていきたいと思っています。
また今学期はC3L6と呼ばれる化学の外部試験もあり、もともと自分の中でもお気に入りの得意科目であること、大学へのアプリケーションにも有利になると考えたことから、過去問を解くなど様々な対策を行いました。しかし本番の試験時は問題の多くが一番苦手なトピックに偏っていたことでかなり焦ってしまい、自分の実力を最大限引き出すことはできませんでした。辛うじてGoldを取ることはできたのですが、細部を見るとお世辞にも満足できる内容では無く、まだまだ改善の余地があると痛感しました。
現在は新学期開始一週間後に行われる試験に向けて勉強しつつ、Personal statementなどにも取り組んでいるところです。Final predictionのベースになる試験であるため、少しプレッシャーを感じていますが、夏休み中にあったトピックテストやそれまでの試験などを見返し、自分の理解を確認しつつ着実に弱点を潰していくことで対策としようと思います。
タームの話に戻ると、イベントはほぼ毎週のように開催されとても忙しかったので、その中でも特に印象に残っているものをいくつか取り上げたいと思います。
試験後比較的直ぐに開かれたDeps dinnerはYear12のみを対象としたパーティで、全対象生徒が正装をして飾り付けのされたダイニングホールにて食事をする、という内容でした。僕の所属する寮のPeeleでは生徒同士で計画を立てそれぞれの民族衣装を着てくることになり、浴衣をレンタルして参加したのですが、きらびやかな衣装に包まれた同級生が集まる食堂は壮観で、同じ授業を選択しているグループで集まっての写真撮影などを含め、素敵な経験になりました。
House outings dayはタ ーム最後の週に全校生徒に与えられた休息日のようなもので、各々の寮が独自にプランを立て、一日自由に羽根を伸ばすことができます。PeeleはThorp parkという遊園地に行くことになったのですが、校外で多数の同級生と長時間遊ぶ機会は今までなかったため、更に交友を深めるきっかけにもなり充実した一日となりました。
またタームの最終日とその前日にはGrecians ballとLeavers serviceが行われ、それぞれ今年が最終学年となるYear13がメインのイベントでした。Grecians ballではそれぞれペアを組んだYear 13がパーティ会場に向かうまでの大通りを行進する時間があり、自分を含めた大勢の生徒が正装した卒業生を見るために集まりました。その中でも特に六期の先輩方を見つけた際にはどうしても来年の自分を重ね見てしまい、留学生活も折り返し地点を過ぎたことを強く実感しました。
夏休み中は前半の一カ月をオックスフォードで開かれるサマースクールで過ごしたので、それについて詳しく話していこうと思います。
世界中から集まった計二百人ほどの参加者は全員Pembroke collegeに泊まり、食事や基本的な授業などもカレッジの内部および周辺の施設で行うなど、かなり実際の生徒の生活に近い形だったのではないかと思います。授業はメジャーとマイナー二つを選択することができたため、自分はそれぞれBiomedical engineeringとNeuropsychologyを取りました。Biomedical engineeringではオックスフォードで実際に働いている研究員の方が教鞭を取り、ディスカッションなどを通してエンジニアリングの基礎など、実践的な知識を多く教えていただきました。先生の所属するLabやClean roomなどを見学する機会もあり、多くの加工機械や実験器具などを説明付きで間近に観察する貴重な経験となりました。最終プロジェクトとしては新しい医療機器をグループで発案、加工技術や使用する素材などをまとめたPoster presentationを作成するように指示されました。自分のグループは横隔膜の伸縮をPiezoelectric materialを使用して電気エネルギーに変換し、体内の他デバイスに送電する技術を考案したのですが、ゼロから実用性の高いデバイスを考え出すのは難しく、授業を通して培った知識を適用し、様々な先行研究を参照してなんとか形にすることができました。最終日には他の授業を選択している生徒に対してプレゼンをする機会もあり、質疑応答の時間などを含め実際に大学で出されるポスター課題と形式が似通っていたので、良い練習となったと思います。
Neural psychologyではBrain anatomyに始まって様々な神経損傷や精神病をCase studyを通して勉強していきました。コース中にクイズやプレゼンテーションの作成、発表やディベートなどを行う機会が多かったので、高頻度で自分の理解を確認するとともに、習った内容を更に深堀りする事もでき、マイナークラスとは思えない程多くを学ぶことができました。コースの中で印象深く残っているのは、課題を通して扱ったAnton-Babinski Syndromeです。これはとても珍しい疾患で、一次視覚野へのダメージなどを原因とし、発生すると視覚情報を処理する脳細胞の接続が失われ、自分の症状への自覚を欠損した状態で盲目となります。その際脳は疾患について無自覚であるため、症状に対する説明をするために幻覚を作り出し、患者は偽の世界を見ることになる、というのが興味深い点でした。
プログラムでは授業以外にも様々なアクティビティを行うことができ、オックスフォードの街探索や週に一度のパーティ、ファッションショーなど、それぞれ勉強の息抜きとして楽しむことができました。自分は現地でできた友人と四人でバンドを組み、プログラムの最後に行われたタレントショーで数曲ギターを弾くことになり、数週間にわたってメンバーと集まり練習し、本番ではプログラムの参加者全員の前で演奏することになりました。留学してから始めたギターで、学校での演奏はクラシックギターだったのに対し、バンドではアコースティックギターとエレキギターを使用したこと、弾いた曲のジャンルが全く異なることなど新しい挑戦が多く、完全に初の舞台のように感じ緊張してしまいましたが、メンバーには経験者が多かったこと、参加者の方々も優しい方ばかりだったことで拙い演奏ながら本番は上手く盛り上げ、成功させることができたのではないかと思います。
オックスフォードでのサマースクールを終えたあとは、TOPSプログラムにも参加させていただきました。自分はケンブリッジのDawning collegeに他の財団支援生と共に宿泊し、主に物理を受講しました。二階線形微分方程式や波動関数崩壊などかなり発展的な内容が広く扱われていたのですが、教師の方がとても面白く、科目に対しての興味が広がったとともに来年以降習う数学および物理が更に楽しみになりました。
最後に、普段の学校生活に加えてこれらのサマースクールを通して体験した全ては他では得難いものであり、ご支援いただいた財団様には大変感謝しています。パブリックスクールでの生活もあと一年となり、大学へのアプリケーションもいよいよ本格化してきていますが、これからも自分にできることを考え、実行し続けることで与えられた機会を活かしていこうと思います。