お知らせ

Kさん(女生徒)私立開智高等学校出身

ついにCHでの二年間が終わってしまいました。
Extraordinaryな環境で素晴らしい友人と先生方に恵まれた日々は、私にとってこれ以上ないほど濃密で豊かな時間でした。そして今、そのかけがえのない日常が私の中で「思い出」となってしまったことに、寂しさと同時に深い感謝を覚えています。

大切な思い出は、気づかぬうちにどんどん増えていきます。CHで過ごす中で、日本での学生時代の登下校の光景や、そのときの感覚をふと思い出すことがありました。もう二度と戻らない瞬間に気づくたびに、なんとも言えない寂しさを感じました。そして今度は、CHでの生活そのものが、もう戻ることのない思い出になってしまいました。

これからもきっと、そういった瞬間は増えていくのでしょう。そのたびに私は寂しさや辛さを感じるのかもしれません。でも同時に、それは感謝すべき瞬間なのだと思います。――それほど大切な時間が、確かに自分の人生に存在していたということ、そしてその一つひとつが、これからの私の行動や価値観を支える基盤になっているのだと。


そんなCHでの一日は、友達との「おはよう」の挨拶と、歴史あるダイニングホールでの朝食から始まり、夜は「バイバイ」ではなく「おやすみ」で終わります。ボーディングスクールだからこそ築くことのできた、生活のすべてを共にした友人たち。いつしかかけがえのない存在へと変わっていきました。

しかし最初からそう感じていたわけではありません。二年前にこの環境に飛び込んだ当初、周囲との間に見えない壁を感じることがあったのも事実です。先輩方が楽しそうにパブリックスクールでの二年間を振り返っていたことを思い返すたびに、本当に自分もそう思える日が来るのだろうか、この与えられた素晴らしい環境で最大限に学び、楽しみ、そしてlifelong friendを作ることができるのだろうか――そんな不安や焦り、情けなさを感じることもありました。
けれども、関係は時間をかけることで、少しずつ着実に育っていきました。人と完全に打ち解けるのに時間のかかる私ですが、自分にも相手にも時間を与えることで、次第に本当の自分を知ってもらえるようになったのだと思います。

また、学習面において特に大きな財産となったのは、Aレベルで三科目のみに集中できたことです。幅広く学ぶ日本のスタイルとは異なり、イギリスのカリキュラムでは高校の段階から専門性を深めることができます。そのため、単に「知識を広く身につける」というよりも、「自分はどの問いに強く心を動かされるのか」を意識しながら学ぶ時間となりました。
こうした環境の中で、私は薬理学や創薬の分野に強く惹かれるようになりました。もちろん、大学でより専門的に学問を探究していくうちに興味の対象が変わることもあるでしょう。しかし今は、自分の中で最も納得できる方向性を見つけた上で、次のステップである大学に進めることを何よりも嬉しく思っています。そして、このような確信に至ることができたのは、間違いなくCHという環境に身を置き、多様な刺激とサポートを受けられたからこそだと実感しています。


そして、この二年間、私を支えてくれた数えきれない人たち、その中でも、イギリスでの家族になってくれたホストファミリーの存在は特別でした。日本から何千キロも離れた土地で「ただいま」と言って帰れる家があったことは、何より大きな心の支えとなりました。ターム中も欠かさずメッセージを送り、本当の娘のように迎え入れてくれたホストマザーも、会うたびに息ができなくなるほどタイトなハグをしてくれるおじいちゃんも、みなの温かさは、言葉で言い尽くせないほど私を安心させ、勇気づけてくれました。
この二年間で出会ったすべての人々と、この生活を支えてくださった財団の皆様に、心から感謝しています。大学でも学び続ける喜びを胸に、これからもひたむきに、全力で歩んでいきたいです。