英国への出発一週間前。私は家族からも、日本語からも遠く離れる生活を全く想像できずにいながら、身の回りの整理に追われています。机の奥の方に大事にしまわれていた図工の作品、理科の実験ノート、地理の授業プリントなどが発掘されているのですが、前々から自分が強い興味を抱いていたことだけを、この先の留学生活でさらに突き詰めていける、ということを実感でき一層胸を弾ませています。
私は英国で、地理を中心に学んでいきたいと思っています。自然環境が一番の要因となって民族文化や宗教が生まれたと考えているので、その必然とも言える関係性を示すことで、彼らに対する偏見の視線を変えたいと思っています。
英国の生活では、どんな新しいことにも挑戦していきます。留学という未知のものに飛びついてみた結果、既に、多くの新しい経験を積むことができています。語学研修生の仲間と出逢え多くの刺激をもらえたこと、教科担当以外の先生から教えを乞えたこと、遠方に住む親戚、母校の小中学校を訪れる機会が生まれたこと。新たに一つのことに携わると、そこに関連する更に新しいことにも触れるチャンスが得られる。このことを体感した私は、とにかくこれから先の人生では、新しいことには何でも挑んでいきます。しかしそこには当然、言語の壁が立ちはだかっていて、自分から最初の一歩を踏み出すことは決して容易ではないと思います。けれども、多くの方々に支えられて今の自分があることを忘れずに、躊躇わず反射的に発言する、など頭より先に体が動くよう努力していきます。また、違う言語を用いて生きていれば、当然感性も全く異なったものに育つと思います。ですから母国語ではない言語が持つ、微妙なニュアンスを体得するには膨大な時間を要するでしょう。しかしそこで、助け船を出してくれるのがスポーツであると思います。サッカーW杯、WBCが日本中の人を熱狂させたことは記憶に新しいですが、私は改めて、スポーツがもたらす一体感というものを強く感じました。選手の自然に滲み出る表情から、私達は言語を通さずにそのプレーヤーの感情を想像することができます。だから、彼らと同じように一喜一憂することができるのだと思います。ですから私も、特技であるスポーツにおいても色々な種目に挑戦し、言語を媒介とせずとも共有できる感情を通して、語学力の向上、人間関係の構築を目指します。
最後になりますが、留学生活全てを支えてくださるTazaki財団の皆様、将来の方向性について考えたこともなく、自分の知らないことに対し保守的だった私に人生を変える機会を与えて下さり、ありがとうございます。常に奨学生としての自覚を持ち、積極的に何事にも挑戦します。また、私に専門的なことも含め様々なことに興味を抱かせてくださった初等科の先生方、人生において大切なことを伝えてくださった日比谷高校のT先生、幼少期から親身になって、ここ、あそこと遊びに連れて行ってくれたM.Mさん、そしてどんなときも応援してくれる家族に心からの感謝を申し上げます。みなさんからいただいた激励の言葉を胸に、日々精進して参ります。