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Aさん(女生徒)都立西高等学校出身

 2年前、緊張と不安を胸にHeathrow空港に降り立った日のことを、今でも鮮明に覚えています。あのときは期待よりも、新たな環境で自分の居場所を見つけられるのかという不安の方が大きく、心細さに押しつぶされそうでした。しかし、気づけばあっという間に2年が過ぎ、この留学生活を振り返ると学びも出会いもかけがえのないものばかりでした。A-Levelでの学習や課外活動を通じて自分の興味を深められたことはもちろん、文化や価値観の異なる人々と過ごした時間から多くを学び、成長することができました。このレポートではその2年間を振り返り、学び得たことや感じたこと、大学での抱負を記していきたいと思います。

 まず、A-Levelを通して自分の興味をさらに探めることができました。PoliticsとEconomicsはエッセイ中心の科目であり、日本とは異なる出題形式に最初は戸惑いましたが、もともと関心の高い分野だったため自主的な学びも苦にならず、先生方のサポートもあって楽しく取り組むことができました。Politicsのクラスは、バックグラウンドや意見が多様でありながら、小人数で一人一人が意見を発しやすい環境だったため、意見交換やディベートなどがとても多く、新鮮で充実した学びの連続でした。そこで、自分の芯を持ちながら考えること、そして他者の視点や考えを理解しようとすることの二つのバランスの大切さを実感しました。また、外部のエッセイコンペティションやEPQ、オンライン講座など興味のあることにも色々と挑戦し、隙間時間を活用し学びを深めることができました。最終的には、Economics、Maths、Further MathsでA*、Politics、EPQでAという結果を収めることができました。

 勉強に加え、課外活動に参加したことも貴重な経験であり、学校生活を豊かにしてくれました。2年間を通して様々なConferenceに参加することのできたMUN(模擬国連)では社会問題への理解をさらに深める機会になり、Public Speakingの力を養うことができました。また、Clarinet EnsembleやKJO(Kingswood Jazz Orchestra)を通して、新たなコミュニティを確立し音楽を楽しむことができました。校内のコンサートにも、ピアノとクラリネット両方で参加することができたことも良い思い出です。卒業前のLeavers Serviceでは、先生方から生徒代表としてピアノ演奏を任されたことに驚きましたが、自分の努力を見守ってくれていた先生方の存在に改めて感謝し、心から嬉しく思いました。

 また、Kingswooodでの学校生活を通じて、コミュニケーションや文化交流の重要性も学びました。これまで地元の公立小・中学校や都立高校に通っていた頃は、育った環境や価値観にある程度の共通性がありましたが、KWでは経済的階級や文化的背景の異なる人々と関わる機会が格段に増えました。また、小学校からのエスカレーター式の学校に途中入学したため、既に友だちグループが確立していることもあり、自分から会話をつくり、コミュニケーションを取ることの大切さを実感しました。幸運にも素敵な仲間に恵まれ、入学してからすぐ仲のよい友だちができ、新たな友だちグループをつくりsixth formを楽しむことができました。Day student中心のグループだったため、週末に家に遊びに行ったりA-level後はグループで旅行をしたりと、人間関係をさらに広げるきっかけにもなりました。もちろん途中入学であるがゆえに、共通の思い出が少ないなどと孤独に感じることや、寮生活でホームシックになることもありましたが、いつもそばにいてくれる友だちの存在に何度も救われ、楽しく充実した学校生活を送ることができました。

そしてこの2年間、日本にいる家族はもちろん、ホストファミリーにもずっと支えられてきました。いつも温かく迎えてくださり、リラックスして楽しい日常生活を送りながら、一緒に様々な場所へ遊びに出かけたりと、休暇のたびにホストファミリーの家で過ごすことが本当に楽しみでした。また、進路について親身に相談に乗ってくれたり、私のホームシックを和らげるために日本料理に挑戦してくれたり、その優しさに触れるたびに感謝の気持ちが募りました。さらに、休暇中だけでなく寮で過ごす学期中にも連絡をくれ食事に誘ってくれたり、親戚の集まりに招いてくれたりと、本当の家族として迎え入れていただいたことに心から感謝しています。このような素敵なホストファミリーに出会えた奇跡に感謝し、これからもずっと大切にしていきたいと思います。新しい環境やA-Levelでストレスが溜まりやすいこの2年間を楽しく、意味のあるものにしてくれた友だちとホストファミリーの存在は、私が渡英して得た何よりも大きな宝物です。

 9月からは、UCL大学で、自分のPassionに全力で向き合い、後悔のないように努力を重ねていきたいと思います。UCLのモットーである“Let all come who by merit most deserve reward (Cuncti adsint meritaeque praemia palmae)” というのは、かつて上流階級向けとされていた高等教育を、階級や宗教に関係なく広く一般に開いたというUCLの歴史を体現するものです。その大学の理念に強く惹かれて、私はUCLを第一志望としました。大学では、PPE (Philosophy,Politics and Economics)を中心に学びを深め、多様な人々と交流を通じて更なる成長を目指します。また、UCLのPPEでは、Q-Step Streamというデータ分析などに特化したコースがあり、理論だけでなく、実践的なスキルも身につけられる点にも大きな魅力を感じています。ロンドンという世界と繋がる都市で、将来への道にも繋げられるように努力し続けていきたいと思います。

 この2年間で得た学びと出会いは、私にとってかけがえのない財産です。留学生活を支えてくださっている全ての方々に感謝しながら、次のステージである大学生活に挑んでいきます。UCLでさらに学びを深め、多様な人々と切磋琢磨しながら、自分の視野を広げて成長していきたいです。そして将来は、この経験を社会に還元し、自分らしい形で世界に貢献できる人になれるよう尽力します。