少しの不安と胸いっぱいの期待とともに渡英してから2年、無事にChrist’s Hospitalを卒業することができました。7月の初めに帰国し、高校時代の友人や家族との時間を楽しんでいます。
最初の1年間色々とあった美術史もなんとかAレベル本番の前にシラバスが終わり、他の教科も最後の1タームは復習に時間を割くことができました。一年目の内容で少し自信がなくなっているところや、反対に二年目に学習した範囲をさらに深める良い機会になったと思います。Aレベル期間は終わってみるとあっという間で、記憶もないほどですが、CH最後の2ヶ月間を全力で満喫できたのかなと思います。
8月の中旬にA levelの結果が公表され、秋からUCLでPhilosophy and History of Artを学ぶことになりました。英国留学を志すきっかけとなった美術史と、かねてから興味を持っていた哲学を、美術館博物館の集うロンドンで学べることに期待を膨らましています。
帰ってきて初めて元の高校の友達に会った時、開口一番に言われたのが「いい意味で変わらないね!」でした。2年前、最初の奨学生レポートで -”Mobilis in Mobili”(動中の動)、変化していく環境の中でどれだけ自分は変化できるのか- を掲げていた私としては複雑な反面、自分の中に核のような、周囲に依らない、変化しない部分があるということに嬉しさを覚えました。
このレポートを書くにあたって、もう一度自分が2年間で得たものを振り返ってみようと思い、祖母にもらった5年連用の日記帳を振り返っています。1日3行、その日思ったことやあったことを率直に書くだけのことではありますが、三日坊主の私が、途中の抜けはあれど、2年間続けられたことも成長の一つかなと思います。
日記の一部を抜粋/推敲して紹介してみます。
22. 2. 2023.
今日はAsh Wednesdayらしい。それににあって灰色の空。
初めてちゃんと(友人)ちゃんと話したかも!
北斎について英語で解説されるのすごく不思議な気持ち
2. 3. 2023
Archaeology のRidley lectureがあった。
話は広大にしすぎるとまとまらないことを学んだ。
お菓子食べ過ぎ;;オンライン授業x2〜マーチング〜レクチャーで忙殺
15. 7. 2023.
イタリアあっつい…町中に美術品が置いてあることに感動。
3歩歩けばなんかある、すごい。こういう環境で育ってきた人って美術館のことをどう捉えるんだろう。別世界というよりも、日常の延長線で捉えるのだろうか。
1.1.2024
あと半年少しで帰国かぁ…なんか不思議な気持ち。
笑顔でみんなと再会して遊びたいな。もう大学のことはうだうだするから一旦考えないようにしよう!
28. 6. 2024
もう二年経ったなんて信じられない。後少しでこの学校に毎日いることがなくなるなんて、想像もつかないかもしれない。卒業が悲しいというよりも、当たり前が変わ
ることへの漠然とした恐怖が。帰るのはとても楽しみなのに、学校に戻ってこないのが違和感でしかない。
こうして振り返っていくと、記憶の彼方に埋もれてしまっていた出来事の数々が思い起こされ、日常の些細なことを記録していくことの大切さを改めて実感しました。非日常だった寮生活が日常になっていくことや、最初は〇〇と初めて話せた!感動!といった内容が多かったのが、段々と話した内容や、一緒にしたこと行った場所、考えたことや感じたことなどに移り変わっていったのも、他所者目線から主体目線に変わっていった、三人称ではなく一人称視点で留学という機会を捉えることが出来るようになっていったことなのかな、と考えています。
そして、この2年で得たことを元に、さらに日記帳に日々を綴っていけたらなと思います。
この2年間を精神的に支えてくれた同期のみんなへ。zoom会や深夜の電話、メッセージのやり取り、会った時に交わした言葉、全部全部が私の支えになってくれました。みんなと一緒に6期生になれて本当に良かった、ありがとう!!!
そして最後に、この留学を実現させてくださった田崎財団の皆様。この感謝の気持ちは言葉では伝えきれません。本当にありがとうございました。大学でも気持ちを新たに、頑張っていきたいと思います。