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Mさん(女生徒)都立三鷹中等教育学校

Fettes College に入学することになりました、Mです。夏まで都立三鷹中等教育学校に在籍していました。今回は、田崎財団の奨学生を目指している方に向けて、奨学生に選ばれるまでの流れについて書きたいと思います。きっと長くなりますので、説明会から第二面接までをPart 1とします。

私が田崎財団に興味を持ったきっかけは学校の当時の担任の先生でした。帰国子女で英語は堪能だったので、特に留学したいと思っていたわけではありませんが、勧められて11月の説明会に行きました。イギリスで学びたいと決心したのは説明会の終了時です。親にイギリスに行きたいと言うと、一瞬驚いていた気がしますが、私が一番したいことをすれば良いと応援してくれました。

次は書類選考です。生物が好きなこと、英語ができること、なぜイギリスでなければいけないのかなどを書き連ね、校長先生に手直ししていただきながら提出しました。結果が返ってくるまで気がそわそわしていてもたってもいられない気分でした。第一面接に行けることになったと知った瞬間、安堵が押し寄せてくると共に新たに不安が生まれてきました。

面接から学んだことは、声量と考えを伝えようとする気持ち、自分を知っておく大切さです。これから詳述したいと思います。第一面接の前、私は書類選考の紙を読み返して、これに沿って自分をアピールしようと心に決めました。だから、少し見栄を張りたくても、書類選考の紙は本当に正直に書くべきです。私はがちがちに緊張しながら第一面接に母と行きました。間違って裏口から入ってしまい、たまたまその場に居合わせた看板を背負った方に表口は反対側と教えていただきました。ありがとうございます。表口には2人、同じ面接を受けに来た方がいました。そのうち1人と後々非常に親しくなるのですが、その話はまた別の機会にしましょう。

第一面接はあまりの緊張のためによく覚えていませんが、書類選考の内容について深く突っ込まれたのは確かです。生物のどこが好きなのか、どういう大学を視野に捉えているか、英検などについて、うまく舌が回らないも懸命に応答しました。英検を軸に、英語力について比較的長くお話ししました。謙遜せずに堂々と英語はできると申し上げたのが良かったと思います。一つ鮮明に覚えていることがあります。私は一度も次世代に参加したことはありませんが、誤解があったのでしょうか、財団の方々は私を次世代の生徒のように思っていらっしゃる口ぶりでした。私は次世代に参加していませんと慌てて申し上げ、束の間の沈黙の後、次世代は英語「を」学ぶもので、私は英語「で」学びたいんだという旨をお伝えしました。一瞬の判断だったのですが、単調にYes/Noで答えるのではなく、+αのことを言う大切さを痛感しました。もう一つ、3回の面接に渡り幾度も注意されたことは、声の小ささです。緊張と反比例する自分の声量のゆえ、声が小さすぎて面接の方々にご迷惑をおかけしました。どんなに良いことを言っていても、自信なさげだったり聞こえもしなかったりしたら何も伝わらないと思い、声を振り絞りました。

第一面接の終了後、近くのカフェで待っていた母と合流し、不思議と終焉を静かに待ち受ける気持ちで落ちたと思うと繰り返していました。母は対極的に、当時の私にとっては能天気なほど大丈夫だと確信していました。

第一面接に受かり、ブリティッシュカウンシルのクラスが始まりました。12人のクラス2つにわけられ、英語に包まれる準備をします。間違いを気にせず英語を話すことと友達を作ることが重要です。英語に自信がなくても、周りの人が流暢に話していても、できる限り英語を使えば必ず上達します。英語のレベルとしては簡単でしたが、英語を常時使う環境に飛び込む貴重な練習になりました。

次は第二面接です。待ち時間の間、極度の緊張を解すようにお喋りしていただいたスタッフの方には感謝してもしきれません。ブリティッシュカウンシルのクラスでとても親しくなった友達の後の順で、すれ違いざまに手を振り合って少しだけ緊張が弱まりました。2回目の面接では、学校の成績にも言及されました。英語のみならず成績は重要です。体育の評定だけ目立って低くて突っ込まれました。ここでも声が小さいと言われ、面接の真っ最中に涙を堪えようとしながらなんとか最後まで頑張りました。その必死に思いを伝えようとする姿勢が評価されたと後で伺いました。
長くなってしまいましたが、これでPart 1を終わりたいと思います。次は最終面接と候補生合格、入学試験などについて書こうと思います。 同じブリティッシュカウンシルのクラスの方とは数ヶ月の間で驚くほど親しくなりました。私にとって6期の仲間は同じ環境に置かれた大切な存在です。私は幸運にも帰りが一緒でしかも同じく生物が好きな素敵な人に巡り合えました。最後までモチベーションを高く保てたのには彼女の存在が大きいです。なぜか面接の順番はいつも彼女の後に私で、一緒に震えたり励ましあったりできました。不安やわくわくを共有できる仲間がいたことはとてもありがたく、イギリスで離れてしまうことに寂しさを否めません。

長くなってしまいましたが、これでPart 1を終わりたいと思います。


今回は田崎財団の奨学生として渡英を控えている方々に向けてPart 2として、IELTSと最終(第3)面接とFettesへの入学試験、英国での勉強の準備などについて書きます。

まずはIELTSからです。春ごろにIELTS集中講座があり、5日間ブリティッシュカウンシルで特訓します。講座で何に集中するかは人それぞれですが、ライティングは押さえるべきポイントがあるため、私はそれに焦点を絞りました。本番はリスニングで少しでも気を抜くとすぐに情報が流れていってしまい、いくつか点を落としました。ライティングもあまり芳しくはない結果になってしまいました。もっとグラフの読み取りの記述方法のビデオを見るなど対策をしておけばよかったです。

次は最終面接についてです。人によると思いますが、私はIELTSの結果が出てから最終面接を受けました。しくみはよくわかりませんが、きっとこの時点で誰が選ばれるかほぼ確定しているのではないでしょうか。選考に関わっていらっしゃる方5人との面接です。もう一度イギリスに行きたい動機と私の好きな生物についてお話ししました。その後は、正直に申し上げると、私を置いてきぼりにして5人で談笑なさっていた感じです。繰り返しイギリスで何を学びたいか他人に説明することで自分が何をしたいかどんどん明確になって覚悟が固まったので感謝しております。

新学期始まって早々に候補生に選ばれたという連絡が届きました。それまで私は落ち着くことができず、檻の中の熊のようにリビングをうろうろしてなぜか余裕の母に笑われていました。学校から帰宅途中、駅でメールを受け取った瞬間、全身が震えて携帯を取り落としそうになりました。メールを駅で開くか家で開くか、人前で泣きたくない、だけど結果を知りたいという葛藤の末、その場でメールを開くと、候補生に選ばれたという内容が目に飛び込んできました。ここで受かったと思ったのですが、候補生とは何だ、補欠合格なのかなと疑心暗鬼になりました。選ばれた人はまず候補生の扱いで、イギリスの学校の試験に受かってから初めて奨学生になります。不安になりながらも母とPart 1で登場した友達に真っ先に連絡し、家で改めて喜びを噛み締めました。

自分を選んでいただいた理由を考えてみると、英語力と成績、面接で緊張で泣きそうに(実際に泣いたのですが)なりながらも揺らがない意志をきちんと伝えたことが大きいと思います。生物は大好きでどんなに緊張していてもそれだけはこちらから話したいと言う気持ちになれます。しかし自分が最後まで頑張れたのは、イギリスに行きたいという決心ももちろんですが、同じ6期の生徒の存在にも理由があります。こんなに優秀な人に囲まれることでもっと自分を伸ばしたいという思いが一層強まりました。
結果発表の数日後に候補生全員の説明会がありました。そこで他の人が初めてわかります。みなさんとても優秀で、夢中になれることがあって、その中にいられることが誇りです。

次のステージはFettes への入学試験です。必須の英語に加え、私は生物と数学を受けました。科目は学校とA level で何を取りたいかによります。そのために数学はまず語彙や質問形式に慣れることを重視して勉強しました。問題自体は簡単でしたが、関数電卓が必要でした。電卓も早めに買って慣れることをおすすめします。生物は財団から教科書を借りて必死に勉強しました。語彙はもちろんですが、実験のステップや生物の基本的なしくみをもっと上手に記述できるようになっていれば良かったと後悔しました。Fettesの教師の方と面談をした時、英語と数学が90%以上、生物も85%ほどだったと知らされて、この優秀な学校に実力をもって認めていただけることを心から誇らしく思いました。

夏からは本格的に渡英の準備に入りました。Fettesではパーティがいくつかあると言うことで、ドレスを2着買いました。フォーマルでものと、比較的カジュアルだけれど十分華やかなものです。トランクは、2つ扱うのは大変かと思い1つ大きなものを使うことにし、トランクに装着できるバッグを併用します。スコットランドは一年を通して涼しいためどの服を持っていくか苦慮しました。

夏からはPre A levels の授業が始まり、化学、生物、数学の3教科を勉強しました。化学と生物は語句が多く混乱することもありましたが、その教科を貫く根本的な原理に常に還元して考えれば良いと学びました。数学は微分積分などまだ学校で扱っていない単元にも触れて焦りましたが、問題を解いてみると特に心配することはなかったので、これからも変に気張らず授業に臨んでいきたいです。些細なことですが、イギリスの数学の表記が時々日本と違ったり電卓をフル活用したりと慣れないといけないことがありました。私は化学に特に力を入れなければいけないため、Pre A levelの先生に紹介していただいたサイトで基礎から復習しています。熱化学反応の扱い方が日本と大きく違っていたり、実験の知識を多く求められたりしていて勉強して良かったと思いました。最近はTed Edや Amoeba Sisters, BBC Earthなどの生物の動画を見るのにはまっていて、特に2つ目は楽しく授業を解説してくれているようで見飽きません。

私は渡英する前に友達と時間を過ごしています。知らぬところで学年全体で写真アルバムやメッセージカードを作ってくれたり、手紙をもらったり、自分がこんなに愛されているのかと思うと英国での人間関係の不安もすーっと消えていくようです。緊張もありますが、早くイギリスに飛んでいきたい気分でいっぱいです。