科学オリンピック
理系の科目を専攻している私は、今学期は様々な科学オリンピックを受験した。これらは学校の教育の一環として受けた。たとえば、授業で過去問を解いたり、放課後にオリンピック対策の部活が開かれたりした。オリンピックは基本的に授業時間に行われるので、その間の授業は欠席が認められた。何らかの賞をとった場合は全校集会で表彰された。写真と実名が学校のホームページに掲載されることもあった。これには宣伝効果と同時に生徒への報酬という意味もあると感じた。
オリンピックの受験者数は増加傾向にある。特に若年層や公立校生の受験が増えている。上位数十人は国際大会の代表選抜を兼ねたCambridgeやOxfordでの合宿に招待される。ただしイギリス国籍を持つか教育の大半をイギリスで受けたことが条件であるため、留学生には大きな障壁となっている。どのオリンピックもGoldは上位10%ほど、最も低い賞は60%に与えられることから、代表の選抜だけでなく生徒たちの動機付けや教育活動という面もあると感じた。
オリンピックでの実績は大学入試において非常に効果を発揮すると思われる。そもそもイギリスには日本のような模擬試験が無いため、受験生側も大学側もA-Level試験とpredicted grade以外に実力を測る手段が殆どない。そのため、入学要件にA*A*Aを要求するOxbridgeやImperialなどのトップ大にとってオリンピックは受験生の実力を知れる数少ない機会だと言える。実際に、Goldの受賞者数はOxbridgeの関連学部の定員より少なめである。他にもCambridgeのNatural Sciencesの入試担当者は問題を解く能力を最も重要視していると語っている。
クロスカントリー
今学期は学校の体育で取り組んでいたクロスカントリーの大会のシーズンでもあった。スキーのクロスカントリーではなく、山や森などを走る長距離走のことである。ちなみに、Kingswoodでは整備された地面での長距離走よりもクロスカントリーの方が主流である。
こちらの大会も平日の授業時間に行われるので、授業の欠席が認められている。基本的に週1回、片道1時間〜1時間半かけて参加した。レースは1人2kmのリレーか5〜6kmの個人レースが多かった。中には池に飛び込ませるという遊び心あるレースもあった。また、大会会場ではココアやお菓子が振る舞われた。これは選手への労いということだろう。総じて、競争のための大会というよりも皆が楽しむスポーツイベントという要素の方が大きいと感じた。
練習や大会はかなり負荷が高かったが、勉強の気分転換になった。また、選択者の少ない種目なので担当教員や他の生徒たちともすぐに親密になれた。どんな小さな大会でも翌週には必ず全校集会でスライドショーとともに成績が発表されるのが印象的だった。これについては、「学校を代表してくれてありがとう」という担当教員の言葉が学校の姿勢を象徴していると感じた。
学期末にはどの種目でもMVP、最も成長した選手、一定期間以上代表としてチームに貢献した選手の表彰が行われた。実績だけでなく個人として最も成長した者も表彰するというのがイギリスらしくて面白いと思った。