1年が一瞬で過ぎ去り、いよいよ大学進学を見据えて具体的な準備を進めていく段階に入りました。苦労もそれなりにしてきましたが、イギリス留学をして心から良かったと思えた一年を過ごせました。
この夏、一番印象に残っている活動はケンブリッジ大学で行われたサマースクールです。3泊4日と比較的短い期間でしたが、イギリス中から集まったトップレベルの生徒たちと学びを深めることができました。講義の内容は量子力学についてで、微分や積分などの数学を使って量子力学の問題を解くことはとても興味深かったです。また、生徒のレベルも高く、物理学に対する熱意にあふれる人ばかりだったので、イギリスの大学でこういった人達と高め合うことができるのだと思うと、自分が英国留学している意義を再確認することができました。ほかにも、インペリアルカレッジロンドンのサマースクールにも行きましたが、残念ながら新型コロナウイルスに感染してしまい、いただいた機会のすべてを生かしきることはできませんでした。それでも、コンピューターシミュレーションを使って物理現象をグラフ化するなど、大学でやるような応用的かつ実践的な技能を追求することができました
一年を通して、私は自分の勉強に対する姿勢が大きく変化したように思います。日本での私は、受験を意識する日々を送っており、受験範囲や点数にとらわれずに物理学関連の好奇心を満たす余裕もありませんでした。知らない、分からないは問答無用で減点につながり、予習と復習を繰り返して得た点数だけが私の努力の証だったのです。しかし、イギリスに来てからは受験様式の違いから、点数よりも、自分が学びたいように学ぶ環境が整ったように思います。イギリスの教育制度のおかげで、自分が本当に興味のある科目だけを選択することができ、また、Aレベル試験の難易度も日本と比べれば低いものになっています。このおかげで、点数にこだわりすぎることなく、興味のある事柄を好きなだけ探求することができるのです。一方で、学校の授業レベルに甘んじて自主的に勉強することを怠ると、学力面での成長は見込めないとも思いました。
最後に、この1年間私がイギリスで頑張ってこられたのは、Tazaki財団の方々やガーディアン、ホストファミリーや学校の先生など、周囲の大人の親身な協力があってのものでした。特に、Tazaki財団様からの援助は必要不可欠なものでした。1年間本当にありがとうございました。私を支えてくださった方々や日本にいる家族からの期待に応えられるように、そして、自分の夢に近づけるように、これからも精進していきます。