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Mさん(男生徒)国立筑波大学附属高等学校出身

去年の夏には大学出願とパーソナルステートメントの作成に追われていたが、早いもので1年が経過し、今は大学生活が3週間後に幕を開けるという新たな局面を迎えている。先月にはA levelの結果が発表され、無事にFirm Choice(第一志望)であったImperial College LondonのMechanical Engineeringへの進学が決定した。そこで今回のレポートでは、これから大学へ進学する後輩へ向けて、ここ1年の総括として自分がどのような基準で大学を選んだのかについて記載しようと思う。ただし、イギリスの大学は学部によって状況が大きく異なるため、あくまで工学部(特にAIやロボット分野)の情報だということを留意してほしい。

大学受験では第一志望の大学を含めて計5つの異なる大学へ出願した。出願大学と学部を志望順にまとめたリストが以下のものだ。

1.Imperial College London (Mechanical Engineering)
2.Oxford (Information Engineering/Engineering Science)
3.UCL (Robotics and Artificial Intelligence)
4.Bristol (Mechanical Engineering)
5.Birmingham (Mechatronic and Robotic Engineering)

Imperial College Londonの志望順位がOxfordより高いことに違和感を覚える人もいるかもしれない。ここでOxbridge(OxfordとCambridgeの総称)の特徴について少し触れておこう。まず、Oxbridgeはそのどちらかしか受験することができない。したがって、どちらの学校に出願するか事前によく思案する必要がある。また、Oxbridgeの工学系コースは特徴的で、最初の2年間は選択したコースに関わらず、広範な内容を履修する。例えばMechanical Engineeringのコースに入学してもChemical EngineeringやCivil Engineeringについて勉強する。それに対して他の大学は1年次から専門性の高い内容を履修する。自分は幼い時からMechanical Engineering(機械工学)とAeronautical Engineering(航空宇宙工学)の2つに特に興味があり、大学でもいずれかを勉強したいと考えていた。そのため、2年かけてすべてを網羅するOxbridgeのカリキュラムより、専門性が高いImperial College Londonのコースのほうがより魅力的に映った。

世界大学ランキングを見てみるとOxbridgeは常に上位に位置している。その知名度は遠く離れた日本でも高い。しかし、大学ランキングや知名度では計れない別の面から大学を評価すると、Imperial College LondonやBristolといった学校も高いレベルで教育を提供していることがわかる。Imperial College Londonなどの大学は実践的な内容に力を入れてコースを組むことが多い一方で、Oxbridgeはより理論的で研究向きな授業が多い。そのため、論文の発表数や引用数が反映される大学ランキングは上位に食い込むが、「有用性」という観点においてはImperial College Londonのコースに軍配が上がる。また、大学ランキングにもさまざまな種類があり、イギリスの生徒はCompleteというランキングを参考にすることが多い。Completeは生徒の満足度を指標の一つとして組み込んでいて、他のものより生徒の目線に立ったランキングとなっている。

「有用性」などの評価軸を決めると、A levelの科目選択も考えやすくなる。私は渡英前Aeronautical Engineeringを専攻したかったこともあり、科目はMaths, Further Maths, Physics, Chemistryを選択した。しかし友人の中にはものづくりについて学ぶDesign Technologyという科目やComputer Scienceを選び、より実践的なスキルを身につけた人もいる。

渡英する前はあれほど緊張していたKingswoodでの2年間も、過ぎてしまえばあっという間だったように思う。友人やホストファミリーらとともに過ごした時間は、とても有意義で素晴らしいものだった。高校生活は幕を閉じ、新しく大学生活が始まる。この価値ある時間を無駄にしないよう、さらなるステップアップを目指して努力を続けたい。最後に、高校生活を通じてサポートしてくれたTazaki財団に心からの感謝を申し上げたい。