去年の7月に英国に渡ってから早くも1年以上が経ちました。この1年間は新しい環境に慣れるのに必死で、あっという間に過ぎ去ってしまったという感覚ですが、その間、本当に貴重な経験をさせていただきました。
この1年を振り返ると、勉学面では英語力、その上で能動性、積極性が求められる場面が多く、それをいかに克服するかというところで大変苦慮しました。その中で気づかされたのは、盤石な知識無くして発信はできないということです。いくら自分の意見を伝達することに長けていても、その意見を支える理論やデータがなくては、ただの一方的な主張になってしまいます。また、物事の背景を知らなければ、意見を持つことさえできません。昨今の新型ウイルス感染拡大の中でも根拠なき主張が蔓延し、結果的に社会的な混乱を招くという事態が起きています。4月からの一時帰国中には、大学の面接も意識しつつ、経済学の分野で、学校での学習内容を超えて勉強し、自分の考えをまとめてエッセイコンペティションに応募するなど、インプット、アウトプット両面での強化をしてきました。まだ、完璧には程遠いですが、日本の学校では大切さがわかりづらかったものに気付くことができ、それに重点を置いて努力できたのは、授業の方法や評価の付け方、先生方からのアドバイス等、英国パブリックスクールの教育のおかげだと思っています。
勉学以外でも、学校での寮生活や行事、ホストファミリーとの生活を通して多様な文化に触れることができました。寮には人種や国籍もさまざまな生徒たちが溢れていて、その中ではやはり色々なトラブルも起こります(例えば音楽を大音量で流すなど)。大抵の場合、悪気はなく文化の違いなどからそれが当たり前と思ってやっているのですが、それは裏を返せば、自分の何気ない行動が他の人にとっては快いものではないということでもあるとわかりました。さすがに我慢できないものは、文句を言うこともありますが、許容範囲の中では互いに受け入れることが多いと思います。これは個性の尊重という空気感からも来るものかもしれません。私個人はスポーツは不得手ですが、音楽をやるので、さまざまな機会に人前で演奏をすることがありました。一度、日曜日のチャペルで楽器を演奏した後に(個人的には満足のいく演奏ではなかったのですが)同じ寮の人や名前も知らない生徒からも「良かったよ」と言ってもらえて、大変嬉しかったのを覚えています。どんな人であれ、どんな努力や才能をも認めて、受け止めることを躊躇わない空気には色々なことで支えられてきました。自分ももっと他人の良いところを見つけて、積極的に認められるようになりたいです。
さて、長くなってしまいましたが、新型感染症という全く予測不能の事態に見舞われながらもここまでやってくることができたのは、Fettesの友達、先生方、ガーディアンやホストファミリー、家族、そして何より、Tazaki財団の皆様からの本当に温かいご支援のおかげです。大学受験のプレッシャーも強く感じるようになってきましたが、パブリックスクールでの最後の1年をより充実したものにし、大学進学に備えるため、決意を新たに今まで以上にがんばっていきます。これまでのご支援本当にありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。