お知らせ

都立日比谷高等学校 Tさん(女生徒)

前回のレポートからまた4か月が経ち、北に位置するエジンバラは夜が短くなってきて今では夜の8時頃まで空が明るいです。昨年秋から毎日必死で頑張ってきましたが、空が晴れ上がる日も多くなり、私の気持ちもとても清々しいです。こちらでは少しでも晴れの天気になるとみんなでBeachesと呼ばれる学校内にある芝生エリアで日向ぼっこをし、とても気持ちが良いです。 この4か月は充実していてあっという間に過ぎていきました。私の学年は来年の大学受験に向けての準備が始まっています。日本の大学受験とは違い、学習面だけでなく一人ひとりを総合的に見て合否が決まるイギリスのシステムはある意味難しいようにも感じます。

イギリスのA-Levelは、たった3教科を2年かけて深く学習するシステムになっていて私はHistory, Economics, Mathを選択しています。自分の好きな教科を選んで深く学ぶことができ、楽しんで意欲的に授業に取り組めます。中でもHistoryは日本とは異なり、エッセイとソースクエスチョンだけの形式で、深い知識だけでなくその知識をどう使い分析して問いに答えていくかがとても重要になっています。多角的な視点と論理的な思考で自分の意見を主張していく能力が大変鍛えられ様々な面で役に立っているように感じます。また、柔らかい思考が欠かせずほかの意見を聞いて分析していくことの重要さを学びました。

課外活動の面では、学校の近くにあるチャリティーショップでの週一回のボランティアを始めました。仕事をこなすだけでなく、ショップに来るお客様やほかのボランティアの方との会話を楽しむ余裕も出来てきています。またホストファミリー経由で紹介してもらったエジンバラにある法律事務所でWork Experienceをする機会もありました。実際に事務所が取り扱っているケースについて説明してもらったり、裁判所に行って裁判の傍聴をして裁判官とお話しさせていただいたりと良い経験になり、さらに法学や政治への興味が深まりました。

こちらに来て一番ハッとさせられたのは自分の日本人としてのアイデンティティーの存在です。この8か月間、「○○は日本語でなんて言うの?」や「○○は日本にはあるの?」といった質問を何回受けたか数え切れません。もちろんこれは日本で暮らしていたら全く聞かれないことです。また、授業で日本のことが話題に出てきたり、日本の文化の話になるとうれしくなったりすることもあります。これまで自分が日本人であるという事をこれほどはっきりと認識したことはありませんでした。それと同時に、外国人の日本のイメージのギャップにも驚きました。侍や腹切りなどについてよく聞かれますが、実際の日本とは少しずれたイメージが浸透しているようにも感じます。正しい日本の良さを少しでも伝えていけたらと思っています。日本で日本人に囲まれて暮らしていたら絶対に気づかない海外から見た日本、そして日本人としての自分を深く認識し大きく視点が変わりました。

イースター休暇ではJames Waterhouse Piano Competition とEdinburgh Festival Piano Competitionに出場し、どちらのコンクールで1位を取ることができ、5月にはロンドンでのWinner’s Concert で演奏することになりました。ロンドンに行くのはこれが初めてになるので本当に楽しみです。こちらに来て、音楽はまさに世界共通言語だということを実感しています。言語の隔たりなく自分を表現できる一種のツールであり、またたくさんの人と出会うきっかけにもなり、そういった意味でもピアノは私にとってとても大きな意味を持つようになりました。

この8カ月間で日本ではできないたくさんの事を体験することができました。このように恵まれた環境にいられる事、私を応援してくださる方々がいる事をいつも感謝し、さらにチャレンジ精神を大事に全力で進んでいきたいと思います。ありがとうございます。