お知らせ

都立日比谷高等学校 Iさん(女生徒)

渡英から早くも一年近くが経とうとしています。この夏は家族と旅行に行ったり、エンジニアリングのサマースクールに参加したりと充実した日々を送っています。ホストファミリーの家でも4歳と1歳になる子供たちと賑やかに楽しく過ごしています。

6月の試験の後はBAE Systemsという航空宇宙関連企業に職場体験に行ったり、北アイルランドでのエンジニアリングのコースに参加したりと、自分の興味のある事に沢山触れることができました。今回は特に北アイルランドのコースでの経験から感じたこと、考えたことに焦点を当てようと思います。

私が参加したBroad based engineeringというコースではあらゆる種類のエンジニアリングの教授の講義を受け、最終日にはグループに分かれてプレゼンテーションも行いました。エンジニアリングと一口に言っても、aerospaceやcivil、mechanical、audioなど様々な分野があります。イギリスの多くの大学では、一年次からどの分野のエンジニアリングを専攻するか学科が分かれているので、志望時点でどれを学びたいかはっきりさせないといけません。このコース以前は、私はどんな分野があるかは知っていましたが、それぞれのぼんやりとしたイメージしか持っていませんでした。しかし、このコースでの講義や実験を通して自分の本当に興味のあるエンジニアリングの分野は何なのか深く考えるきっかけを得ることができました。

また、そこでは対人関係についても得たことが沢山ありました。そのコースにはイングランドから来た人もいれば、スコットランドやウェールズから来た人、もちろん北アイルランドの人もいました。全員が異なる背景を持っていましたが、私達には決定的な共通項がありました。それはエンジニアリングに興味があり、初めての環境の中で、初めて会う人と関わり合うということです。ですから、プレゼンのためのグループ作業において、それぞれがこの問題には燃料に改善の余地があるのではないか、構造を従来のものから変えられる可能性は無いのかなど、解決策をそれぞれ提案し、熱心な個人の集団として取り組んでいたように感じました。全員が初対面で、そしてこの経験を目一杯充実したものにしようとしているからこそ、お互いを一個人として見なし、隔たりなど一切無く関係を築くことができるのだと思いました。私自身の感覚にしか過ぎませんが、そこでは自立した個人として、人と関わり行動しやすかったように感じました。それが環境のせいか、自分の英語力のせいなのか、明確な要因はわかりませんが、一つはっきりしている事は、渡英したばかりの私ではこの事は知りうることもなかっただろうという事です。

あらゆる事を感じ、考える経験を積む機会を与えてくださった、田崎会長、ならびに財団の皆様への感謝の念を忘れずに、これからも誠実に励んでいこうと思います。