お知らせ

【Kingswood School】 Wさん(女生徒・国立東京学芸大学附属高等学校出身)
 

日本を離れて新しい環境に飛び込み、初めの4か月が経過しました。まだ語学力が安定していない時期だからこそ気付きの多い「英語」に焦点を絞って、今回は報告をしたいと思います。

 

勉強において最も大切なステップのひとつに、わからないことが何なのかを知るというものがあると思いますが、この4か月は特にその大切さを痛感する毎日でした。イギリス人講師によるブリティッシュ・カウンシルでの研修のおかげで耳がある程度慣れていたこともあり、授業中先生が話している言葉はある程度聞き取れています。また、授業内容が日本での既習範囲と重複することがあり、頭の中にある日本語での概念と先生の英語での説明が結びついたときには、すんなりと先生の話していることが頭に入ってきます。一方、日英のカリキュラムの違いによって初めて習う単元に出会ったときには、英語での説明をもとに理解していくという慣れない作業になり、手探りのまま授業を受けている時間が長いように感じます。特にイギリス人が感覚的に使う英語の擬声語は、内容を推測しづらいものの説明には欠かせないため、きちんと聞き取れないと「わからないことさえもわからない」という状態に陥るきっかけになってしまいます。そうならないように、わからないことに敏感になり周りの助けも借りながらすぐに解決することを、どんなときも意識するようにしています。

 

そして、勉強以外の学校生活で使う英語は、勉強で使うのとはまた少し違った英語であるように私は感じています。9月の初め頃、先生を教室で待っている間や昼食の列に並んでいる間など、数分間イギリス人の友達と話していて、日本人と話していたら何気なく楽しめる雑談が、英語になるととても難しくなることに気づきました。緊張していたのも重なり、友達と何をどうやって話すか考えたり、話していてもどの言葉を使って反応していいかわからなかったりしていました。そしてその理由の一つに、雑談をしているときには勉強で使うのとは違う語彙を使うということがあるのだと思います。そして、このようなことは慣れることでしか克服できないと思い、この4か月間は機会があるごとに行事やボランティアに積極的に参加しました。保護者会のお茶出し、地域の教会のクリスマスキャロルの手伝い、小学部のクリスマスバザーの手伝い、スポーツ、音楽などを通して、人と話すことの回数を増やした結果、言葉が出てくるようになっただけではなく、イギリス人の会話の進み方や話の割り込み方も少しずつわかるようになってきました。加えて、留学生向けの地域のスピーチコンテストでは16歳以上の部で一位を取って自信をつけることができ、これが4か月間での大きな転機となりました。

 

学校のない時期もホストファミリーとともにたくさん英語を話しています。12月中旬にはクリスマス休暇に入り、クリスマスに合わせて帰省したホストファミリーの親戚が集まり、会話の絶えない温かい時間を過ごしました。学校の同級生たちとの話題とは少し違う、政治やイギリス・日本の社会問題、イギリス人・日本人のステレオタイプといったことについて、ああでもない、こうでもないと言いながら話したのが特に印象に残っています。不思議なことに、同級生と話すのに戸惑っていたはずなのに、ホストファミリーと話しているときは言いたい事がたくさん浮かんできました。これは、文が整っていなくても耳を傾けて理解してもらえる温かいホストファミリーに囲まれているのもありますが、もう一つ大きな理由があると思います。それは、中学高校の英語の授業での短いスピーチやディベート、リテリングといった英語で話を組み立てて表現する活動を積み重ねてきたことです。クラスメートと英語で議論を交わした経験が、そのままホストファミリーと話すことに活きていると感じられ、とても充実した時間に感じられました。

 

このように、この4か月間はまだ満足のいくように英語を話せてはいませんが、その段階でしか気付けないことが沢山ありました。そんな刺激的で学びの多い環境で生活が送れることに感謝し、今後も精一杯勉学に励みたいと思います。