お知らせ

Kさん(University College London, Philosophy / Fettes college出身)
いまこうして書き始めているものを合わせて、計八枚も留学報告書という体で書かれた自分の文章がTazaki財団のウェブサイトに掲載されてきているのだが、その大体において時間の経過の早さにびっくりしてきた気がする。というのも、前回三年目であったイギリス生活が今回は四年目になるというのだ。一年たっているのだから当たり前ではあるのだが、それにしても早すぎやしないか。では、僕はこの大学一年間なにをやっていたのだろうか。

まず、学業面では、はじめての試験があった。年度末に、道徳哲学・論理学・近世哲学についてterm2で学習した範囲から二時間、科目によっては三時間、エッセイを書き続けるというもので(形而上学・認識論は別で締切までにエッセイを一つ)本番では非常に体力を消耗したし、試験勉強ではストレスが溜まった。しかし悪いことばかりでもなく、同じ学部の友人とお互いに想定問題を考えて、それをグーグルドキュメントに書き出し、ひとつひとつアイデアを投げかけあうなど、楽しくモチベーションを保つことができた。卒業後は大学院進学を考えているので、いくら一年生の成績は最終的な成績にあまり影響しないといっても、油断はできない。そういうプレッシャーもあったので、試験の具体的な出来が非常に気になるところだったのだが、教師陣によるボイコットのおかげで二つのモジュールでいまだに結果が出ていない。こういう災難も、ストライキ大国イギリスに来て四年目になるとすんなり受け入れられてしまうものである。

次に生活面。いきなりネガティブな話だが、自分の人生においてここまで円安の影響をこうむることになるとは思っていなかった。実際、前回の報告書では一ポンド160円などと呑気に書いていたのだが、いまや183円である。もちろん円安自体は一年前からあったが、ここまで上がりっぱなしとは予想していなかった。「為替」とか経済の“depreciation”とかを単なる概念だと思っていたころが懐かしい。
今年から寮を出てエジンバラの高校のときからの友人とルームシェアをする。六月くらいに、なかなかの物件を(ロンドンにしては)好条件で借りられたのだ。楽しみなことはいろいろあるが、まずは料理のレパートリーを増やしたい。寮でもたまに自炊はしていたが、基本ペペロンチーノしか作っていなかったので、友達が来た時に振る舞えるような品を覚えていきたい。

UCLでの大学生活も二年目に入るが、今年も昨年とおなじようにいろいろあるだろう。日々緊張しすぎず、しなさすぎず、人生の変化を見届けていこうと思う。