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Yさん(Imperial College London, Biochemistry / Christ's Hospital出身)

4か月間の長めの夏休みが明け、待ちに待った大学生活が10月から始まりました。ガーディアンやホストファミリーが様々な事をしてくださっていたパブリックスクール時代の生活とは打って変わり、銀行口座開設や料理など身の回りの事はすべて自分自身でやらなければいけなくなり、渡英したばかりの頃は少し苦労をしました。ですが、この生活に慣れてくると楽しいと感じる事が出来るようになり、無事充実した1学期を終える事が出来ました。このレポートでは、大学生活(学習面、サークル活動)とロンドンでの生活について紹介していきたいと思います。

まず初めに、大学での学習について紹介します。僕が在籍しているインペリアルカレッジロンドン(ICL)では、コロナ禍という事もありレクチャーはすべて事前録画されたものを見るという形式でした。僕が学んでいるバイオ化学の学部では、一週間に6~8本のレクチャーを見るようにタイムテーブルが組まれています。1つのレクチャーは、20分くらいのものもあれば1時間以上のものもあります。基本的には、レクチャーを見ながら要点をノートやPowerPointに書き込み、見終わってから教科書や記事を読んでまとめノートを作ります。ノートを使う人、タブレットやパソコンにノートを取る人、ノートの取り方は人によって様々です。僕がオンラインレクチャーを経験した感想としては、良い点が多いように感じました。事前録画されているので好きな場所、時間に見られる事はもちろん、自分の好きなように動画を止めたり再生速度を変えたりすることが出来るのでとても便利です。特にA-levelで生物を取っていなかった僕としては、知らない単語やプロセスが頻出するcell biologyのレクチャーでこの機能が役に立ちました。授業で理解が出来なかった内容があった時には、教授にメールをすれば返信をくださるので、理解を深める上で非常に有難かったです。
レクチャーは完全にオンラインですが、キャンパスで行われる対面授業も毎週ありました。例として、Q&A session、problem class、実験、コンピューターレッスンがあります。Q&Aは主に週に二回あり、生徒から多かった質問やその場で出た質問についての解説がメインで、教授によって進め方が違います。Problem classはいわゆる問題演習のようなもので、1授業3時間です。この授業では、自力で解くのも友人とグループを組んで解くのも許されています。30分ごとに教授が答え合わせをするので、それまでに終わらせられるように頑張ります。実験は、基本的には1回3時間以内で終わるようになっていて、二人一組で行います。事前に実験の流れに目を通して、表の作成や使用する試薬の濃度の計算などの準備を済ませてから実験に臨みます。実験後はレポートの提出があります。今学期のコンピューターレッスンでは、分子を3D化する事が出来るソフトの使い方を学びました。今後のレッスンでは、プログラミングなどの授業もあるそうです。
これまで紹介したようにICLには様々な種類の授業があるのですが、半分以上のものが成績には関係なく、1年目は年に2回ある試験とコースワークによって成績が決まります。
コースワークの例としては、先ほど紹介した実験のレポートやエッセイがあります。ExcelやPowerPointを使ってレポートを仕上げるという事を今まであまり経験しなかったので最初のレポートはとても苦労しました(Excelの授業もあります)。エッセイでは生物の内容に関して、記事や論文からの引用やソフトを使ってダイアグラムの作成をしなければいけないので、一つのエッセイを完成させるのに一週間ほどかかります。試験に関しては、一つの試験は3時間ですべてオンラインで行われます。問題は、5択問題、短い説明問題、エッセイで構成されています。5択問題と聞くと簡単に聞こえるかもしれませんが、5択の中で正解が一つだけの時もあれば四つの時もあるので、想像以上に難しいです。エッセイ問題は一問45分以内で終わらせるように指定されていて、問題の内容はプロセスの説明やグラフの説明など多岐にわたります。

次に、大学でのサークル活動について紹介したいと思います。ICLではImperial College Unionという団体が様々なサークル活動の取りまとめていて、380以上の団体があります。僕はBiochemistry、Japanese society、funkology(hip hop dance)という三つの団体に所属しています。バイオ化学の生徒は自動的にBiochemistryのメンバーになります。今学期は他の大学の教授によるオンラインでの講義や、学部対抗のサッカー大会がありましたが、いずれも自由参加でした。
Japanese societyはその名の通り、日本人が交流を深める団体なのですが、日本に興味がある外国の方も多く所属しています。この団体では月に一回「飲み会(飲むことではなくて交流を深める事がメイン)」があり、大学内のバーで行われます。そのほかにも、寿司作りなど日本らしいイベントが沢山あります。
Funkologyでは、オーデションの結果幸運なことにチームに所属できる事になったのですが、週に最低7時間の練習があり本格的です。来学期に3つの大会に出場する予定なので、今学期は振り付けやフォーメーションを完璧に覚えるのが中心で大変でした。今学期は校内で行われたダンスバトルや自分で考えた振りをチームのメンバーの前で発表するchoreo homeworkがあり、とても充実していました。これらのサークル活動では、自分とは違う学部や学年の人と交流を深める事が出来るので、そういった面でもいい経験になります。

最後に、ロンドンでの生活について紹介します。僕は現在大学の寮に住んでいて、大学から徒歩30分の場所に位置しています。決してキャンパスから近いわけではないのですが、通学の時にはHyde Park(東京でいう代々木公園)の自然を楽しみつつKensington宮殿を見ることが出来るので、学校までの30分の道のりは全然苦ではありません。ロンドンにはレンタル自転車が至るところにあるので、急いでいる時はその自転車に乗る事も出来ます。
ロンドンでの交通手段は基本的にはバスか電車で、利用の際にはオイスターカード(日本でいうSuicaやPASMO)やコンタクトレス対応のカードを使えます。食に関して言うと、ロンドンにはチャイナタウンがあるので日本、韓国、中国の食べ物を手軽に買う事が出来ます。ですが、ロンドンは物価が高いので買いすぎには注意が必要です。イギリスでは、食品ロスを減らす事を目的とした、廃棄が近づいている食べ物を低価格で買う事が出来るtoo good to goというアプリがあるので、それを利用して食費を抑える事も出来ます。スターバックスや人気のパン屋、一部スーパーマーケットなどでこのアプリを利用することが出来ます。
ロンドンでの生活は楽しい事があふれていますが、気を付けなければいけない点もあります。僕が2か月以上ロンドンに住んで一番感じる危険は、交通についてです。僕が普段街を歩いていて、ウィンカーを出さずに曲がってくる車や信号のない歩道から一時停止せずに飛び出してくるバイクに多々遭遇します。ロンドンでは、ほとんどの人が赤信号で渡ってしまいますが、そこに関してはロンドンの人に馴染もうとする必要は無いと思います。
気になるコロナ事情についてですが、ロンドンでもマスクをしている人は全然いるので、マスクをしていたからといって白い目で見られたりすることはありません。これまでは、電車やバスでのマスク着用が強制ではありませんでしたが、オミクロン株の影響で再び電車やバスでのマスクの着用が義務化されました。スーパーマーケットの中でも、マスク着用率は比較的高いように思います。また、大学内では無料でPCRテストを受ける事が出来る上に、自宅でできるテストキットの配布も行われています。

最後になりますが、来年は今学期以上に勉強とサークル活動に打ち込み、より充実した大学生活を送りたいと思います。来学期はダンスの大会や試験がある忙しい学期になりそうですが、勉強だけをするのではなく、ロンドンでの生活を楽しめるようにしていきたいです。