お知らせ

Mさん(London School of Economics, Economics / Fettes college出身)

LSEでの最初の一年を終え、夏休みもそろそろ終盤です。9月からはまたロンドンで2年生としての生活が待っています。

一年目の最初はパンデミックによる影響も多く残っており、様々な部分で制約もありましたが、後半は徐々に通常の生活が戻ってきました。学業面では、講義は最後まですべてオンラインでしたが、ソサイエティでは対面による講演なども増え、生徒間や教授との交流も活発になって嬉しく思いました。新学期からは講義もすべて対面となるので、もっとコロナ前に近い学生生活が送れることを期待しています。そんな中でも、授業内容は興味深く集中して取り組むことができました。マクロとミクロでは理論的な基礎を学び、計量経済は統計的手法を理解するというものでしたが、具体的な理論や手法だけでなく、経済学的な考え方を身に着けるという事に焦点が当てられていることを強く感じました。試験も授業内容がそのまま出てくるA-level等と違い、より思考力を求められる問題が多かったように思います。私は元々経済理論に興味があったのですが、計量経済を学んで、実証分野にも目が向くようになり、現在は因果推論を用いた政策分析をやってみたいと思うようになりました。

大学の外では、ロンドン南部の高校での学習支援のボランティアを始め、数学などを中心にA-levelの試験を控える生徒に教えていました。過去2年間を私立の全寮制学校で過ごした身としては、英国のいわゆる公立校での教育の質の違いや格差の現実などを目の当たりにする貴重な機会でした。特に、ボランティア先の高校とその周辺地域での人種構成は今までの生活圏と全く異なり、自分がいかに恵まれた環境にいたかという事を再認識するとともに、多人種国家の英国で顕在化しやすい格差問題は、日本でも潜在的に起こっていて認識されづらいだけなのかもしれないと気づきました。そうした社会問題に向き合ういい機会になり、今まで見ることのなかった英国社会の違った側面を覗き見ることもできました。自分にできることはわずかですが、新学期以降も継続してやっていく予定です。

夏休み中は日本に一時帰国し、大学でコロナ関連の分析をしているチームのリサーチアシスタントを長期でやっています。帰国してすぐに第七波が始まり、行動制限などに関する議論も活発に行われる中、オミクロン株の重症化率をリアルタイムで計算・公表したり、SIRモデルを用いたシナリオ分析を行政に提供したりする作業を手伝っています。非常に政策現場に近いところで、社会的に大きな影響を持つ分析を行い、発信することの難しさを痛感しながらも大学でやったことが、実際にこういった形で活かせる楽しさもあり、充実した生活を送っています。この経験を通して得た技術や知識をこれからのキャリアに活かしていきたいと考えています。

もうすぐ始まる大学2年目も自分の興味のある事、そうでない事にも積極的に取り組み、将来の道筋を少しずつ形作っていきたいです。今まで支えてくださった方々には、大変感謝しております。これからも頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。