お知らせ

Mさん(London School of Economics, Economics / Fettes college出身)

2019年に初めて渡英してから早くも2年が経ち、パブリックスクールを卒業し無事ロンドンでの大学生活を始めることができました。この間、新型ウイルスのパンデミックによって想像していたものとは全く異なる留学生活でしたが、大学に入ってからもその影響は現在進行形で続いています。今回はその大学生活の中身を簡単に紹介します。
私が現在通っているLSE(London School of Economics and Political Science)はロンドン大学の一部で、経済、政治や歴史などの社会科学に特化した大学です。キャンパスはロンドンの中心部にあり、文化的にも経済的にも様々な機会があり、その立地も人気の高い理由の一つです。学生はイギリス国内だけでなく海外からの留学生も多く、多様性という意味ではパブリックスクールよりもはるかに幅の広いバックグラウンドを持つ人たちと触れ合う機会があります。
授業は現在ほぼすべての講義がオンラインで行われており、Zoomで決まった時間に観る、もしくは録画されたものをあとで観るという比較的柔軟なスケジュールで動いています。そのほか各教科ごとに週一回、対面での授業も行われ、10~20人のクラスでその週の復習や問題の演習などをします。一学期につき履修する科目は4教科前後で、全教科が何らかの形で専攻(私の場合は経済学)と関わっています。例えば数学や統計はもちろん経済のモデル分析や計量経済学では必須ですし、私が取ったデータサイエンスのコースでは機械学習の手法を用いてソーシャルメディアのテキストデータから市場の株価の動きを予測するなどという興味深い応用も学びました。
また統計手法を実際に使うためにRやPythonをはじめとするプログラミング言語も基礎から学ばなければいけません。自分の専攻科目とすべてが繋がっているという点で授業の内容は興味深いのですが、その一方で自立した学習を行うことが強く期待されているという印象を持ちました。講義や授業も事前に準備しておかないと理解できなかったり、それでもわからない部分は教授のオフィスアワーに行って質問するということが習慣になりました。
実は今年から経済学のカリキュラムが大幅に改変されたらしく、以前までは一年目は数学や統計の基礎を固めて二年目から経済学を学ぶというものでしたが、私たちの代は一年目からマクロ、ミクロ、計量経済を扱い、より経済学にフォーカスしたコースになったようですが、その分難易度も高くなり、来学期からの授業は楽しみでも少々不安でもあります。いずれにせよ世界でも一流の研究者である先生たちから教えてもらえるというのは貴重な機会なので、この機会を最大限に活かして多くの学びを得ていきたいです。
授業外でも毎週、LSEだけでなくイギリス、アメリカの大学教授、政府、中央銀行や企業の関係者などが訪れ研究や自身の経験などについてレクチャーを行います。様々な分野、業界について理解を深めることのできるので、できる限り参加するようにしています。そういったイベントで他学部の学生と話すこともあり、いつも何かしら新しい発見があるのが楽しみでもあります。
アカデミックな部分以外では学生オーケストラに参加し、週一回の練習で仲を深めたメンバーとともに演奏するのも学年や学部の枠を超えた一体感があり、大切にしていきたいネットワークになりました。またJapan Societyでも数少ない学部生の日本人として様々なイベントに参加して繋がりを増やしていきたいと思っています。
色々と書いてきましたが、多くの意味で様々な機会に恵まれた環境に身を置くことができ、大変貴重な経験をさせていただいています。しかしその機会を全部活かしきれているわけではありません。これからも勉学に励みつつ与えられた環境とリソースを最大限活用しながら様々な経験を積み、将来に役立てていきたいと思っています。Tazaki財団の今までのご支援がここにたどり着くまでにいかに特異で重要なものだったか改めて有難みを痛感しています。本当にありがとうございます。これからもより一層、様々なことに励んでいきます。