お知らせ

Nさん(女生徒)都立西高等学校出身

イギリスに留学し始めてから、早くも半年が経ちました。毎日が新しく、とても刺激的な日々を過ごしています。
今年の三期生は、パブリックスクールが始まる前に、二か月間サマースクールに行かせていただきました。英語が第一言語でない生徒たちがメインのサマースクールであったため、相手と意思疎通をとることがかなり難しかったです。ですが、この経験は非常に貴重なものとなりました。また、A-levelの科目別の授業もあったため、九月からパブリックスクールで習う予定のものの導入を先に学習することができました。

サマースクール期間は、パブリックスクール生活の準備期間としてとらえて過ごしました。その一環として、九月から何の科目をとるかという相談を学校やガーディアンとのメールで話し合い始めていました。私は、日本にいるときから、数学、発展数学、生物、化学の四教科をとろうと心に決めていました。しかし、この希望科目を出したとき、学校側から、発展数学と生物は時間割上同時にとることは不可能なため、どちらかを諦め代わりの科目を選ぶ必要があると連絡が来ました。驚きと悲しみで動揺を隠せず、早くもこちらに来て最初の大きな壁にぶつかった気分になりました。私の将来の夢は飢餓問題の解決に理系方面から少しでも貢献するということだったため、以前から野菜や穀物の種やその遺伝子などに興味を持っていいたからこそ、生物をとりたいという気持ちが非常に強くありました。それと同時に、今後理系の道に進むことを希望している身として、発展数学も捨てがたい科目でした。とても辛い決断でした。
九月の入って学校で科目選択のための面談がありました。そこで、何人もの先生の所に行ってお話しをし、最終的に、数学、発展数学、化学、物理の四科目を選択しました。理由としては、まず、GCSE (A-levelの前の過程のテスト)の勉強を英語でしていないことが、膨大な単語の暗記量が伴ってくる生物では特に大きなディスアドバンテージになると生物の先生に言われたこと。発展数学のほうが、言語の壁を感じづらく、生物よりも良い成績をとりやすいと考えたこと。そして、生物をとっていなくても、自分がやりたいことを学べる学部がある大学がいくつかあったためです。しかし、もちろん生物をとっていないとそれ系統の学部には入れないという大学もいくつもあります。そのため、選択肢が狭まったという点で、より一層、希望した大学の学部にきちんと入るということが重要になってきました。
このように私の中では非常に重たい雰囲気で始まったパブリックスクール生活ですが、今回は、そのことについて、勉強面、課外活動面、生活面の三つに分けてお話しさせていただきます。

①勉強面
イギリスの学校の授業形式は、日本と大きく異なっています。日本では、たくさんの科目をとる必要があり、文系と理系に分かれるまでは、皆同じ時間割であるのに対して、こちらではA-levelという試験に向けて、始めから三、四つの科目を選択します。科目選択の組み合わせは、タイムテーブルのバッティングが起こらない限り自由なので、時間割は人それぞれで、空きコマは自習に使うという形です。物理はとる予定ではなかったとはいえ、どの科目も非常に面白く、毎日授業を楽しく受けることができています。また、やるべき科目数が減り、時間にも心にも少し余裕ができたため、科学誌を読んだり、気になった事柄のリサーチを進めたりして、純粋に学ぶことを楽しめている気がします。また、勉強の進みが速く、章末テストがかなり頻繁にやってくるため、毎回のテストで手を抜かないよう復習することを心がけています。

②課外活動面
Fettesでは、音楽、スポーツなどの活動がとても活発です。イギリスでは、日本以上に、「勉強だけできてはだめ、音楽やスポーツにも同じように取り組むべき」、という風潮が強い気がします。スポーツは全員必須なので、バドミントンを選択しました。日本でやったことがなかったのでまだまだ初心者ですが、毎週火、木、土曜日の放課後に練習しています。音楽は、日本にいたときから大好きだった、歌とバイオリンのレッスンを週に一回ずつ受けています。歌には特に力を入れているので、夜の自由時間に音楽棟によくこもって楽しく歌っています。また、Fettesではクラブ活動もたくさんあります。私は、オーケストラ(バイオリンで)と数学研究会に入り、どちらも週一回のペースで活動しています。

③生活面
生活の変化に慣れるということが、今学期一番のチャレンジでした。寮生活の経験もなく、食べ物も言語もがらりと変わったので、最初の一か月くらいはかなり大変でした。中でも、周りの子たちと友達になるということが一番難しかったです。正直、今でも完全になじめたかと言われるとそうではありません。ですが、少しずつあせらずにいきたいと考えています。
寮では、私の学年の女の子全員に、一人一つ何かしらの役職が与えられています。私は、文化交流委員になりました。そこで、寮長さんと相談し、Cultural Weekというものの企画、運営を行いました。色々なバックグラウンドを持つ子たちを募って、それぞれの文化のプレゼンを聞く場を作ったり、私が実際に日本食を作ってみんなで食べるパーティーもやったりしました。たくさんの人に、"Thank you"と言われたり、ポジティブな感想をもらえたりして、とても感動し、やりがいを感じました。このように互いの文化を知ったり、日本のことを発信したりする機会があるのも、留学生活の魅力なのだなと思います。

来学期は「視野を広げる」ということを念頭に置いて生活することを目標にしたいと思います。この目標には三つの指針があります。
先日、イギリスの優秀な学生が集まる物理の五日間のコースに参加し、そこで出会った人たちの勤勉さ、知識の深さに非常に刺激を受けました。学校の中だけにこもっていては出会えない素晴らしい人たちはいっぱいるのだなと改めて気づかされました。このように、学校外にも目を向け、出会いのチャンスを自ら探していこうと思います。
二つ目は、勉強だけにとらわれないようにしたいということです。イギリスでの留学生活では、勉強以外にも、学べることが多くあるということはこの半年間過ごしただけでも確信できるほど明らかです。今までチャレンジしたことのないことも含め、ここでしかできないことを積極的に見つけていけたらなと思っています。
最後に、先ほど申した、飢餓問題の解決に携わりたいという目標に対して、私は今まで生物学の方面からばかり見ていました。しかし、この問題はそんな単純な話ではありません。自分が今学習している、化学、物理学の方面からも(もちろん政治や経済などもっと多くのことが絡んでいますが)、どのようにアプローチできるか、探索していきたいと思っております。

この機会を私に与えてくださった方々、支えてくれるたくさんの人への感謝の気持ちを忘れずに、今後も精進して参ります。
引き続き、よろしくお願いいたします。